研究者詳細

教職員基本情報
氏名
Name
久村 恵子 ( クムラ ケイコ , KUMURA KEIKO )
所属
Organization
総合政策学部総合政策学科
職名
Academic Title
教授
専攻分野
Area of specialization

組織心理学・組織行動論、人的資源管理論

学会活動
Academic societies

産業・組織心理学会 (1996年4月−現在)
日本産業精神保健学会 (1997年4月−現在)
日本労務学会 (1997年6月−現在)
経営行動科学学会 (1997年11月−現在)
日本コミュニティ心理学会(1998年3月−現在)
日本人間性心理学会(2019年7月-現在)

日本労務学会 理事    (2005年8月−2009年8月)
日本労務学会 研究奨励賞審査委員(2007年8月−2009年8月)
日本労務学会 機関紙編集委員(2009年8月−2011年8月)

社会活動
Community services

瀬戸市指定管理者選定委員会委員(2020年4月-現在)

著書・学術論文数
No. of books/academic articles
総数 total number (26)
著書数 books (4)
学術論文数 articles (22)

出身学校
学校名
Univ.
卒業年月(日)
Date of Graduation
卒業区分
Graduation
   Classification2
南山大学経営学部経営学科 1989年03月  卒業 
詳細表示
出身大学院
大学院名
Grad. School
修了課程
Courses
   Completed
修了年月(日)
Date of Completion
修了区分
Completion
   Classification
南山大学大学院経営学研究科 博士後期課程  2002年03月  修了 
詳細表示
取得学位
     
学位区分
Degree
   Classification
取得学位名
Degree name
学位論文名
Title of Thesis
学位授与機関
Organization
   Conferring the Degree
取得年月(日)
Date of Acquisition
博士 博士(経営学)  経営組織におけるメンタリング概念に基づく人的資源開発制度の評価研究  南山大学大学院経営学研究科経営学専攻博士後期課程  2002年03月 
修士 修士(経営学)    南山大学大学院経営学研究科経営学専攻博士前期課程  1996年03月 
学士 経営学士    南山大学経営学部経営学科  1989年03月 
詳細表示
研究経歴
長期研究/短期研究
Long or Short
   Term research
研究課題名
Research Topic
長期研究  経営組織における発達的人間関係の制度的活用の可能性について 

概要(Abstract)  経営組織において人々がキャリア面でも、心理・社会的側面でも発達するために重要な役割を担う発達的人間関係の中で、様々な目的での制度的活用が期待されているメンタリング概念に着目し、研究を進めている。
 特に、経営組織おける新規参入者のための適応ツール、人的資源開発ツール(後継者育成、技術者育成など)、ストレス・マネジメントツール、アファマーティブ・アクションツールとして活用されうるメンタリング・プログラムの開発およびその効果について検証を進めている。 

短期研究  感情労働化する社会と感情労働・感情作業への適応プロセスに関する研究 

概要(Abstract)  近年、「おもてなしの心」を付加価値として活用する動向や過剰な「顧客至上主義」により、業界や職種に関係なく、働く人々は自己の感情を犠牲にし、顧客の心に寄り添う「感情労働」が要請されると共に、職場内の人間関係においてさえも、周りの人々に気を配り、自己の感情を制御する「感情作業」が要請されつつある。
 そのため、組織心理学、臨床心理学、社会心理学の研究領域による横断的視点から定性的および定量的調査を実施しつつ、汎用性の高い感情労働および感情作業の開発、社会における感情労働化の動向、そして人々が入職時点から現時点に至るまでの感情労働および感情作業への適応プロセスの検討を進めている。 

短期研究  経営組織における精神健康改善・向上ツールとしてのメンタリング・プログラムについて 

概要(Abstract)  ストレス社会と言われる日本の経営組織で働く人々に対し、組織内のコミュニケーションの改善と促進を可能とし、職場における人と人との繋がりから精神健康の安寧を目的としたメンタリング・プログラムの開発と効果評価について検証を進めている。 

詳細表示
著書
年度
Year
著書名
Title of the books
著書形態
Form of Book
NeoCILIUS
   請求番号/資料ID
Request No
出版機関名 Publishing organization,判型 Book Size,頁数 No. of pp.,発行年月(日) Date
2010  浅倉実践心理学講座8 『対人関係と恋愛・友情の心理学』  共著   
浅倉書店  , A5  , 190  , 2010/10   

概要(Abstract) 近年の経営環境の劇的な変化に伴い、職場での「人が人を育てる」というごく自然な営みが難しくなってきている。そこで、人間関係の中でも発達的関係の代表である「メンタリング」に焦点を当て、職場における「人を育てること」の再検討を目的とした。そのため、まずはメンタリング研究の変遷と活用の実情について述べ、最終的にはメンタリングに関する研究の新たな課題や活用の方向性などメンタリングをめぐる新たなパラダイムについて論じた。 

備考(Remarks) 担当章:第12章 「職場のメンターが人を育てる メンタリングの研究と実践」、pp.167-181(15p.) 

2002  『キャリア発達の心理学』  共著   
川島書店  , A5  , 260  , 2002/04   

概要(Abstract) 担当章では、1980年代以降盛んに行われてきた経営組織を舞台にしたメンタリング研究から得られた多様な知見とその歴史的変遷について触れる。具体的には、メンタリングの概念と種類、メンタリング関係の形成モデル、キャリア発達段階に見るメンタリング段階モデル、個人及び組織への効果、個人や組織からの影響要因という基礎的知見から、組織におけるメンタリングの活用や具体的方法というより実践的知見までを網羅する形で論じる。 

備考(Remarks) 担当章:第6章 「メンタリング」(p.127-p.153) 

2001  『ジェンダー・マネジメント』  共著   
東洋経済新報社  , A5  , 358  , 2001/05   

概要(Abstract) 担当章では、組織で働く人々がキャリアを形成していく上で重要である「経験豊かで成熟した人々の代表的な行動」としてリーダーシップとメンタリングに焦点を当て、両行動のキャリア発達に関するジェンダー論について触れると共に、メンタリングをめぐるジェンダー問題の解決策の提案を通じて、キャリア発達におけるジェンダー問題の解決方向を探る。 

備考(Remarks) 担当章 :第2部 スタディ「キャリア志向とジェンダー キャリアにおけるリーダーシップとメンタリングの役割」(p.327-p.351) 

1999  『メンター・メンタリング入門−What's MENTOR/MENTORING?−』  共著   
プレスタイム  , A5  , 97  , 1999/10   

概要(Abstract) 産業場面におけるメンターとメンタリングに関心がある初心者向けのガイドブックと位置付け、メンターやメンタリングの概念、効果、企業内におけるメンタリング制度の実状や意義についての学術的かつ基本的な知識と、職場におけるメンタリングへの関心や興味を具体的行動による実践に繋げ、より豊かなメンタリングの実践を目指すことを目的とした基礎的ガイドブックである。 

備考(Remarks)  

