研究者詳細

教職員基本情報
氏名
Name
小林 寧子 ( コバヤシ ヤスコ , KOBAYASHI Yasuko )
所属
Organization
外国語学部アジア学科
職名
Academic Title
教授
専攻分野
Area of specialization

インドネシア近現代史
東南アジア・イスラーム研究

学会活動
Academic societies

東南アジア学会会員
アジア政経学会会員

著書・学術論文数
No. of books/academic articles
総数 total number (30)
著書数 books (11)
学術論文数 articles (19)

出身大学院
大学院名
Grad. School
修了課程
Courses
   Completed
修了年月(日)
Date of Completion
修了区分
Completion
   Classification
津田塾大学大学院国際関係研究科 博士課程  1986年03月  単位取得満期退学 
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取得学位
   
学位区分
Degree
   Classification
取得学位名
Degree name
学位論文名
Title of Thesis
学位授与機関
Organization
   Conferring the Degree
取得年月(日)
Date of Acquisition
修士 国際学修士    津田塾大学大学院  1979年03月 
学士 文学士    津田塾大学  1976年03月 
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研究経歴
長期研究/短期研究
Long or Short
   Term research
研究課題名
Research Topic
長期研究  インドネシア・イスラーム研究 

概要(Abstract) インドネシアでのイスラームの発展を,イスラーム法制度(宗教裁判所の確立,イスラーム法の成文化等),教育,政治と関連させながら検証。 

短期研究  1930年代インドネシア・ムスリムの国際関係認識 

概要(Abstract) 植民地末期に発行された、イスラーム系の定期刊行物を題材として、インドネシア・ムスリムが世界情勢をどのように把握・認識していたかを探る。また、実際にどのように活動したかについては、オランダ側の植民地文書(主に、「秘密報告」)も資料としながら、その足跡をたどる。国際情勢に関する理解が、将来の独立インドネシア国家を構想する際にどのように影響したかも考察する。 

短期研究  イスラーム法のコンテクスト化 

概要(Abstract) 1974年に制定されたインドネシアの婚姻法を他のイスラーム諸地域の婚姻法と比較し,インドネシアの地域的事情に適応させた部分と他地域と共通する部分を検討。イスラーム社会の多様性とそれぞれの地域で独自の発展を見せるイスラーム法学の展開過程を分析。 

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著書
年度
Year
著書名
Title of the books
著書形態
Form of Book
NeoCILIUS
   請求番号/資料ID
Request No
出版機関名 Publishing organization,判型 Book Size,頁数 No. of pp.,発行年月(日) Date
2012  アジアのムスリムと近代:1930年代の出版物から考える  編著   
上智大学イスラーム地域研究センター  , B5  , 72p.  , 2013/3   

概要(Abstract) 執筆担当部分、序文(p.1), 「1930年代インドネシアのイスラーム系定期刊行物:『プドマン・マシャラカット』を中心に(pp.49-71)
従来のインドネシア史研究ではあまり評価されてこなかった1930年代を、イスラーム系雑誌・新聞から再検討しようとする試みを提言。1930年代は植民地政府の統制にも拘わらず、定期刊行物の出版が隆盛した。イスラーム系定期刊行物は、政治との関わりで部分的にしか使用されてこなかったが、その内容は、イスラーム改革、女性問題(教育、婚姻、健康など)、国内政治、海外事情と幅広い。この時代のムスリムは何に関心を持っていたのか、激動する世界情勢をどのように把握していたのかを知る手掛かりとして、定期刊行物は大きな可能性を秘めている。 

備考(Remarks) 上智大学イスラーム地域研究ワーキング・ペーパー第19号
単独編集、山根聡、松本ますみと共著 

2011  岩波講座 東アジア近現代史 新秩序の模索一九三〇年代  共著   
岩波書店  , A5  , 380頁  , 2011/5/27   

概要(Abstract) 1930年代日中戦争が行き詰まる頃から、日本はアジアのムスリムに向けて、日本のムスリムへの共感を宣伝するようになった。日本の親イスラーム的姿勢は、インドネシア(オランダ領東インド)のイスラーム系雑誌でもニュースとなって掲載された。当初は懐疑的にみられる一方、中立的な立場でその真偽を確かめようという姿勢も見られた。1939年、国策団体「大日本回教協会」は「回教展覧会」を企画したが、インドネシアのイスラーム組織連合体にも招待状が届いた。この招待に応じるかについてはイスラーム組織間で意見が分かれたが、結局代表団が送られた。2週間余りの滞在ののちに、代表団は帰国し、「帰国報告」が組織の機関紙に掲載された。そこでは、日本人の規律や勤勉さなどを称賛する反面、東京のモスクで礼拝をするのは外国人ムスリムばかりであったこと、日本人ムスリムはまだ数えるほどしかおらず、日本政府もイスラームをひとつの宗教として認めるにとどまることなどが報告された。日本でイスラームが発展する可能性はきわめて低く、日本政府の親イスラーム的姿勢は実質のないプロパガンダに過ぎないことが看破されるかたちとなった。 

