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学術論文
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Collaboration
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NeoCILIUS
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掲載誌名 Journal name,出版機関名 Publishing organization,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.,発行年月(日) Date
2022  Le théâtre du Grand-Guignol et l’esthétique du féminicide  単著   
Criminocorpus  , association Criminocorpus  , 21/2023  , 2023/03   

概要(Abstract)  フェミサイドと文学という主題について考えるにあたり、本論ではまず、メディアの発達との関連においてフェミサイドを検討した。幾つかの「三面記事」の分析を通じて、現代社会を支配するミソジニー思想を明らかにした。次に、フェミサイドを特権的主題とする二十世紀初頭の恐怖演劇、グラン=ギニョル劇を取り上げ、この専門劇場においてフェミサイドの審美化がいかに行われたのかを明らかにした。 

備考(Remarks) URL : https://doi.org/10.4000/criminocorpus.12371
 日本語版「グラン=ギニョル劇とフェミサイドの美学」も同時に掲載された。
URL : https://doi.org/10.4000/criminocorpus.12479
 

2021  歴史家が自己を省みるとき―ブシュロン『歴史家を職業とする』、ヴネール『失踪者 シルヴァン・ヴネールに関する調査』について―  単著   
南山大学ヨーロッパ研究センター報  , 南山大学ヨーロッパ研究センター  , 第28号  , pp. 1-11  , 2022/03   

概要(Abstract) 歴史家の自己言及は実証主義歴史学以降タブーとされてきたが、近年においてはイヴァン・ジャブロンカの「方法としての私」など、さまざまな自己言及の試みが行われている。本論では、ブシュロン『歴史家を職業とする』とヴネール『失踪者 シルヴァン・ヴネールに関する調査』を取り上げ、歴史家の自己省察という主題の近年の展開について分析した。 

備考(Remarks)  

2020  歴史におけるフィクションの役割―コルバン『知識欲の誕生』、ヴネール、ブシュロン『条件法の歴史』について―  単著   
南山大学ヨーロッパ研究センター報  , 南山大学ヨーロッパ研究センター  , 第27号  , pp. 13-23  , 2021/03   

概要(Abstract)  近年、フランス歴史学においては、イヴァン・ジャブロンカをはじめとする多くの歴史家によって、歴史と文学の境界を越えるような実験的な歴史作品が創り出されている。本論ではそれらの仕事の中から、コルバン『知識欲の誕生』とヴネール、ブシュロン『条件法の歴史』を取り上げて分析し、歴史家がフィクションを使用することの意味について考察した。 

備考(Remarks)  

2019  歴史家の目がとらえた三面記事事件―イヴァン・ジャブロンカ『レティシア』について―  単著   
南山大学ヨーロッパ研究センター報  , 南山大学ヨーロッパ研究センター  , 第26号  , pp. 63-74.  , 2020/03   

概要(Abstract)  フランスの歴史家イヴァン・ジャブロンカの『レティシア』(2016)を分析した。同作は2011年に起きた三面記事事件を対象にした歴史的研究である。同書はまず、三面記事に対する歴史的=社会学的分析という点で注目に値する。また、形式においても、複数の物語が並行して進行する斬新なスタイルを取っている。以上の点から、同作は現代歴史学に新たな地平を拓く意義深い試みであると考えられる。 

備考(Remarks)  

2018  シャルコーの臨床講義とその文化的影響について  単著   
南山大学ヨーロッパ研究センター報  , 南山大学ヨーロッパ研究センター  , 第25号  , pp. 23-37  , 2019/03   

概要(Abstract)  19世紀後半の医学者ジャン=マルタン・シャルコーの臨床講義が与えた文化的影響について、ディディ=ユベルマン、マルケル、カロワなど近年の研究を参照しながら幅広く検討を行った。並行して、サルペトリエール病院の臨床講義を舞台にしたグラン=ギニョル劇である、アンドレ・ド・ロルド『サルペトリエール病院の講義』について、シャルコーとの関係に注意しながら分析を試みた。 

備考(Remarks)  

2017  イヴァン・ジャブロンカと歴史記述の問題について  単著   
南山大学ヨーロッパ研究センター報  , 南山大学ヨーロッパ研究センター  , 第24号  , pp. 51-62  , 2018/03   