詳細表示
学術論文
年度
Year
論文題目名
Title of the articles
共著区分
Collaboration
   Classification
NeoCILIUS
   請求番号/資料ID
Request No
掲載誌名 Journal name,出版機関名 Publishing organization,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.,発行年月(日) Date
2023  「3つの職種における感情労働に影響を及ぼす要因に関する研究  共著   
『南山経営研究』  , 南山大学経営学会  , 第38巻第3号  , pp.355-379  , 2024/03/30   

概要(Abstract) 感情労働化が進む社会では、従来の感情労働職のみならず、あらゆる職種において感情労働に携わる機会が増えている。そこで本稿では、多様な職種で働く人々がなぜ感情労働に従事しているのか、人々は顧客のためではなく、社会や組織からの要請に応えるためだけに感情労働に従事しているのではないかという疑問への答えを探究するため、感情労働への影響要因と職種との関係を明らかにする。具体的には、感情労働研究にて感情労働職と位置づけられてきたサービス業をホスピタリティの提供を主とする対人サービス職と、技能の提供を主とする技能サービス職に分けると共に、感情労働が要請されていないと位置づけられてきた非サービス職にも焦点を当てる。この3つの職種で働く人々が携わる感情労働に対し、社会や組織からの外的要因、各個人の職務上の経験や姿勢、パーソナリティといった個人的要因が及ぼす影響の差について、質問紙調査から得られた定量データをもとに検証を進める。 

備考(Remarks)  

2022  「感情労働化する社会における感情労働の特徴とその効果」  共著   
『南山経営研究』  , 南山大学経営学会  , 第37巻第3号  , pp.283-305  , 2023/03/30   

概要(Abstract)  本稿では、感情労働化する社会を検証するため、多様な業界における職種で働く人々が従事する感情労働の程度と、その感情労働に従事することによりもたらされる効果について明らかにする。具体的には、先行研究にて感情労働の要請が高いとされてきたサービス業を、ホスピタリティの提供を主とする対人サービス職と、技能の提供を主とする技能系サービス職に分ける。さらに、感情労働の要請が認識されてこなかった職種にも焦点を当て、各職種で働く人々を対象に質問紙調査を実施、各職種に見られる感情労働の特徴とその感情労働がもたらす効果についてポジティブおよびネガティブの両側面から検証する。 

備考(Remarks)  

2022  「働く人をめぐる感情労働とその影響要因(2)―インタビューの質的分析によるカテゴリー生成―」  共著   
『アカデミア人文・自然科学編』  , 南山大学  , 第24号  , pp.93-115  , 2022/06/30   

概要(Abstract)  これまで日本社会で大切にされてきた「おもてなし」は、行為を行う側と受ける側が対等な立場でお互いを気遣うことから行われるものであった。だが、近年、もてなされる側だけが重視され、お客様に対するサービスという面だけが強調され、これまで以上に感情労働的な業務が課せられることが多くなっている。
 近年、感情労働的な業務は、本来の感情労働職と言われる職種だけではなく、あらゆる職種に広がりを見せていると推察できる。事実、久村ら(2020)は、「感情労働化する社会」を検証すると共に、本社会において働く人々は職種を問わず、なぜ感情労働に従事せざるを得なくなっているのか、どのような思いで感情労働に携わっているのかとする疑問に答えを導くべく議論を進めてきた。さらに、山口ら(2021)は本来の感情労働職に属する人々のみならず、属さないと見做されてきた職種に従事する人々へのインタビュー調査を分析し、応対業務(=感情労働)に直接影響する1次的影響要因と、1次的影響要因に影響を与える2次的影響要因を抽出し、 1次的影響要因にどのようなものが見られたかについて報告した。そこで本稿では、山口ら(2021)で述べた1次的影響要因に対し副次的に影響を及ぼす2次的影響要因の影響にどのようなものが見られたかについて報告する。
 

備考(Remarks)  

2021  「感情労働に伴う自己内の感情管理に関する研究―人は感情労働を通じてどのように感情を管理しているのか―」  共著   
『南山経営研究』  , 南山大学経営学会  , 第36巻第3号  , pp.319-341  , 2022/03/30   

概要(Abstract)  本稿では,「感情労働化する社会」を検証する研究の1つとして,人々が感情労働に従事した際に自己の内面で経験する感情にどのように向き合い,扱っているのかについて明らかにしていく。具体的には,一般に感情労働職と見做されてきた業務に従事する人々に限らず,本来,感情労働に従事する必要性が「少ない」もしくは「ない」と見做されてきた技能職や事務職など多様な職種で働く人々を対象とし,彼らが従事する感情労働に伴い個人内で行われる感情管理について検証する。さらに,他者に向けた感情労働と自己内で行う感情管理との関係についても検証する。
そのため,まずは感情労働研究について概観し,特に心理・内面的プロセスからアプローチされた感情労働研究についてレビューを進める。その上で,本来の感情労働職に属する人々のみならず,属さない職種に勤める人々に対し実施したインタビュー調査のデータを用い,人々が従事する感情労働に伴い実施している自己内での感情管理の違いを明らかにすると共に,感情労働と自己内の感情管理との関係性について考察を進める。 

備考(Remarks)  

2021  「働く人をめぐる感情労働とその影響要因(1)―インタビューの質的分析によるカテゴリー生成―」  共著   
『アカデミア人文・自然科学編』  , 南山大学  , 第22号  , pp.131-146  , 2021/06/30   

概要(Abstract)  本稿では,これまで感情労働職と見做されてきた業務に限らず,本来,感情労働に従事する必要性が「少ない」もしくは「ない」と見做されてきた技能職や事務職といった業務に従事する人々が,どのような思いで,なぜ感情労働に携わっているのか,すなわち,感情労働を引き起こす要因にどのようなものがあるかを明らかにしていく。本来の感情労働職に属する人々のみならず,属さないと見做されてきた職種に従事する人々に対しインタビュー調査を実施し,質的分析によるカテゴリー生成の結果,[概念]は93個,〈サブカテゴリー〉は24個,【カテゴリー】は7個が生成された。それらの関係性を検討した結果,カテゴリーは大きく2つ,すなわち,応対業務(=感情労働)に直接影響する1次的影響要因と,1次的影響要因に影響を与える2次的影響要因に識別された。したがって,感情労働には複数の影響要因が絡みあっており,直接に影響を及ぼす要因のみならず,副次的に影響を及ぼす要因との関係性の中でそのプロセスを詳細に解明することが必要だと考える。本稿では,まず,1次的影響要因について報告する。 

備考(Remarks)  

2020  「感情労働をめぐる影響要因の概観に関する研究―人はなぜ感情労働に従事するのか―」  共著   
『南山経営研究』  , 南山大学経営学会  , 第35巻第3号  , pp.319-343  , 2021/03/30   