備考(Remarks) 和田春樹他編集、山室信一、西村茂雄、宋連玉他と共著
担当部分「日本のイスラーム・プロパガンダとインドネシア・ムスリム」173-194頁。 

2010  Islam in Contention  共著   
Wahid Institute-CSEAS-CAPAS  , その他  , 468pp+xpp  , 2010/12   

概要(Abstract) インドネシア最大の宗教団体ナフダトゥル・ウラマー、創立大会(1926年)から2004年大会での法学決定を題材として、イスラーム法学上の女性の地位、権利などについて考察した。その結果、古典的蓄積の厚い家族法の分野においては、新しい法学見解は出ていないが、女性の社会的役割に関しては女性の活動範囲を広く認める見解が出されるようになっていることが明らかになった。女性の社会的役割に関しては柔軟な解釈が出る反面、女性団体が長い間問題視している「複婚問題」についてはウラマーの見解が変わるのは難しいことがわかる。 

備考(Remarks) 編集:Ota Atsushi, Okamoto Masaaki, Ahmad Suaedy
ほか11名(インドネシア、日本、台湾の研究者)による論文集。
担当部分:Ulama's Changing Perspectives on Women's Social Status:Nahdlatul Ulama's Legal Opinions:285-318pp. 

2010  イスラームの歴史2 イスラームの拡大と変容  共著   
山川出版社  , A5  , 350頁  , 2010/10   

概要(Abstract) 東南アジア海域世界におけるイスラーム化および「再イスラーム化」を、19世紀・20世紀を中心に述べた。1.植民地支配とイスラーム、2.日本軍政の衝撃、3.独立国家とイスラーム、4.進展するイスラーム化、の順序で、制度、運動体、思想の発展を概観した。 

備考(Remarks) 小杉泰(編)、東長靖、坂井信三、小松久雄、山根聡と共著
担当部分:第7章東南アジア・イスラームの展開(203-240頁) 

2009  The Encyclopedia of Indonesia in the Pacific War  共著   
Brill  , A4  , 700  , 2010/01   

概要(Abstract) 日本占領期の対イスラーム政策がインドネシア・ムスリム社会に与えたインパクトを考察。インドネシア・ムスリム組織の動きと、日本の「回教工作」活動をオランダ植民地支配末期(1930年代)からたどった。ジャワで日本軍とムスリム側の間には多くの交渉があり、特務機関である別班の日本人ムスリム小野信次が重要な役割を果たした。そのほかの地域ではアチェ、メダン以外では特に目立った動きは起きなかった。しかしながら、宗教業績機構の設立に向けて提言書が出されるなど、ムスリム側の状況変化(支配者交代)への対応は敏速であった。オランダ時代に政治から遠ざけられていたムスリム指導者は日本占領期を経て、政治の表舞台に登場するようになった。 

備考(Remarks) 1.Peter Post, William Frederic, Iris Heidebrinkなど43名が執筆。
2.担当部分"Islam during the Japanese Occupation", pp.300-311. 