概要(Abstract)  フランスの歴史家イヴァン・ジャブロンカの仕事の現代的意義について考察した。まず、歴史記述に関する理論的考察である『歴史は現代文学である』を検討した。次に、『私にはいなかった祖父母の歴史』と『レティシア』を取り上げ、実際の歴史研究においてその理論がどのように実践されているかを検証した。 

備考(Remarks)  

2016  アルベール・ロンドルと両大戦間のジャーナリズム  単著   
南山大学ヨーロッパ研究センター報  , 南山大学ヨーロッパ研究センター  , 第23号  , pp.87-99  , 2017/03   

概要(Abstract) 両大戦間期に活躍したフランス人リポーター、アルベール・ロンドルのジャーナリストとしての特徴を明らかにした。まず、両大戦間におけるジャーナリズムの状況を確認したうえで、ロンドルの生涯ならびに主要作品を概観した。さらに、幾人かの研究家の意見を参照しつつ、彼のルポルタージュにおける社会批判とその影響力について検証した。 

備考(Remarks)  

2015  グラン=ギニョル劇における痙攣的身体  単著   
南山大学ヨーロッパ研究センター報  , 南山大学ヨーロッパ研究センター  , 第22号  , pp. 103-117  , 2016/03   

概要(Abstract)  グラン=ギニョル劇において神経症的症状をもつ痙攣的身体が重要な役割を果たしていることを確認した。さらに、19世紀以降の精神医学における異常者像の変遷ならびに19世紀末におけるヒステリー研究の流行をたどり、痙攣的身体が同時代のブルジョワ社会の強迫観念のひとつであることを明らかにした。 

備考(Remarks)  

2014  グラン=ギニョル劇における怪物的身体  単著   
南山大学ヨーロッパ研究センター報  , 南山大学ヨーロッパ研究センター  , 第21号  , pp. 1-14  , 2015/03   

概要(Abstract) グラン=ギニョル劇の中から怪物的身体の登場する作品をいくつか取り上げ、このジャンルにおける身体の問題について考察する。ヨーロッパにおける怪物的身体の受容、とりわけ奇形学の発達や近代における「怪物」概念の変貌をたどりつつ、同時代の身体像がどのようにこのジャンルに反映しているかを検証する。 

備考(Remarks)  

2013  グラン=ギニョル劇における異境のイメージ―ロルド、モレル『究極の拷問』における中国像―  単著   
南山大学ヨーロッパ研究センター報  , 南山大学ヨーロッパ研究センター  , 第20号  , pp. 1-16  , 2014/03   

概要(Abstract)  

備考(Remarks)  

2012  グラン=ギニョル劇と細菌学―フランシュヴィル『美しき連隊』を中心に―  単著   
南山大学ヨーロッパ研究センター報  , 南山大学ヨーロッパ研究センター  , 第19号  , pp. 29-37  , 2013/03   

概要(Abstract) 20世紀初頭に誕生したグラン=ギニョル劇は同時代の細菌学の知識を素材として取り入れた。フランシュヴィル『美しき連隊』(1912)はドイツ帝国軍におけるワクチン接種の事故によるバイオハザードを描いているが、そこには当時のブルジョワ階級の衛生意識の高まりや、第一次大戦直前の独仏の緊迫した関係、細菌学における両国のライバル関係などが反映されている。 

備考(Remarks)  

2011  グラン=ギニョル劇と三面記事  単著   
南山大学ヨーロッパ研究センター報  , 南山大学ヨーロッパ研究センター  , 第18号  , pp. 13-24  , 2012/03   

概要(Abstract) 20世紀初頭に誕生したグラン=ギニョル劇は当初から犯罪を特権的主題としていた。その背景にはこの時代の治安意識の急速な高まりがある。この意識の変化は、大衆ジャーナリズムの発達、とりわけ三面記事による犯罪報道の隆盛や、推理小説という新ジャンルの台頭によってもたらされた。グラン=ギニョル劇にもこれらのジャンルと同様、犯罪の脅威を訴えつつ犯罪を審美化するという二重の傾向が認められる。 

備考(Remarks)  

2011  Considérations historiographiques sur l’œuvre de Michelet  単著   
『De l’herméneutique philosophique à l’herméneutique du texte 哲学的解釈学からテクスト解釈学へ』,「テクスト布置の解釈学的研究と教育」第13回国際研究集会報告書  , 名古屋大学大学院文学研究科  , pp. 71-77  , 2012/03   