概要(Abstract)  本稿では,感情労働化する社会において,一般的に感情労働職と見做されてきた業務に従事する人々に限らず,本来,感情労働に従事する必要性が「少ない」もしくは「ない」と見做されてきた技能職や事務職に従事する人々が,なぜ感情労働に従事せざるを得なくなっているのか,またどのような思いで感情労働に携わっているのかを明らかにしていく。具体的には,感情労働職を対象に実施されてきた感情労働に対する影響要因に関する先行研究をレビューする。その上で,本来の感情労働職に属する人々のみならず,属さない職種に勤める人々に対しインタビュー調査を実施し,職種を問わず人々が従事している感情労働への影響要因の概観を明らかにし,感情労働化する社会の起因を考察した。 

備考(Remarks)  

2019  「感情労働化する社会における感情労働の実態―感情労働に従事しているのは誰なのか―」  共著   
『南山経営研究』  , 南山大学経営学会  , 第34巻第3号  , pp.225-243  , 2020/03/30   

概要(Abstract)  本稿では,ある特定の職種で働く人々のみが感情労働をする社会から,職種に関わらず,働く人々が感情労働に携わらなくてはならない社会へと変わりつつある実態について明らかにしていく。そのため,感情労働の提唱者であるHochschild(1983)に立ち返り,本来,感情労働はどのように捉えられてきたのかについて先行研究をレビューする。その上で,一般的に感情労働職と見做されてきた業務に従事する人々に限らず,本来,感情労働に従事する必要性が「少ない」もしくは「ない」と見做されてきた技能職や事務職に従事する人々を調査対象とした。これらの対象者に対し感情労働の現状に関するインタビュー調査を用い,職種を問わず人々が従事している感情労働の実態,すなわち,感情労働化する社会の実態について考察する。 

備考(Remarks)  

2019  「働く人をめぐる感情労働の様相―インタビューの質的分析によるカテゴリー生成―」  共著   
『アカデミア 人文・自然科学編』  , 南山大学  , 第19号  , pp.45-63  , 2020/01/31   

概要(Abstract)  労働者の感情労働の実態を明らかにするために、従来の感情労働が極めて高く想定される職種のみならず、技能職でありながらある程度の感情労働が想定される職種、感情労働が想定されていない職種の3職種に属する労働者に対してインタビューを行った。質的分析によるカテゴリー生成の結果、感情労働には、「他者に向けて行われる」表面化した行動と、「自己の内面で行われる」表面化しない行動の2面があることが確認されたが、本稿では、「他者に向けて行われる」表面化した感情労働の様相に焦点を当て報告する。「他者に向けて行われる」表面化した感情労働の概念は38個、サブカテゴリーは12個、カテゴリーは3個であった。これらのカテゴリーは質的に異なる様相を示しているため、生成された各概念、サブカテゴリー、カテゴリーの内容について精緻化し考察した。 

備考(Remarks)  

2018  「感情労働により生じる効果に関する考察―感情労働により人は何を得るのか―」  単著   
『南山経営研究』  , 南山大学経営学会  , 第33巻第3号  , pp.453-474  , 2019/03/30   

概要(Abstract) 本論文では,感情労働に従事することにより,人々は何を得るのか、すなわち、どのような感情や状況に直面するのかについて論じていく。具体的には,まず感情労働がもたらす効果に関する先行研究をレビューし,感情労働をめぐる知見を整理する。その結果を踏まえ,一般的に感情労働職とみなされてきた業務に従事する人々に限らず,本来,感情労働に従事する必要性は「少ない」もしくは「ない」と見なされてきた技能職や事務職に従事する人々に対しても感情労働の現状についてインタビュー調査を実施し,感情労働により人々はどのような影響を受けているのかについて検証していく。その調査結果を踏まえ,多様な職種における感情労働がもたらす効果に関する研究の方向性を考察する。 

備考(Remarks)  

2016  「メンタリング・プログラムにおけるストレスマ・ネジメントとしての可能性に関する考察ーA社のメンタリング・プログラムの効果評価をもとにー」  単著   
『慶応経営論集』  , 慶應義塾経営管理学会  , 第34巻 第1号  , pp.131-154  , 2017/01/31   

概要(Abstract)  本論文の目的は,ストレス・マネジメントとしてのメンタリング・プログラムの効果を検証し,その可能性を考察することである。そのため,まずは先行研究よりストレス・マネジメントとしてのメンタリング・プログラムの利点と問題点をレビューした。次に,新潟県に本社を置く中堅メーカー・グループA社で導入されたメンタリング・プログラムを対象とし,プログラム参加者の精神健康をストレス反応からのみだけではなく,ストレッサーの視点からも測定し,メンタリング・プログラムの効果を検証する。
 さらに,その効果がプログラム終了後にも持続することを重視し,プログラム期間中に実施されるメンタリング行動ではなく,プログラム終了後にもメンタリングによる関係を築くことに繋がるメンター所有の認識に焦点を当てた。その上で,プログラム期間におけるメンター所有認識および精神健康の変化と,プログラム期間中における精神健康の変化に及ぼすメンター所有認識の影響について検証を進めた。
 その結果,プログラム期間におけるメンター所有認識は変化が確認されず,またストレッサーおよびストレス反応については増加する傾向が確認された。しかし,メンタリング・プログラムを通じて,メンターを所有している認識が向上した人ほど,ストレッサーの視点であれ,ストレス反応の視点であれ,精神健康を維持もしくは改善し,メンターを所有している認識が低下した人もしくは変化しなかった人の精神健康は悪化する傾向が確認された。
 以上より,単にメンタリング・プログラムに参加するだけではメンター所有の認識を高めることはできず,精神健康も維持や改善も望めず,プログラムの効果を十分に活用しきれないことを指摘した。むしろ,プログラムを通じてポジティブに公式メンタリングに携わることができた際に,組織からの半ば強制的に課せられるメンタリングであれ,メンタリングはコーピングの一手段として,そしてメンターもソーシャル・サポートの一主体として機能し,ストレス・マネジメントとして十分に活用できることを示唆した。最後に,プログラムにおいて公式メンタリングとポジティブな関わり合いを築くための対策や,プログラムを通じて精神健康が悪化した人への対応などの活用上の検討課題についても論じた。 

備考(Remarks)  

詳細表示
その他研究業績
年度
Year
題名等
Titles
カテゴリ
Category
細目
Authorship
掲載雑誌名等 Publishing Magazine,発行所 Publisher,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.,発行年月(日) Date
2019  『感情労働化する社会と感情労働への適応プロセスに関する研究―「心の労働」に関する調査報告書:基礎編―』  調査報告  共著 
39p.  , 2020/03   