2008  インドネシア 展開するイスラーム  単著   
名古屋大学出版会  , A5  , 482  , 2008/09   

概要(Abstract)  インドネシアで外来宗教のイスラームはいかにして発展し、今日の社会と政治を形づくっているのか。植民地時代から民主化後の現在(19世紀初頭から21世紀初頭)まで、イスラーム法の浸透と解釈による現地化を軸に、ムスリムの知的営為いや政治との関係に焦点をあてて、動態的に描いた。
 序章では、研究レヴューを行い、インドネシア・イスラーム研究の問題点を整理し、特に、研究者が好んで用いる二項対立型の概念規定がイスラームを動態的にとらえることの障害になることを示した。以下前半の五章が植民地期を、後半の五章が独立後の約60年間を扱った。
 第一章では、アラビア語借用語が、ジャワ語・インドネシアの語の中にどのように浸透しているかを示し、特にイスラーム法学関連用語の多さを指摘した。第二章では、19世紀後半のジャワのイスラーム教育の発展を延べ、第三章・第四章では、イスラーム司法制度の形成とそれを機能させる宗務官吏について、第五章では、植民地行政機構外にある民間のウラマー(宗教学者)が20世紀には組織を立ち上げ、ウマット(ムスリム社会)の指導者としての立場を確立していく過程を描いた。
 第六章では、独立インドネシアの政治史をイスラームの問題を中心に概観した。第七章から第十章までは、現代インドネシアでイスラーム法がどのように再解釈されるようになったか、またその再解釈を可能とする方法論をどのように議論したか、さらに再解釈には社会の動きがどのように反映されているかを論じた。 

備考(Remarks) 南山大学学術叢書 

2004  現代ムスリム家族法  共著   
日本加除出版  , A5  , 519  , 2005/02   

概要(Abstract) インドネシアではイスラーム法が国法の中では限られた分野でしか取り込まれていない。しかし、他のムスリム諸国同様家族法関係の法はイスラーム法の影響が強い。それぞれの規定は古典的なイスラーム法とどのように異なるのか、またどのような問題が論点となって改正への議論が進められているのかを論じた。 

備考(Remarks) 1.柳橋博之、多和田裕、小林寧子、森正美、伊藤弘子 2.担当部分 pp.87-240「インドネシアのイスラーム法と家族法」 

2003  21世紀とイスラーム  共著   
慶應大学出版会  , その他  , 216p.  , 2003/09   

概要(Abstract) 世界最大のムスリム人口を抱えるインドネシアでは、イスラームは政治とどのようなかかわりをもって展開しているのかを、イスラーム組織、ムスリム知識人の動きを政治との絡みで概説。インドネシアで急進派から穏健派までが多様に展開する社会背景を論じた。 

備考(Remarks) 1.小松久男、坂本勉、小杉泰、臼杵陽、鈴木?、小林寧子 2.担当部分 183−214「インドネシアで展開するイスラーム」 

1997  東南アジア史のなかの日本占領  共著   
早稲田大学出版会  , A5  , 574  , 1997/5.30   

概要(Abstract) 担当部分「インドネシア・ムスリムの日本軍政への対応ーージャワにおけるキヤイ工作の展開と帰結」(pp.223-258)日本軍はジャワ占領統治にあたって、住民を日本の戦争目的に動員するためには、キヤイ/ウラマーといったイスラーム指導者の協力が不可欠と考えた。一方、イスラーム指導者の側では、日本軍の足元を見ながら、それを逆利用するようになった。戦争が終結したときに、ジャワでは戦前とは異なり、イスラーム指導者が政治の表舞台で活動する下地ができあたっていた。 

備考(Remarks)  

2006  岩波講座 アジア・太平洋戦争7 支配と暴力  共著   
岩波書店  , A5  , 470  , 2006/05   

概要(Abstract) アジア・太平洋戦争は日本がアジアのムスリムと直接向き合った時代でもあった。戦略研究として「回教研究」が行われ、「イスラームを知ろう」のかけ声が叫ばれた。国内では国策機関として大日本回教協会が設立され、ムスリム工作が展開され、当時まだ数少ない日本人ムスリムもその活動の渦中にあった。中国での工作がほぼ失敗すると、日本軍の関心は南方へ向けられ、占領地東南アジアでムスリムを日本の戦争目的に協力させる必要が生じた。しかし、現地のイスラーム事情に関する認識不足からマラヤではスルタン工作で躓き、イスラーム政策はほとんど行われずに終戦となった。一方、ジャワでは長期滞在経験のある日本人ムスリムの情報提供により、日本軍は「キヤイ」と呼ばれる在野の宗教指導者に働きかけて住民の動員を試みた。その結果、オランダ植民地支配下で政治の表舞台から遠ざけられていたイスラーム勢力は、政党、宗教省という独立インドネシアでの政治活動の基盤を築いた。利用されたキヤイたちは、日本軍を「逆利用した」とも言える。しかし、戦後の日本ではこの経験は長い間忘却され、イスラーム理解のための「貴重な」経験は生かされないできた。 