概要(Abstract) ミシュレは先行する哲学派と物語派の歴史学を総合して新たな歴史記述のスタイルを創造した。またクーザンやヴィーコの哲学の諸要素をも自らの歴史学に貪欲に取り入れた。このような総合的な姿勢は二十世紀のアナール学派の歴史家たちに大きな影響を与えただけでなく、ノラやランシエールといった最近の歴史家や哲学者にも重大な問題を投げかけている。 

備考(Remarks) 日本語版「ミシュレの作品についての歴史記述的考察」も本報告書に収録(pp. 187-193)。 

2011  グラン=ギニョル劇と精神医学  単著   
日本フランス語フランス文学会中部支部研究報告集  , 日本フランス語フランス文学会中部支部  , 第35号  , pp. 35-47  , 2011/11   

概要(Abstract) グラン=ギニョル劇とは二十世紀にパリのグラン=ギニョル座で上演された恐怖演劇である。そこには「医学演劇」と呼ばれる一連の作品があり、同時代の医学とりわけ精神医学の強い影響が認められる。本論文ではアンドレ・ド・ロルド、アンリ・ボーシュ『幻覚の実験室』を取り上げ、そこにシャルコーならびに十九世紀末の精神医学がいかなる影響を与えているかを検証した。 

備考(Remarks)  

2010  文学と医学の接点 グラン=ギニョル劇とシャルコー  単著   
『南山大学ヨーロッパ研究センター報』  , 南山大学ヨーロッパ研究センター  , 第17号  , 1-12  , 2011/03   

概要(Abstract) グラン=ギニョル劇には同時代の精神医学の強い影響が認められる。本論文ではロルド『サルペトリエール病院の講義』を取り上げ、そこで十九世紀末のシャルコーとサルペトリエール学派の理論がどのように描かれているかを検証した。その結果、この作品が当時の医学論争を素材にしているのみならず、グラン=ギニョル劇とサルペトリエールの臨床講義のあいだにスペクタクルとしての共通性があることが判明した。 

備考(Remarks)  

2005  オーギュスタン・ティエリと物語的歴史——『ノルマン征服史』の叙述をめぐって——  単著   
『アカデミア』文学・語学編  , 南山大学  , 79号  , 73-93  , 2006/01   

概要(Abstract) ティエリは『ノルマン征服史』の序文において「決して介入しない」という物語的歴史の原則を立てた。しかし彼は作品中で必ずしもこの原則を守っていない。彼は物語と論述を使い分け、物語によって時代の固有色を出しながら、論述によって時代を越えた国民的同一性を説明する。ここにはティエリが自らに課した二重の役割が認められる。すなわち、歴史批判者としての役割と、国民的歴史の創設者としての役割である。 

備考(Remarks)  

2004  オーギュスタン・ティエリ試論——征服理論をめぐって——  単著   
『アカデミア』文学・語学編  , 南山大学  , 77号  , 75-95  , 2005/01   

概要(Abstract) 「征服」はティエリの歴史における中心的概念であるが、しかし必ずしも彼の征服観はその経歴において一定ではない。彼は初期作品では歴史を征服者と非征服者の対立・葛藤と定義しているのに対し、後期作品においてはむしろ征服前後の連続性と2民族の融和を強調している。これは七月革命後のブルジョワ社会に歴史の帰結を見いだしたティエリの保守的な姿勢の反映ではないかと考えられる。 

備考(Remarks)  

2002  死のロンド:ミシュレ『フランス革命史』におけるロベスピエールの最期について  単著   
『アカデミア』文学・語学編  , 南山大学  , 73号  , 2003/01   

概要(Abstract) 『フランス革命史』の末尾に位置するロベスピエールの死の物語の解釈を試みる。ミシュレがそこに書き込んだ「死のロンド」は、『フランス史』の随所に現れる「死の舞踏」の主題に通じるものであり、例えばジャンヌ・ダルクの受難の対極にある「東洋の神々の受難」を意味する。このような結末は、『革命史』においてミシュレが従来の歴史哲学的な歴史の弁証法を完全に放棄したことを示唆するものである。 

備考(Remarks)  

2001  Le Corps-roi : la critique du 《fatalisme》dans l’Histoire des Temps modernes de Jules Michelet  単著   
『Etudes de langue et litterature francaises』  , 日本フランス語フランス文学会  , 80号  , 51-62  , 2002/01   