概要(Abstract)  本報告書は、日本学術振興会の平成29~31年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)の(挑戦的研究(萌芽))「感情労働化する社会と感情労働への適応プロセスに関する研究」(課題番号:17K18594)を通じて実施した調査の報告書である。この研究は、従来から感情労働の要請が高いとされる業界・職種のみならず、要請が認識されてこなかった業界・職種にも注目し、2つの点を明らかにすることを目的とする。第1の目的は、これらの業界・職種における感情労働化の程度を定性的および定量的に検証し、産業社会全体における感情労働化の動向を明らかにすることである。第2の目的は、現時点の就労状況のみならず、入職時点から現時点に至るまでの就労経験を踏まえ、経時的な側面から感情労働への適応プロセスを検証することである。この2つの目的を明らかにすべく、「心の労働」に関わる基礎的資料を収集するために2つの調査を実施した。第1調査は、感情労働がきわめて高く想定される職種、技能職でありながらある程度の感情労働が想定される職種、感情労働が想定されていない職種といった3つの職種に従事する人々に対して行ったインタビュー調査である。第2調査は「働く人々の「心の労働」に関する調査」として多種多様な業界・職種に勤務する人々を対象にした質問紙調査である。
 そこで本報告書では、働く人々の「心」を大切にする職場の実現を目指す提言に繋げるため、この2つの調査の内容と基礎的な結果についてまとめ、働く人々の「心の労働」の実態を明らかにしていく。 

備考(Remarks) 平成29-31年度科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)(挑戦的研究(萌芽))課題番号:17K18594 の報告書 

2013  「第9章 オープン・システムと増大する不合理」 pp.193-210(18p.)  翻訳  共訳 
『職場の精神分析』  , 亀田ブックサービス  , pp.193-210  , 2013/12/10   

概要(Abstract) Larry,HIRSCHHORNの著書、"The Workplace Within"(1988), The MIT Press の翻訳 

備考(Remarks)  

2009  「実験計画法・準実験計画法」(pp.252-255)  辞書・事典  未設定 
『産業・組織心理学ハンドブック』  , 丸善  , 570  , 2009/07   

概要(Abstract) 産業・組織心理学の領域における「実験」についてその定義を述べ、まずは理想的な実験計画の条件と調査デザインについて述べた。しかし、フィールド調査における実験計画法の困難さについても触れ、フィールド調査で可能な準実験計画法に基づく3つの調査デザインとその長所短所について述べた。 

備考(Remarks)  

2008  臨床研修医のメンタリング・プログラム導入の効果に関する研究  調査報告  共著 
平成17〜19年度科学研究費補助金(基盤研究(C)研究成果報告書)  , 31  , 2008/05   

概要(Abstract) 卒後臨床研修制度に人材育成の一手段であるメンタリング・プログラムを導入し、研修医の心理・社会的側面に及ぼす影響の視点から、時系列的に調査を実施し、その効果を解明した。 

備考(Remarks) 執筆担当:pp.3-10 

2005  第9章「キャリアをめぐる人的資源政策―若年者の就労とキャリア形成支援の試み―」(p.179-p.197)  テキスト  共著 
『総合政策論のフロンティア』  , 南山大学総合政策学部  , 332  , 2006/03   

概要(Abstract) 近年、関心が高まりつつあるキャリアをめぐる人的資源政策について、若年者の就労とキャリア形成支援の試みに焦点を絞り、キャリアに関する定義と理論およびその背景、若年者のキャリアをめぐる問題とその解決の方向性、さらには行政を中心に実施されつつある試みを紹介しつつ、今後の課題について論じた。 

備考(Remarks)  

2004  職場のメンタルヘルス対策のためのメンタリング・プログラム  調査報告書  共著 
「職場環境等の改善等によるメンタルヘルス対策に関する研究 平成14年度〜16年度総括研究報告書  , 厚生労働科学研究費補助金・労働安全衛生総合研究事業  , pp.257-267  , 2005/03   

概要(Abstract)  職場のストレス・マネジメントとして効果が期待できるメンタリング・プログラムのスキームについて事例を踏まえて提案した。 

備考(Remarks)  

2004  メンタリング・プログラムによる職場環境・メンタルヘルス改善に関する介入研究  調査報告書  共著 
「職場環境等の改善等によるメンタルヘルス対策に関する研究 平成16年度総括・分担研究報告書  , 厚生労働科学研究費補助金・労働安全衛生総合研究事業  , pp.163-187  , 2005/03   

概要(Abstract)  昨年度から継続研究である介入研究の最終調査として、質問紙調査や面接調査によりプログラムの効果評価を実施し、フォーマル・メンタリングによるコミュニケーションの改善、ストレス反応の低減を指摘した。 

備考(Remarks)  

2003  「変貌する職場組織と職場環境の改善に関する研究」  調査報告書  共著 
「職場環境等の改善等によるメンタルヘルス対策に関する研究」平成15年度総括・分担研究報告書  , 厚生労働科学研究費補助金・労働安全衛生総合研究事業  , pp.187-202  , 2004/03   

概要(Abstract)  プロテジェ経験のメンタルヘルスへの影響に焦点を絞り質問紙調査を実施し、プロテジェ経験と職務満足および精神健康との間にポジティブな関係を確認すると共に、所属マネジャーのプロテジェ経験と部下の精神健康との間にもポジティブな関係を確認した。また、製造業へのストレス・マネジメントを目的としたメンタリング・プログラムに関する介入研究に着手し、メンタリング事前教育に関する調査結果を報告した。 

備考(Remarks)  

2002  「変貌する職場組織と職場環境の改善に関する研究」  調査報告書  共著 
「職場環境等の改善等によるメンタルヘルス対策に関する研究」平成14年度総括・分担研究報告書  , 厚生労働科学研究費補助金・労働安全衛生総合研究事業  , pp109-121  , 2003/03   

概要(Abstract)  職場における支援行動と精神健康に対するプロテジェ経験について質問紙調査を実施、プロテジェ経験を有する人ほど組織内の支援行動に従事していると共に、職務満足も高く、ストレス反応が低いとする傾向を確認した。また、フォーマル・メンタリング導入企業に対する聴き取り調査も実施し、キャリア的機能と心理・社会的機能の両メンタリング機能の実施を要求するプログラム、およびプログラムの実施プロセスにモニタリングを設定しているプログラムにおいて成功裡な結果が得られていることを確認した。 

備考(Remarks)  

2000  第2章「測定をめぐる動向」、第3章「成果に基づくアプローチの開発」、pp. 18-46(29p.)  翻訳  共訳 
『教育研修効果測定ハンドブック』  , 日本能率協会マネジメントセンター  , 345  , 2000/12   

概要(Abstract) Philips,J.J.(1997)の著書 ”Handbook of Training Evaluation and Measurement Methods (The 3rd edition)”, Houston, TX : Gulf Publishing Company の翻訳 

備考(Remarks)  

詳細表示
学術関係受賞
年度
Year
受賞学術賞名
Name of award
受賞対象となった研究/業績/活動等
Activity for which award given
受賞年月(日)
Date
授与機関
Award presenter
2002  日本労務学会学会賞(研究奨励賞)  経営組織で働く女性をめぐる非公式な育成・支援行動に関する研究(日本労務学会第30回全国大会報告論文)  2002年06月01日 
日本労務学会 