備考(Remarks) 1.倉沢愛子、中野聡、ブランセンジット・ドゥアラ、小林寧子他11名執筆 2.担当部分「イスラーム政策と占領地支配」63-94頁 

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学術論文
年度
Year
論文題目名
Title of the articles
共著区分
Collaboration
   Classification
NeoCILIUS
   請求番号/資料ID
Request No
掲載誌名 Journal name,出版機関名 Publishing organization,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.,発行年月(日) Date
2015  1920~30年代のインドネシア(オランダ領東インド)のイスラーム系定期刊行物:IPOに基づいて  単著   
SIAS Working Paper Series 26 アジアのムスリムと近代(3):植民地末期の定期刊行物から見た思想状況  , 上智大学アジア文化研究所イスラーム地域研究拠点  , pp.83-108  , 2016年3月   

概要(Abstract) 植民地末期のインドネシアでは、定期刊行物の出版が隆盛した。出版物に対する規制が強化されたにも拘わらず、近代教育の普及、都市中間層の台頭などを背景に、時事報道誌は増加の一途をたどった。オランダ植民地政府のデータ(IPO誌)を基に、その動向を概観した。当初プリブミによる定期刊行物は組織機関誌として出版されたが、次第に一般読者を対象にした情報・報道誌へとその性格を変えていった。イスラーム系の定期刊行物も同様で、特に1930年代中ごろから大幅に増えた。大半は短命であったが、中には全国誌として発展したものもあった。IPOからは、スラカルタ(中部ジャワ)とメダン(北スマトラ)がイスラーム情報の発信地として浮かび上がってくる。 

備考(Remarks)  

2015  第33回ナフダトゥル・ウラマー全国大会:総裁選出方法をめぐる対立  単著   
アジア・アフリカ地域研究  , 京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科  , 第15‐1号  , pp.71-93  , 2015年11月30日   

概要(Abstract) インドネシア最大の宗教社会団体ナフダトゥル・ウラマー(NU)の組織問題を、全国大会での見学をもとに分析。2014年9月に『アジア経済』に掲載された論文の続編でもある。2015年8月のNU全国大会は、総裁選出方法をめぐって組織内部の対立が白日の下にさらされた。この対立からは、現在NUは、影響力あるウラマーの減少、実質的にはジャワに強い地盤を有するにも拘わらず、ジャワ島外の支部が支部数の60パーセントを占めて組織運営が以前にも増して困難になっていることが明らかになった。民主化が制度的に達成されたインドネシアにおいて、NU役員であることが「資産」と見なされ、役職の争奪戦が起きている。しかし、このような中、長老ウラマーが事態の収拾に役割を果たし、その存在感を示すことにもなった。 

備考(Remarks) 査読付 

2014  インドネシア・イスラーム史研究の現在  単著   
歴史評論  , 歴史科学評議会  , 752号  , 39-51頁  , 2014/12   

概要(Abstract) イスラーム研究は2001年「9・11」事件で衝撃を受けて、イスラーム急進派に関する書籍が多く出されたが、その質は疑わしいものであった。それに比べ、インドネシアのイスラームに関する歴史研究は着実に進展している。広いイスラーム世界とのつながりを重視するタリーカ研究と同時に、土着的要素を重視する現地語文献に基づいた研究双方も進展し、相互補完的に理解を深めつつある。日本からも国際レベルで評価される研究が発表されるようになった。 

備考(Remarks) 査読付 

2014  変容するナフダトゥル・ウラマーの二重指導体制:ウラマーの権威と指導力の乖離  単著   
アジア経済  , アジア経済研究所  , 第55巻第3号  , 56-85頁  , 2014/09/15   

概要(Abstract) インドネシア最大の社会宗教団体ナフダトゥル・ウラマーは、ウラマーを中核として、その影響下にある一般信徒が人的につながって構成されている。この構成員の二重構造に対応して、指導部は碩学のウラマーを戴くシュリアと、組織運営の実働体タンフィズィアから構成される二重指導体制である。政治に深く関与して組織拡大するなかでタンフィズィアの機能が大きくなり、最高指導部のシュリアは蔑にされるようになった。組織内ではシュリア復権を叫ぶ声も高いが、影響力のあるウラマーが少なくなっており、その実現は難しい。しかし、ウラマーのモラルを体現するシュリア長(総裁)を戴くことで、何とか宗教社会団体としての矜持を保とうとしている。 

備考(Remarks) 査読付 

2012  The Development of Studies on Islam in Indonesia: Towards a Combination of Area Studies and Islamic Studies  単著   
ACTA ASIATICA  , 東方学会  , No.104  , pp.99-120  , 2013/3   