概要(Abstract) ミシュレの『近世史』においては、権力者の病める肉体のイメージが氾濫する。これらは、肉体が精神に君臨し、宿命が自由を圧倒する近世という時代を象徴している。さらに言えば、これらの肉体に対する歴史家の執拗な糾弾そのものが、歴史哲学に対する批判を内包している。すなわち、これらの過剰な身振りは、歴史家が歴史自体に異議を唱える権利の実践であり、歴史家の超越性を標榜する歴史哲学への批判なのである。 

備考(Remarks)  

2000  伝説と歴史のはざまで:ミシュレによるジャンヌ・ダルク像  単著   
『アカデミア』文学・語学編  , 南山大学  , 69号  , 149-170  , 2001/01   

概要(Abstract) ミシュレのジャンヌ・ダルク像を同世代の他の歴史家によるジャンヌ像と比較する。ジャンヌはその奇跡的な功績から「歴史」と「伝説」の間に位置する存在である。19世紀において、ギゾーは合理的分析により伝説を破壊しようとし、バラントは分析を拒否して伝説を保存しようとした。ミシュレは第三の道を取り、ジャンヌの「受難」を歴史の弁証法と重ね合わせることで、その奇跡を合理化しつつ伝説を維持しようと試みた。 

備考(Remarks)  

2000  La fonction expiatoire de la mort dans l’Histoire de France au Moyen Age : la fin de Charles le Temeraire  単著   
『Cahiers romantiques』  , ブレーズ・パスカル(クレルモン第2)大学出版局  , 6号  , 273-287  , 2001/01   

概要(Abstract) ミシュレの『フランス史』の中世の末尾に位置する、最後の封建領主シャルル豪胆公の死を通じて、一個人の「死」が中世封建制全体の「贖罪」の機能を果たしていることを検証する。このような死と贖罪の弁証法的関係は、当時のクーザンらの歴史哲学を連想させる。とはいえ、それが歴史家の介入により架空の可能性として提示されていることは、ミシュレが歴史の弁証法を決定論的なものとして受け容れていないことを示唆している。 

備考(Remarks)  

1999  Le recit de mort dans l’Histoire de France de Jules Michelet(博士論文)  単著   
パリ第8大学  , A4用紙380枚  , 2000/03   

概要(Abstract) 『フランス史』の死の物語を取り上げ、ミシュレの歴史記述の独自性を分析する。ミシュレは『中世史』において、個人の死を通して社会を描く象徴的技法を確立した。当時の彼の進歩主義的な歴史哲学は、ジャンヌ・ダルクの「受難」における死の弁証法に集約される。しかし『革命史』以降、ミシュレが従来の進歩主義を失うに従い、死の弁証法は機能しなくなる。このように、ミシュレの叙述スタイルの変化には、彼の歴史観の変貌が反映されている。 

備考(Remarks)  

1997  La mort dans l’Histoire de France (1) : le Moyen Age  単著   
『フランス文学語学研究』  , 早稲田大学大学院文学研究科フランス文学専攻  , 17号  , 149-166  , 1998/01   

概要(Abstract) 「民衆の歴史」という主張を標榜しながらも、ミシュレは歴史作品の中で個人の死の描写に多くのページを割いた。彼の歴史記述においては、特定の個人の死の状況の中に社会全体の運命が反映される仕組になっている。ここでは主著『フランス史』の中世の部を取り上げ、そこに描かれた様々な死を分類し、それぞれに付与された意味を解読することで、ミシュレの歴史記述における「死の物語」の意味作用を明らかにする。 

備考(Remarks)  

1996  Le ≪ Sacerdoce ≫ de l’Histoire : essai sur l’anticlericalisme de Jules Michelet  単著   
『フランス文学語学研究』  , 早稲田大学大学院文学研究科フランス文学専攻  , 16号  , 75-85  , 1997/01   

概要(Abstract) 中期の著作『イエズス会』『司祭、女性、家庭』におけるミシュレの反教権主義について考察する。彼のカトリック攻撃は単に宗教の否定を目指したものではなく、歴史家という「祭祀」を媒介とする新しい宗教の設立の試みと考えられる。ミシュレの反教権運動の原因を、一イエズス会士に対する「私怨」という実証的事実に求めるのは不十分であり、むしろその対抗意識の前提となる彼自身の「宗教性」にこそ注目すべきである。 