備考(Remarks)  

詳細表示
研究発表
年度
Year
題目又はセッション名
Title or Name of Session
細目
Authorship
発表年月(日)
Date
発表学会等名称 Name, etc. of the conference at which the presentation is to be given, 主催者名称 Organizer, 掲載雑誌名等 Publishing Magazine,発行所 Publisher,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.
2023  「留学生はどのような感情作業をしているのか―インタビューの質的分析によるカテゴリー生成―」  共同  2023/9/23 
日本人間性心理学会第42回大会  , 日本人間性心理学会  , 日本人間性心理学会第42回大会発表論文集   

概要(Abstract)  本研究では、大学に留学している外国人留学生に対して行ったインタビュー内容を質的に分析し、カテゴリー生成をすることによって、外国人留学生が大学時代に習得する感情作業を解明する。そのため、日本の大学に留学している外国人留学生6名に対し、日本での生活を通して経験している対人関係及び感情作業について、半構造化面接を実施した。
 録音されたインタビュー・データを逐語禄にし、語られた内容を「感情作業」の実際に関するものと、その感情作業を「学習した過程」に二分した。「感情作業」について、感情作業を行う際の「認知」の内容と、「他者に向かって行われる感情作業」、「自己内で行われる感情管理」の3つに分類し、それぞれの領域について、修正版グラウンデッドセオリー・アプローチ(M-GTA)を用いてカテゴリー生成を行った。そのうち、感情作業を行う際の「認知」の内容と、「他者に向かって行われる感情作業」のカテゴリー生成に関する結果をポスター発表にて報告した。 

備考(Remarks)  

2021  「自己の内面で行われる感情労働の実態―インタビューの質的研究によるカテゴリー生成―」  共同  2021/08/28 
日本人間性心理学会第40回大会  , 日本人間性心理学会  , 『日本人間性心理学会第40回大会 大会プログラム』  , p.52   

概要(Abstract)  本研究は、従来の感情労働が極めて高く想定される職種のみならず、感情労働が想定されていない職種に就いている労働者に対してもインタビューを行い、その語りを質的に分析し、カテゴリー生成を通じて感情労働の実態を明らかにする。具体的に、生成されたカテゴリーには、「他者に向けて行われる感情労働」と「自己内における感情労働」の2つの領域が見出された。特に、本発表では「自己内における感情労働」における24個の概念および10個のサブカテゴリーと4個のカテゴリーが生成されたことを報告した。そして、感情労働は具体的な言動として現れるだけのものではなく、内面において自身の感情を「抑制・統制・処理」していること、また自身の感情や行為は「自覚」される場合とそうでない場合があることを示し、労働者の心の健康維持や促進、職場適応において、表面化された行為だけでなく、内面への視点や配慮の必要性を示唆した。 

備考(Remarks) オンライン開催 

2020  「質的研究からみる感情労働と影響要因の概観」  共同  2020/09/06 
日本コミュニティ心理学会第23回大会  , 日本コミュニティ心理学会  , 『日本コミュニティ心理学会第23回大会発表論文集』  , pp.70-71   

概要(Abstract)  本研究は、従来の感情労働が極めて高く想定される職種のみならず、技能職でありながらある程度の感情労働が想定される職種、感情労働が想定されていない職種の3カテゴリーに属する労働者にインタビューを行い、感情労働が生起するプロセスを把握することを目標とする。本発表ではこのプロセスのうち感情労働を引き起こす要因に焦点を当てた。そして、感情労働に影響を及ぼす要因には、人々との感情労働に直接影響を及ぼす1次的影響要因と、感情労働を生起させる要因に影響し、間接的に感情労働に影響を及ぼす2次的影響要因が存在することを明らかにし、その詳細について報告した。 

備考(Remarks) 共同発表者:大塚弥生、山口和代 

2019  「感情労働化する社会における感情労働の特徴とその効果」  共同  2019/11/17 
経営行動科学学会第22回年次大会  , 経営行動科学学会  , 経営行動科学学会第22回年次大会発表論文集  , pp.254-261   

概要(Abstract)  本報告では、社会における感情労働化を検証するため、多様な業界における職種の感情労働の程度と、その感情労働が人々にもたらしているものを明らかにする。具体的には、先行研究にて感情労働の要請が高いとされてきたサービス業を、ホスピタリティの提供を主とする対人サービス職と、技能の提供を主とする技能系サービス職に分ける。さらに、感情労働の要請が認識されてこなかった職種にも焦点を当て、各職種で働く人々を対象に質問紙調査を実施、各職種に見られる感情労働の特徴とその感情労働がもたらす効果についてポジティブおよびネガティブの両側面から検証し、報告した。 

備考(Remarks)  

2019  「労働者はどのような感情労働をしているのか―インタビューの質的研究によるカテゴリー生成―」  共同  2019/09/22 
日本人間性心理学会第38回大会  , 日本人間性心理学会  , 『日本人間性心理学会第38回大会 大会プログラム』  , p.72   

概要(Abstract)  本研究は、従来の感情労働が極めて高く想定される職種のみならず、感情労働が想定されていない職種に就いている労働者に対してもインタビューを行い、その語りを質的に分析し、カテゴリー生成を通じて感情労働の実態を明らかにする。具体的に、生成されたカテゴリーには、「他者に向けて行われる感情労働」と「自己内における感情労働」の2つの領域が見出された。「他者に向けて行われる感情労働」では、38の概念が抽出され、12のサブカテゴリーと3つのカテゴリーが生成された。「自己内における感情労働」では、24の概念が抽出され、8つのサブカテゴリーと4つのカテゴリーが生成された。この結果を報告すると共に、感情労働における多様な様相と感情労働が行われているメカニズムは層化的構造を成していることを報告した。 

備考(Remarks)  

2007  企業におけるメンタリング・プログラム−介入研究を例として−  共同  2007/07/01 
日本コミュニティ心理学会 第10回大会  , 日本コミュニティ心理学会   

概要(Abstract)  メンタリング・プログラムによるコミュニティ再生の可能性を探るために、企業の視点から職場のコミュニケーションの改善とプログラムの関係性について、ある企業の事例を紹介しつつ、その効果を検証し、職場のコミュニティの再構築におけるメンタリングの活用可能性を議論した。 

備考(Remarks) 自主ミニシンポジウム「メンタリング・プログラムによるコミュニティ再生の可能性を探る」 

2006  企業の人材開発とメンタリング・プログラム-全社・3層メンタリング・プログラムの事例-  共同  2007/03/17 
経営行動科学学会中部部会 第1回ワークショップ  , 経営行動科学学会   

概要(Abstract) メンタリング・プログラムは教育、病院、企業などの多領域において活用が試みられているが、本報告ではビジネス領域に焦点を当て、企業の人材開発におけるメンタリングの制度的活用の可能性を報告した。具体的には、企業におけるメンタリング・プログラムの一般的な知見について触れた上で、全社・3層メンタリング・プログラムの事例に基づきその運用手法と評価を紹介し、プログラムの可能性について論じた。 