概要(Abstract) インドネシアのイスラームに関する研究は、どのような時代背景あるいは政治・社会的要請で発展したのかを、を植民地期から現代にいたるまで概観した。特に方法論に着目し、この10年間の目覚ましい発展を遂げたことを指摘した。世界最大のムスリム人口を抱えていながら、イスラーム世界の「辺境」と考えられたインドネシアのイスラームは、第2次大戦後しばらくは、アメリカで隆盛した「地域研究」の中では真剣に取り扱われない傾向にあった。しかし、1970年末の世界的イスラーム復興の中で、インドネシアでもイスラームの影響力が注目され、一時期顧みなれなかった「イスラーム学」が見直されるようになった。欧米ではインドネシア研究への関心は薄れたが、イスラームに関する研究は政治の動向とは関連なく発展を続けている。 

備考(Remarks) 依頼論文 

2007  インドネシアにおけるイスラーム法学理論革新の試み―「イスラーム法集成(KHI)対案」の方法論を中心に  単著   
アジア経済  , アジア経済研究所  , 第48巻第10号  , 25−55頁  , 2007/10/15   

概要(Abstract) 査読付 

備考(Remarks) イスラーム法学は法規定と法学理論から構成される。新しい法解釈をするには方法論上の典拠を示さなければならない。2004年10月にインドネシア共和国宗教省ジェンダー主流化班が提出した「イスラーム法集成対案」には、革新的な内容の法規定とともに方法論上の問題が示された。特に方法論に関しては、法抽出の理念が提示され、法学パラダイムの転換と法判断・法規定抽出の鍵となるカーイダ(法格言、法原則)の見直しが大胆に提起された。この方法論をめぐる議論からは、「シャリーアの目的」、「マスラハ(公益)」、カーイダが方法論革新の鍵になっていることが明らかになった。これはインドネシアのウラマーもイスラームの知的伝統の枠内で思考を重ねていることを示すものである。 

2005  インドネシアにおけるイスラームのベクトル―シャリーア適用問題をめぐって―  単著   
南太平洋海域調査研究報告 No.43 東南アジアにおけるイスラームの現在  , 鹿児島大学多島圏研究センター  , 29−43頁  , 2006/02   

概要(Abstract) イスラームは地域によって多彩な表情を見せるが、同じ地域の中にも穏健派から急進派まで多様なイスラーム集団が見られる。インドネシアのイスラーム思想の潮流の中でも「多元主義」と「イスラーム主義」の生成を歴史的に概観。両者を分けるものはイスラーム法学の方法論であることを指摘し、かつムスリム社会は両者の間で常に揺れていることを示した。 

備考(Remarks) 2003年度多島域フォーラム・シンポジウム成果論文集 

2002  インドネシアにおけるイスラーム思想の展開  単著   
思想  , 岩波書店  , 941  , 178ー190  , 2002/09   

概要(Abstract) インドネシアのイスラーム思想の展開をインドネシアの政治動向と関連させて論じた。イスラーム法学の方法論に着眼し、クルアーン、ハディースを字義通りに解釈する聖典主義に始まり、西洋社会科学をイスラーム宗教学と合体させて時代と地域の事情に適合して柔軟な解釈をする「コンテクスト化」が主流となっていく過程を跡づけた。 

備考(Remarks)  

2001  インドネシアの「味の素」騒動の顛末  単著   
イスラム世界  , 日本イスラム協会  , 57  , 63-75  , 2001/08   

概要(Abstract) 2001年1月にインドネシアで,日系企業P.T.Ajinomoto Indonesiaの生産・販売した調味料「味の素」はイスラム教徒が口にすることのできない食品であるとインドネシア政府機関によって判定され,大きな問題となった。この事件をイスラーム法解釈の方法論から解釈すると同時に,変動の激しいインドネシアの政治状況と絡めて考察し,インドネシアでイスラームが政治とどのように関わって展開してきたかを検討した。 

備考(Remarks) 査読付 

1999  インドネシア・イスラーム研究の半世紀―「地域研究」と「イスラーム学」とのはざま―  単著   
東南アジア研究  , 京都大学東南アジアセンター  , 37巻2号  , 176-193  , 1999/09   

概要(Abstract) 世界最大のムスリム人口を抱えるインドネシアのイスラームに関する研究の流れを追い、その問題点と今後の課題を指摘した。1950年代にアメリカで始まった「地域研究」の影響のもとにインドネシア研究は、戦前のオランダにおける植民地研究と知的断絶があり、いわゆる「イスラーム学」が軽視された。そのために、1970年代までイスラームは等閑視される傾向にあり、インドネシア社会におけるイスラームの役割を評価することができなかった。近代化の時代にも発展するイスラームを知るために必要な方法、史資料の検討を提示した。 