備考(Remarks)  

1996  La Recuperation de la ≪ famille perdue ≫ : etude sur la religiosite du Journal et de l’Histoire d  単著   
パリ第8大学  , A4用紙60枚  , 1996/10   

概要(Abstract) ミシュレの公的著作(歴史作品)と私的著作(『日記』等)の間にある平行関係を検討する。ミシュレは『日記』を「失われた家族」の回復の手段としたが、同様の姿勢を彼の後年の歴史記述のスタイルに見ることができる。すなわち、彼は研究対象である過去の民衆と歴史家である自分の間に一種の家族的関係を想定することで、『フランス史』執筆に「失われた家族」の回復という意味を与えようとしたのである。 

備考(Remarks)  

1993  「贖罪」としての歴史−『民衆』序文における自伝的要素について−  単著   
『Etudes francaises −早稲田フランス語フランス文学論集−』  , 早稲田大学文学部フランス文学研究室  , 1号  , 23-33  , 1994/01   

概要(Abstract) ミシュレの公的著作(歴史作品)と私的著作(『日記』等)の間にある平行関係を検討する。『民衆』序文は自伝的要素を多く含んでおり、ミシュレの公的記述と私的記述の接点に位置している。ここでミシュレは自らの民衆としての出自を告白し、「家族」と「民衆」を同一視する。こうして家族への罪責感情を民衆への負債に転換することで、彼は「民衆」に歴史を与えることに個人的贖罪の意味を与えようとするのである。 

備考(Remarks)  

1992  ミシュレにおける自然への恐怖  単著   
『フランス文学語学研究』  , 早稲田大学大学院文学研究科フランス文学専攻  , 12号  , 113-124  , 1993/01   

概要(Abstract) ミシュレの自然に対する姿勢は、初期の否定的態度から後期の肯定的評価へと大きく変化した。ここでは晩年の「博物誌」の最初の2作品『鳥』『昆虫』を通して、ミシュレの自然観の変遷がいかに行われたかを検討する。この2作で描かれるのは単なる自然賛美ではなく、むしろ自然の「馴化」の過程である。ここには自然の内包する「死」に対する恐怖をいかに克服するかという課題があり、その点で歴史作品の「復活」の主題に繋がるものである。 

備考(Remarks)  

1992  ミシュレにおける「死」と「復活」−『日記』の一読解−  単著   
『早稲田大学大学院文学研究科紀要』  , 早稲田大学大学院文学研究科  , 別冊19集  , 85-94  , 1993/01   

概要(Abstract) 「死」はミシュレの歴史思想の主要概念であるが、ここでは『日記』の中の近親者の死に関する記述を通して、それが同時に私的な強迫観念でもあることを検証する。若きミシュレにとって過去を語ることは「喪失」を回復する手段であり、このことが彼の後年の歴史記述のスタイルを決定している。すなわち、「歴史は復活である」という彼の定義は、歴史執筆により自らと過去の民衆の間に擬似的な家族関係を作成する試みなのである。 

備考(Remarks)  

1991  『フランス革命史』における「正義」と「恩寵」について  単著   
『フランス文学語学研究』  , 早稲田大学大学院文学研究科フランス文学専攻  , 11号  , 149-165  , 1992/01   

概要(Abstract) ミシュレの『フランス革命史』の主要概念である「正義」と「恩寵」の関係について再検討を試みる。大革命を「恩寵に対する正義の勝利」と定義しながら、時折「恩寵」の擁護を訴える点に、ミシュレの理想がむしろ二原理の両立にあることが推測される。この両原理はジャコバン派とコルドリエ派、ロベスピエールとダントンの対立の内に体現されており、それらの両立の困難が大革命の挫折を招いたと解釈できるのである。 

備考(Remarks)  

1991  ミシュレ研究  単著   
早稲田大学修士論文  , 1991/03   

概要(Abstract) ミシュレの歴史思想における「統一」と「結合」の二概念を分析する。彼は「統一」を歴史の支配的原理として提示しながらも、これに対して時に「結合」という類似概念を批判的に対置した。この両概念の微妙な差異の内に、彼の思想の内包する根源的な二重性が表れている。ミシュレの歴史思想のもつこのような二元論的性格は、例えば『民衆』における政治観、社会観、教育観などにも確認できる。 

備考(Remarks)  

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