備考(Remarks) ワークショップタイトル「「メンタリング・プログラムの現在と未来−実践・理論・歴史のレビューとその展望−」 

2006  メンタリング・プログラムの全社的活用−A社の事例を通じて−  共同  2006/11/12 
経営行動科学学会第9回年次大会  , 経営行動科学学会  , p.270-p.273   

概要(Abstract) 日本企業としては全社的にメンタリング・プログラムを導入し、活用する試みは希少であり、その試みをしているA社の事例研究である。具体的には、A社におけるメンタリング・プログラムの概要(背景・目的、フレームワーク、プロセスなど)を通じてプログラム開発の展望ついて報告した。 

備考(Remarks)  

2005  新入社員の心理的側面から見るメンタリング・プログラムの効果評価  単独  2005/11/12 
経営行動科学学会第8回年次大会  , 経営行動科学学会  , p.278-p.285   

概要(Abstract) メンタリングの制度的活用の有効性の根拠を示す一研究として、新入社員教育として活用されたA社のメンタリング・プログラムの効果を検証した。具体的には、従来の情報提供型支援の評価基準である知識やスキルの習得度からではなく、プログラム期間中に新入社員が享受したメンタリング行動と精神健康、職務満足、組織コミットメントの3つの心理的側面から把握する効果変数との関係を検証し、プログラムの効果評価を実施した。 

備考(Remarks)  

2004  「メンタリングによる次世代育成の現状と可能性」  単独  2005/03/07 
経営行動科学学会ワークショップ  , 経営行動科学学会   

概要(Abstract)  メンタリングによる次世代育成支援のあり方について、経営組織における若年労働者のためのメンタリング・プログラムと、社会における青少年の健全育成を目的としたメンタリング・プログラムの事例を紹介し、その可能性と問題点から話題を提供した。 

備考(Remarks) ワークショップタイトル「次世代育成支援法時代の働き方―改善のための課題と方策―」 

詳細表示
研究助成
年度
Year
助成名称または科学研究費補助金研究種目名
Name of grant or research classification for scientific research funding
研究題目
Research Title
役割(代表/非代表)
Role
助成団体
Granting body
助成金額
Grant amount
2023  科学研究費補助金  元外国人留学生の日本の職場への適応:人間関係における感情作業と感情管理からの検討 
研究代表者  独立行政法人 日本学術振興会  390,000円(2023年度分 間接経費分含む) 

研究内容(Research Content)  本研究の最終年度にあたる2023年度は、第1の研究課題「留学生が大学時代に習得する感情規則および表出規則の解明」の分析結果の一部を日本人間性心理学会第42回大会にて報告した。さらに、2021年度後半より進めてきた第2の研究課題「元留学生の職場内外の人間関係構築および維持における感情作業と感情管理の解明」については、2022年10月末までに実施したオンライン形式による質問紙調査および面接調査のデータのうち、まずは面接調査から得られた質的データの分析を進めてきた。具体的には、「感情管理」、「感情作業」、「認知」、「感情」、「学習」の5つに逐語録を分け、「感情管理」について修正版グラウンデッドセオリー・アプローチ(M-GTA)を用いてカテゴリー生成を終え、「感情作業」においてもカテゴリー生成を行いつつある。
 しかし、コロナ禍による面接調査の遅れが最終年度まで影響し、すべてのカテゴリー生成の分析のための時間が不足し、ひいてはGoogleフォームにて実施した質問紙調査と関連づけて実施する分析への遅れにも繋がっている。それゆえ、1年間の補助期間延長を申請し承認されたため、2024年度には「認知」、「感情」、「学習」についてカテゴリー生成を行うと共に、元留学生と元日本人学生との比較や在職年数による比較、さらには質問紙調査の結果とも照合し、元留学生の職場適応の困難性と健全性の検証を進め、関連する学会の年次大会での報告および学会誌への投稿を予定している。 

備考(Remarks) 共同 

2022  科学研究費補助金  元外国人留学生の日本の職場への適応:人間関係における感情作業と感情管理からの検討 
研究代表者  独立行政法人 日本学術振興会  520,000円(2022年度分 間接経費分含む) 

研究内容(Research Content)  本研究の3年目にあたる2022年度は、主に2021年度後半より進めてきた第2の研究課題「元留学生の職場内外の人間関係構築および維持における感情作業と感情管理の解明」に取り組む。また、昨年度より分析を進めてきた第1研究課題の分析結果については、成果の公表に向けてまとめている。
具体的には、2022年3月より開始したオンライン形式による質問紙調査および面接調査を2022年10月末までに外国人留学生14名、日本人元学生14名に対し、全てを終了し、得られた音声情報をテキストデータにほぼ変換し終え、分析作業に移行できる段階である。また、Googleフォームにて実施した質問紙調査についても既にデータを整理し、面接調査と連動し、第2の研究課題を検証するための分析に取りかかれる段階まで進めている。
 最終年度である2023年度において、主として本研究の成果のまとめと成果の公表を主な課題とし、関連する学会での年次大会での報告および学会誌への投稿を予定している。 

備考(Remarks) 共同 

2021  科学研究費補助金  元外国人留学生の日本の職場への適応:人間関係における感情作業と感情管理からの検討 
研究代表者  独立行政法人 日本学術振興会  1,170,000円(2021年度分 間接経費分含む) 

研究内容(Research Content)  本研究は、日本の職場への元留学生の適応プロセスを人間関係の構築と維持の側面から捉え、その際の感情作業と感情管理を明らかにすることにより、元留学生の職場適応の困難性と健全性を検証することを目的とし、2つの研究課題を設定、調査・研究を進めてきている。
 2021年度は、昨年度の面接調査で得られたデータを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチに基づき第1の研究課題「留学生が大学時代に習得する感情規則および表出規則の解明」の分析を進めている。さらに、第2の研究課題「元留学生の職場内外の人間関係構築および維持における感情作業と感情管理の解明」に向け、第1研究課題から導き出された「感情・表出規則」やその影響要因などの結果を反映し、職場内外の人との応対における感情作業・管理に関する面接調査項目および質問紙調査項目を作成した。南山大学研究審査委員会「人を対象とする研究」倫理審査の承認を得た後、2022年3月より元外国人留学生12名および元日本人学生12名に対し質問紙調査および面接調査を進めつつある。これらの調査を2022年の秋頃までに終了させ、最終年度である令和5年度に成果を公表できるよう分析を進めていく予定である。 

備考(Remarks) 共同 

2020  科学研究費補助金  元外国人留学生の日本の職場への適応:人間関係における感情作業と感情管理からの検討 
研究代表者  独立行政法人 日本学術振興会  260,000円(2020年度分 間接経費分含む) 