備考(Remarks) 査読付 

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その他研究業績
年度
Year
題名等
Titles
カテゴリ
Category
細目
Authorship
掲載雑誌名等 Publishing Magazine,発行所 Publisher,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.,発行年月(日) Date
2016  ジェンダー言説の昨今  寄稿  単著 
イスラーム・ジェンダー学の構築に向けて  , イスラーム・ジェンダー学構築のための基礎的総合的研究事務局  , 178‐181  , 2017年3月31日   

概要(Abstract) 1990年代以降のインドネシアのイスラーム・フェミニズム言説の展開を概観し、「イスラーム・ジェンダー学」構築プロジェクトへの期待を述べた。 

備考(Remarks)  

2015  Mitsuo Nakamura, The Crescent Arises over the Banyan Tree: A Study of   書評  単著 
東南アジア:歴史と文化  , 東南アジア学会  , 44号  , 178-183  , 2015/5/30   

概要(Abstract) インドネシア第2のイスラーム団体であるムハマディヤの運動の展開を、中部ジャワのジョクジャカルタ、コタグデ地区の100年にわたる社会史として描き出した作品を紹介。1983年に出版された初版に、その後のデータを追加した増補版であるが、30年以上前には描写できなかった1965年9・30事件のインパクトを冷静に分析している点を特に評価した。 

備考(Remarks)  

2013  ナフダトゥル・ウラマーの国際関係認識  史料紹介  単著 
歴史学研究会編『世界史史料 12 二一世紀の世界へ 日本と世界 16世紀』  , 岩波書店  , 325-327頁  , 2013年4月18日   

概要(Abstract) 1930年代後半、日中戦が行き詰まる中、日本軍はイスラーム圏との交流を強化することを画策していた。インドネシアのイスラーム団体ナフダトゥル・ウラマーが当時の日本からの宣伝誌をどう受け止めたかをその機関誌に掲載された記事から解説。国際情勢に疎いと思われたウラマー集団が、安易にプロパガンダに乗らず、状況を見極めようと冷静に対処する様子が窺える。 

備考(Remarks)  

2012  ムスリムの暮らし:変わる時間の観念・衣・食(第13章)  寄稿  単著 
現代インドネシアを知るための60章(村井吉敬・佐伯奈津子・間瀬朋子編著)  , 明石書店  , pp.86-90(5p.)  , 2013/1/30   

概要(Abstract) インドネシアのムスリムの宗教実践は、広いイスラーム世界で共通のものを軸に、地方色豊かな慣習もある。また、それもグロバール化の波の中で変化しつつあることを概観。 

備考(Remarks)  

2012  宗教:国家と多宗教社会(第26章)  寄稿  単著 
現代インドネシアを知るための60章(村井吉敬・佐伯奈津子・間瀬朋子編著)  , 明石書店  , pp.157-161(5p.)  , 2013/1/30   

概要(Abstract) 多宗教国家インドネシアでは、特定の宗教を国境としていないが、国家は国民の宗教生活を保障しなければならないと考えられている。そのために、宗教事項に係る制度が整えられている、宗教省という特別な官庁が存在し、それぞれの宗教に従った教育、結婚を監督している。異宗教間の調和を図る努力が行われているが、ときによってはそれが宗教摩擦を引き起こすこともある。 

備考(Remarks)  

2012  イスラーム:多様な展開(第27章)  寄稿  単著 
現代インドネシアを知るための60章(村井吉敬、佐伯奈津子、間瀬朋子編著)  , 明石書店  , pp.162-167(6p.)  , 2013/1/30   

概要(Abstract) 世界最大のムスリム人口を抱えるインドネシアでは、イスラーム系組織は、社会宗教団体、政党、半官半民組織とその様態は様々であり、宗教見解もそれぞれで異なる場合が多い。一般信徒は学校教育、各講話、個人相談、メディア、一般書籍、ネットなどを通して宗教知識を得る。近年は、特定の組織に属さない説教師が多く登場したことが注目されるが、老舗の宗教団体の地位は揺るぎない。しかし、宗教間の対立を先鋭化させる新しい宗教集団の活動を抑止する影響力を行使するには至っていない。 

備考(Remarks)  

