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研究発表
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年度
Year
題目又はセッション名
Title or Name of Session
細目
Authorship
発表年月(日)
Date
発表学会等名称 Name, etc. of the conference at which the presentation is to be given, 主催者名称 Organizer, 掲載雑誌名等 Publishing Magazine,発行所 Publisher,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.
2018  福祉型信託の利用拡大にあたっての日本法の課題-受益権の法的性質を中心に-  単独  2018/06/09 
信託法学会  , 信託法学会   

概要(Abstract)  みずほ総合研究所の調査によれば、2035年には金融資産の39%、有価証券の50%を70歳以上の高齢者が保有すると推計され、他方資産形成層(30代、40代)の金融資産額や定年退職時の退職給付額は減少傾向にある。このため、高齢者から現役世代や将来世代に資産をどのように効率的に承継・移転していくかが、社会保障や経済成長などの観点において課題となる。そこで、高齢者などの財産保有者がその者の意図通りに、現在および将来にわたって、安全確実に財産が管理され、その者の意図通りに財産の承継がなされる仕組み、制度が望まれる。
 しかし、財産保有者が高齢者であることや、財産の承継人が未成年者であったり、障害者であったりすることから、管理または承継される財産が、財産保有者の意図通りに利用されずに費消されたり、財産保有者や承継人の財産状況によっては、破産管財人などの第三者に移転したりすることがある。そこで、換金を目的とした自発的な移転行為または法もしくは裁判所による強制的な受益権の移転行為を禁止し、受益権を保護することが期待される。これは、高齢者などの保有する資産を次世代や家族間で有効に利用することにつながり、増大する社会保障費(医療費、教育費、生活保護費、介護費など)の促成の一助になりえる。
 具体的には、高齢者、障害者および未成年者などの財産管理を目的とした信託や、財産を現役世代や次世代に承継することを目的とする信託である。いずれの信託においても、受益権が任意または強制であるとを問わず、第三者に受益権(信託財産)が移転されることを阻止することが、委託者の期待するところである。
 本報告では、①受益権の譲渡禁止、②受益権の差押禁止、強制執行の禁止、③破産財団等への組み込みの否定という三つの論点にしぼり、検討を行う。検討にあたっては、まず信託発祥の国であるイギリスにおけるこれらの論点に関する議論を検討、分析し、そこでの法理を解明し、我が国での、受益権の任意・強制処分の制限(禁止)の可否について、一定の方向性を提示することができればと考えている。
 

備考(Remarks)  

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