研究内容(Research Content)  本研究は、元外国人留学生の日本の職場への適応を職場内外の人間関係の構築と維持に着目し、元留学生の感情的側面から職場適応の健全性を検証する。具体的には2つの課題を設定する。第1に、留学生が大学時代に習得する感情規則および表出規則を明らかにすることである。第2に、元留学生が職場内外の人間関係を構築し、維持していく上でどのような感情作業をし、感情管理をしているのかを明らかにすることである。この2つの課題に対し、現在、日本の大学に在学中の留学生、さらには元留学生と元日本人学生を対象に面接調査を行い、職場内外の人々との応対の場における感情作業とその際の感情管理を明らかにし、元留学生であるがゆえの職場適応の困難度と健全度を感情的側面から解明する。この解明より、留学生や日本人学生にとっての感情的負担がない「健全な職場への適応」のあり方、産業社会にとっての優秀な人材の長期的かつ安定的な確保と活用の方策について提言する。
 2020年度は、第1の研究課題「留学生が大学時代に習得する感情規則および表出規則の解明」に取り組む。そのため、研究分担者の協力を得て、臨床心理学、異文化間教育学、組織心理学における新規参入者の適応および人間関係における感情管理について文献調査を進める。その情報と感情労働研究にて論じられている感情・表出規則に関する知見を踏まえ、現在、日本の大学に在学中の留学生に対し半構造的面接調査の調査項目を作成し、6名の留学生に対し半構造的面接調査を実施してきている。その後、M-GTAに基づく分析により留学時代に習得した感情・表出規則およびその方法について明らかにすると共に、2021年度実施予定の第2課題に関するインタビュー調査への調査の準備を進める。 

備考(Remarks) 共同 

2019  科学研究費補助金  感情労働化する社会と感情労働への適応プロセスに関する研究 
研究代表者  独立行政法人 日本学術振興会  600,000円(2019年度分) 

研究内容(Research Content)  近年、産業界全体のサービス産業化に伴い、「おもてなしの心」を付加価値として活用する動向や過剰な「顧客至上主義」により、どのような仕事であれ、働く人々に自己の感情を犠牲にし、顧客の心に寄り添う「感情労働」の要請が強まっている。そこで本研究では、従来から感情労働が高く要請されてきた職種のみならず、その要請が認識されてこなかった職種にも注目し、2つの目的を設定する。
 第1は、組織心理学、臨床心理学、社会心理学の研究者による横断的視点から定性的および定量的調査を実施、汎用性の高い感情労働尺度の開発と、社会における感情労働化の動向を検証する。第2は、入職時点から現時点に至るまでの就労経験より感情労働への適応プロセスを検証する。この検証結果は、新たな感情労働研究の可能性を示し、労働環境や労働者の精神健康の改善、個人・組織・社会が持つレジリエンスの向上に貢献できよう。
 本研究の最終年にあたる2019年度は、2017年度に実施したインタビュー調査の分析を進め、学会報告としては人間性心理学会第38回大会にて発表、さらに論文として南山大学『アカデミア 人文・自然科学編』や『南山経営研究』にも公表した。2018年度に実施した質問紙調査についても分析を進め、感情労働により生じる効果に関して経営行動科学学会第22回年次大会にて発表した。また、『感情労働化する社会と感情労働への適応プロセスに関する研究―「心の労働」に関する調査報告書:基礎編―』として本研究の報告書の基礎的分析結果を報告書にまとめると共に、本研究で得られた定性・定量データをもとに感情労働への影響要因、感情労働による内的側面について精緻化し、最終的な本研究の目的である適応プロセス・モデルの検証を進めている。 

備考(Remarks)  

2018  科学研究費補助金  感情労働化する社会と感情労働への適応プロセスに関する研究 
研究代表者  独立行政法人 日本学術振興会  500,000円(2018年度分) 

研究内容(Research Content)  近年、産業界全体のサービス産業化に伴い、「おもてなしの心」を付加価値として活用する動向や過剰な「顧客至上主義」により、どのような仕事であれ、働く人々に自己の感情を犠牲にし、顧客の心に寄り添う「感情労働」の要請が強まっている。そこで本研究では、従来から感情労働が高く要請されてきた職種のみならず、その要請が認識されてこなかった職種にも注目し、2つの目的を設定する。
 第1は、組織心理学、臨床心理学、社会心理学の研究者による横断的視点から定性的および定量的調査を実施、汎用性の高い感情労働尺度の開発と、社会における感情労働化の動向を検証する。第2は、入職時点から現時点に至るまでの就労経験より感情労働への適応プロセスを検証する。この検証結果は、新たな感情労働研究の可能性を示し、労働環境や労働者の精神健康の改善、個人・組織・社会が持つレジリエンスの向上に貢献できよう。
 そのため、本研究の2年目にあたる2018年度は、前年度に実施したインタビュー調査の分析を進め、その結果より抽出された要因を感情労働への適応プロセス・モデルの大枠に配置し、検証すべきモデルを構築してきた。この構築された感情労働への適応プロセス・モデルを定量的分析により検証するため、質問紙調査を実施してきている。 

備考(Remarks)  

2017  科学研究費補助金  感情労働化する社会と感情労働への適応プロセスに関する研究 
研究代表者  独立行政法人 日本学術振興会  1,100,000円(2017年度分) 

研究内容(Research Content)  近年、産業界全体のサービス産業化に伴い、「おもてなしの心」を付加価値として活用する動向や過剰な「顧客至上主義」により、どのような仕事であれ、働く人々に自己の感情を犠牲にし、顧客の心に寄り添う「感情労働」の要請が強まっている。そこで本研究では、従来から感情労働が高く要請されてきた職種のみならず、その要請が認識されてこなかった職種にも注目し、2つの目的を設定する。
 第1は、組織心理学、臨床心理学、社会心理学の研究者による横断的視点から定性的および定量的調査を実施、汎用性の高い感情労働尺度の開発と、社会における感情労働化の動向を検証する。第2は、入職時点から現時点に至るまでの就労経験より感情労働への適応プロセスを検証する。この検証結果は、新たな感情労働研究の可能性を示し、労働環境や労働者の精神健康の改善、個人・組織・社会が持つレジリエンスの向上に貢献できよう。
 そのため、2017年度は予備調査の段階と位置づけ、研究課題として社会における感情労働化の動向を検証するために必要な汎用性の高い感情労働尺度の開発、および感情労働への適応プロセスのモデルの構築を進めるため、文献調査とインタビュー調査を中心に実施する。このインタビュー調査で得られたテキストデータに対し定性的および定量的分析を実施し、次年度の研究課題に向け、感情労働尺度の開発と感情労働への適応プロセスに配置すべき要因を詳細に抽出する。 

備考(Remarks)  

2006  南山大学パッヘ研究奨励金I-A-2  経営組織におけるメンタリングの制度的活用を促進するための根拠と有効性に関する調査研究 
     

研究内容(Research Content) 研究助成 

備考(Remarks)  