2011  再生するインドネシアー-ムスリム民主主義大国への道  寄稿  単著 
最近の世界の動き  , 山川出版社  , 21  , 1-6  , 2011/4/25   

概要(Abstract) 経済発展で脚光を浴びるインドネシアでは、イスラーム団体が市民社会の土台になっていることを、ふたつの主流団体の性格を中心に説明した。多宗教多民族社会の調和には宗教指導者が大きな役割を担ったが、イスラーム圏にあっては例外的に民主主義的制度が整備した。 

備考(Remarks)  

2009  グス・ドゥルを読み解く  寄稿  単著 
インドネシア ニュースレター   , 日本インドネシアNGOネットワーク  , 70  , 12  , 2010年1月   

概要(Abstract) インドネシアのイスラーム知識人、アブドゥルラフマン・ワヒド(インドネシア共和国第4代大統領、2009年12月30日に逝去)の社会政治活動を総括。 

備考(Remarks)  

2008  東南アジア  研究動向  単著 
イスラーム世界研究マニュアル  , 名古屋大学出版会  , pp.277-284  , 2008年7月   

概要(Abstract) 東南アジアのイスラームに関する研究動向を、4つのテーマ:「イスラームのネットワークと東南アジア」「イスラームと法制度」「イスラームの民主化と市民社会」「東南アジアにおける“土着的なもの”と“イスラーム的なもの”」に分けて解説した。また、この分野における基本文献をリストアップして示した。 

備考(Remarks)  

2008  インドネシア・ナショナリズムの萌芽  史料解説  単著 
世界史史料 9 帝国主義と各地の抵抗 2  , 岩波書店  , 343-344  , 2008年6月   

概要(Abstract) インドネシア史で「民族覚醒の母」とされるカルティニの書簡を取り上げ、解説。なぜカルティニが様々なイメージで語られるかを考察。 

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研究発表
年度
Year
題目又はセッション名
Title or Name of Session
細目
Authorship
発表年月(日)
Date
発表学会等名称 Name, etc. of the conference at which the presentation is to be given, 主催者名称 Organizer, 掲載雑誌名等 Publishing Magazine,発行所 Publisher,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.
2016  植民地期インドネシアのイスラーム系定期刊行物から見た世界:試論  単独  2017年3月31日 
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同利用・共同研究課題  , 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所   

概要(Abstract) 1920年代から1940年代初頭(日本軍占領直前)までの、植民地東インドにおけるイスラーム系定期刊行物の出版状況を概観し、史資料としての可能性を述べる。従来のナショナリズム偏重の研究による問題点にも触れた。 

備考(Remarks)  

2015  インドネシアのムスリムとパレスチナ問題:1920~30年代のイスラーム系定期刊行物を中心に  単独  2015年3月2日 
ワークショップ「アジアのムスリムとパレスチナ問題」  , 上智大学イスラーム研究センター   

概要(Abstract) インドネシアでは一般のパレスチナ問題に対する関心は高い。パレスチナ問題はどのように報道されて人口に膾炙するようになったのか、植民地期(1920年代、30年代)のイスラーム系定期刊行物を題材にして追ってみた。そうするとふたつの流れが見えてきた。ひとつはカイロのインドネシア留学生が発信した情報が20年代後半から掲載されており、パレスチナ問題への関心を喚起している。もうひとつは、英領インド発祥のアフマディヤ経由の情報がヨーロッパ列強の動向とともに届いていることがわかった。20年代半ばは、オスマン朝崩壊でカリフ制が廃止され、また聖地をサウード家が支配するようなり、イスラーム世界の地図が大きく変わると同時にムスリムの世界観も大きく変容していく転換期であった。その中でパレスチナ問題は、列強の利害に弄ばれるムスリムへの共感を強く呼び起こした。 

備考(Remarks)  

2015  第33回ナフダトゥル・ウラマー全国大会:総裁選出方法をめぐる対立  単独  2015年12月5日 
第94回東南アジア学会研究大会  , 東南アジア学会   

概要(Abstract) 内容は『アジア・アフリカ地域研究』第15‐1号に掲載されたものと同じ。 

備考(Remarks)  

2013  イスラーム定期刊行物から見る1930年代の世界:資料としてのPedoman Masjarakat とAdil  単独  2014/3/28 
セミナー「世界史の中のインドネシアを考える」  , 南山大学外国語学部   

概要(Abstract) 1930年代を代表するふたつのイスラーム系定期刊行物をとりあげ、そこに掲載された海外情報を概観。海外情報は紙面の約2~3割を占め、バランスのとれた情報を提供している。 

備考(Remarks)  

2013  1930年代インドネシアのイスラーム定期刊行物  単独  2013/11/14 
1930年代の東南アジアのムスリムと定期刊行物  , イスラーム地域研究上智大学拠点   

概要(Abstract) 植民地期末期の1930年代、インドネシアで発行されたイスラーム系の定期刊行物を、IPO(原住民および中国人マレー語新聞雑誌記事摘要)掲載のリストをもとに概観。定期刊行物件数、発行地の推移から、イスラーム系定期刊行物の隆盛を論じた。 

備考(Remarks)  

2012  日本の回教工作の展開と帰結:インドネシアを中心に  単独  2012/12/1 
研究会“戦時期日本の喇嘛・回教工作  , 新学術領域研究「ユーラシア地域大国の比較研究」第4班   

概要(Abstract)  

備考(Remarks)  

2011  1930年代インドネシア・ムスリムの国際関係認識  単独  2012年1月29日 
ワークショップ「東南アジアムスリムと近代」  , NIHUイスラーム地域研究上智大学拠点   

概要(Abstract) 植民地末期のインドネシア(当時オランダ領東インド)では多くのイスラーム系定期刊行物が発行された。そこには中東、ヨーロッパ、アジアの緊迫する国際情勢に関する情報が多く掲載されていた。出版の状況、記事の内容、宣伝、掲載形態などを概観。 

備考(Remarks)  

2001  Official Fatwa and Ummah in Indonesia  単独  2001/10 
International Symposium “The Dyna-mism of Mus-lim Society”   

概要(Abstract) インドネシアの半政府機関であるウラマー評議会(MUI)が過去4半世紀にわたって発表したファトワ(法学裁定)を,その方法論ならびに社会学的視点から検討。インドネシアにおけるイスラーム法学の発展との関わり,ならびに,一般信徒の反応から現代のウラマー(イスラーム学者)の役割を見直し,法形式主義と二元的解釈の限界を指摘した。 

備考(Remarks)  

2001  現代インドネシアのイスラーム思想潮流−アブドゥルラフマン・ワヒドを中心に−  単独  2001/06 
東南アジア史学会第65回研究大会   

概要(Abstract) 従来「イスラーム伝統派」ウラマーに分類されてきたイスラーム知識人の代表格であるアブドゥルラフマン・ワヒドの著した約300点の論考を,それが書かれたインドネシアの政治社会状況と関連づけて分析。彼のめざした,「イスラームの多元主義」,「イスラームの土着化」等の思想がどのように形成されてきたかを検討。 

備考(Remarks)  

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研究活動/社会的活動
年度
Year
活動名称
Name of activities
活動期間
Period of Activities
2016  中東・イスラーム教育セミナー  2016年9月18日 

活動内容等(Content of Activities) 「多民族多宗教国家の中のイスラーム:インドネシアとマレーシアの比較」と題して講演 

2016  中東学会第22回公開講演会  2016年11月20日 

活動内容等(Content of Activities) 「インドネシア――ムスリム民主主義大国への道」と題して講演(多治見市文化会館) 

2013  講演会  2014/3/7 

活動内容等(Content of Activities) インドネシアのジョクジャカルタ市のスナン・カリジョゴ国立イスラーム大学で、「最近20年の日本におけるイスラーム研究の発展」と題する講演を行った。日本で1990年代半ばから行われている「イスラーム地域研究」プロジェクトの展開と成果について論評した。 

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著書・学術論文に関する統計情報
年度
Academic Year
学術研究著書の件数
No. of Academic Books
学会誌・国際会議議事録等に掲載された学術論文の件数
No. of Academic Articles in Journals/Int'l Conference Papers
学内的な紀要等に掲載された学術論文の件数
No. of Academic Articles Pub'd in University Bulletins
学会受賞等の受賞件数
No. of Academic Awards Received
国際学会でのゲストスピーカーの件数
No. of Times as Guest Speaker at Int'l Academic Conferences
国際学会での研究発表の件数
No. of Presentations of Papers at Int'l Academic Conferences
国内学会でのゲストスピーカーの件数
No. of Times as Guest Speaker at National Academic Conf.
国内学会での研究発表の件数
No. of Papers Presented at National Academic Conf.
2016 
2015 
2014 
2013 
2012 
2011 
2010 
2009 
2008 
2007 
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2017/04/26 更新