2005  科学研究費補助金  臨床研修医のメンタリング・プログラム導入の効果に関する研究 
研究分担者     

研究内容(Research Content) 臨床研修医の育成、精神健康の向上のために導入されたメンタリング・プログラムの効果を評価するため、時系列的にデータを収集し、臨床研修医への効果を検証するとともに、プログラム自体の問題点についても検証し、より有効なプログラム開発を提案した。 

備考(Remarks) 平成17年度〜平成19年度 

2005  南山大学パッヘ研究奨励金I-A-2  経営組織におけるストレス・マネジメント―組織内発達支援関係と精神健康との関係性からのアプローチ― 
     

研究内容(Research Content) 研究助成 

備考(Remarks)  

詳細表示
教育活動
年度
Year
タイトル
Title
内容等
Content
活動期間
Period of Activities
2021  株式会社ホンダカーズ東海✕南山大学久村ゼミにおける産学連携プロジェクト産学連携事業 

2021年3月から2022年2月にかけて、名古屋銀行仲介のもと、株式会社ホンダカーズ東海と南山大学久村ゼミの有志9名により、学生が考えるディーラーと若者と車の接点作り、およびホンダカーズ東海のインターンシップ・プログラムを企画・提案した。 

2021/03/15~2022/02/21 
2020  教材の開発 

 2020年度の講義の開講形態がオンライン授業となったことに伴い、共通教育・基盤学際科目「社会の諸相4」(Q4)、総合政策学部総合政策学科科目「数量的アプローチ2」(Q1)、「組織行動論」(Q2)、「産業心理学」(Q3)、「人的資源管理論」(Q4)に関する講義資料(提示資料とレジュメ資料)をオンライン版へと改訂した。 

2020/04/01~2021/01/31 
2005  教科書 

『総合政策論のフロンティア』、共著、2006年3月、南山大学総合政策学部、332p.、藤原道夫、田中恭子、ほか18名、(執筆担当部分:第9章「キャリアをめぐる人的資源政策―若年者の就労とキャリア形成支援の試み―」、pp.179-197、19p.) 

 
2019  2019年度 講義科目 WebClass資料 

2019年度開講科目「数量的アプローチ2」、「産業心理学」、「組織行動論」、「社会の諸相4」、「基礎演習A・C」、「プロジェクト研究Ⅰ~Ⅳ」、「人的資源管理論」におけるWebClassによる提示資料などの作成 

2019/04/01~2020/03/31 
2018  2018年度 講義科目 WebClass資料 

2018年度開講科目「数量的アプローチ2」、「産業心理学」、「組織行動論」、「社会の諸相4」および「基礎演習A・C」、「プロジェクト研究Ⅰ~Ⅳ」、今年度新規開講科目「人的資源管理論」におけるWebClassによる提示資料などの作成 

2018/04/01~2018/03/31 
2017  2017年度 講義科目 WebClass資料 

2017年度開講科目「数量的アプローチ2」、「産業心理学」、「組織行動論」、「社会の諸相4」および「基礎演習A・C」、「プロジェクト研究Ⅰ~Ⅳ」においてWebClassによる提示資料などの作成 

2017/04/01~2017/03/31 
2016  教材 

2004年度秋学期~2016年度秋学期 総合政策学部学科科目「産業心理学」講義資料(電子媒体)の作成 

 
2016  教材 

2005年度秋学期~2016年度秋学期 総合政策学部共通科目「モダンの系譜(社会科学のパラダイム)」講義資料(電子媒体)の作成 

 
2016  教材 

2005年度春学期~2016年度春学期 総合政策学部学科科目「総合政策数量的アプローチ2」講義資料(電子媒体)の作成 

 
2016  教材 

2004年度秋学期~2016年度春学期 総合政策学部学科科目「総合政策論Ⅱ(組織行動論)」講義資料(電子媒体)の作成 

 
詳細表示
研究活動/社会的活動
年度
Year
活動名称
Name of activities
活動期間
Period of Activities
2021  瀬戸市指定管理者選定委員会委員  2021/04/01~2022/03/31 

活動内容等(Content of Activities) 瀬戸市の公の施設を管理する指定管理者候補の選定業務 

2020  瀬戸市指定管理者選定委員会委員  2020/04/01~2021/03/31 

活動内容等(Content of Activities) 瀬戸市の公の施設を管理する指定管理者候補の選定業務 

2017  取材:読売新聞(2018年1月23日朝刊)25面(くらし)12版   

活動内容等(Content of Activities) 読売新聞(2018年1月23日朝刊)25面(くらし)12版での「逆メンター制」に関してコメント寄稿  

2013  広島大学東広島キャンパス メンタリング研修会(講演)  2013/11/05 

活動内容等(Content of Activities) 研修会タイトル:「あなたにもできるメンタリング―メンタリング技術の基礎―」 

2003  第7回働く女性の健康を考えるシンポジウム 講師  2003/11 

活動内容等(Content of Activities) シンポジウム「鬱にならない個、鬱を作らない社会」
テーマ「メンタリングとジェンダー」
性と健康を考える女性専門家の会主催 

1999  能力開発研究部会3月会合 講師  2000/03 

活動内容等(Content of Activities) 「企業におけるメンタリングをめぐる動向−経営組織におけるメンタリング研究と活用−」
日本能率協会マネジメントセンター中部支部主催 

1999  平成11年度働く女性のためのセミナー・パートI講師  1999/09 

活動内容等(Content of Activities) 「メンター・リーダー養成セミナー」
愛知県女性勤労サービスセンター主催 

1998  平成10年度働く女性のためのセミナー・パートII講師  1998/10 

活動内容等(Content of Activities) 「メンター・リーダー養成セミナー」
愛知県女性勤労サービスセンター主催 

1997  平成9年度働く女性のためのセミナー・パートII講師  1997/08 

活動内容等(Content of Activities) 「メンター・リーダー養成セミナー」
愛知県女性勤労サービスセンター主催 

1996  平成8年度女性能力開発セミナー講師  1996/07 

活動内容等(Content of Activities) 「メンター・リーダー養成セミナー」
愛知県女性勤労サービスセンター主催 

詳細表示
著書・学術論文に関する統計情報
年度
Academic Year
学術研究著書の件数
No. of Academic Books
学会誌・国際会議議事録等に掲載された学術論文の件数
No. of Academic Articles in Journals/Int'l Conference Papers
学内的な紀要等に掲載された学術論文の件数
No. of Academic Articles Pub'd in University Bulletins
学会受賞等の受賞件数
No. of Academic Awards Received
国際学会でのゲストスピーカーの件数
No. of Times as Guest Speaker at Int'l Academic Conferences
国際学会での研究発表の件数
No. of Presentations of Papers at Int'l Academic Conferences
国内学会でのゲストスピーカーの件数
No. of Times as Guest Speaker at National Academic Conf.
国内学会での研究発表の件数
No. of Papers Presented at National Academic Conf.
2023 
2022 
2021 
2020 
2019 
2018 
2017 
2016 
2015 
2014 
詳細表示

2024/05/07 更新