研究者詳細

教職員基本情報
氏名
Name
梅垣 宏嗣 ( ウメガキ ヒロツグ , UMEGAKI Hirotsugu )
所属
Organization
経済学部経済学科
職名
Academic Title
講師
専攻分野
Area of specialization

西洋経済史
イギリス経済史
イギリス社会政策史

学会活動
Academic societies

社会経済史学会
政治経済学・経済史学会
社会政策学会

著書・学術論文数
No. of books/academic articles
総数 total number (8)
学術論文数 articles (8)

出身学校
学校名
Univ.
卒業年月(日)
Date of Graduation
卒業区分
Graduation
   Classification2
関西学院大学経済学部 2002年03月  卒業 
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出身大学院
大学院名
Grad. School
修了課程
Courses
   Completed
修了年月(日)
Date of Completion
修了区分
Completion
   Classification
名古屋大学大学院経済学研究科社会経済システム専攻 博士後期課程  2010年03月  単位取得満期退学 
名古屋大学大学院経済学研究科社会経済システム専攻 博士前期課程  2004年03月  修了 
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取得学位
     
学位区分
Degree
   Classification
取得学位名
Degree name
学位論文名
Title of Thesis
学位授与機関
Organization
   Conferring the Degree
取得年月(日)
Date of Acquisition
博士 博士(経済学)  イギリスにおける国家福祉と民間福祉の協調関係 ―国民健康保険制度からベヴァリッジ「自由社会」構想へ―  名古屋大学大学院  2013年03月25日 
修士 修士(経済学)  戦後初期イギリスにおけるボランタリー組織と国家の関係について ―友愛組合の位置付けに関するベヴァリッジの議論を中心に―  名古屋大学大学院  2004年03月25日 
学士 学士(経済学)  社会政策の決定要因  関西学院大学 2002年03月25日 
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研究経歴
長期研究/短期研究
Long or Short
   Term research
研究課題名
Research Topic
長期研究  イギリス社会福祉形成史における包括性と自律性 

概要(Abstract) 社会福祉給付の包括性(広範なセーフティーネット)と個人の自律性(自助・自治・自己選択)の関係について、イギリスにおける連綿とした福祉的営為の歴史を紐解くことにより、その実像を明らかにしていく。 

短期研究  両大戦間期イギリスの国民健康保険制度における認可組合自治について 

概要(Abstract) 1911年国民保険法の第一部「国民健康保険」制度は、国から認可を受けた民間組織が保険運営実務を受託するという形で運営が行われていた。これは認可組合制度と呼ばれ、各認可組合は少なくとも形式上は自治組織とされ、被保険者自身による自治・自主運営が期待されていた(研究史においては「自治は形骸化していた」とされている)。そして本研究では、国家福祉が拡充されていく時代における「個人の自律性」の問題を、認可組合自治の分析を通じて考察していく。 

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学術論文
年度
Year
論文題目名
Title of the articles
共著区分
Collaboration
   Classification
NeoCILIUS
   請求番号/資料ID
Request No
掲載誌名 Journal name,出版機関名 Publishing organization,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.,発行年月(日) Date
2018  Medical Knowledge of Dental Disease and Treatment before the National Health Insurance Scheme in Britain  単著   
南山経済研究  , 南山大学経済学会  , 第33巻第3号  , pp. 353-361  , 2019/03/31   

概要(Abstract) The purpose of this research is to clarify medical knowledge of dental disease and treatment in Britain before the introduction of the National Health Insurance scheme, that is, before 1911. The most serious issue was the high rate of children's dental disease, and many dentists and researchers examined children's dental condition. The causes of dental disease were considered to be bacterial infection, malnutrition and so on. Dentistry subsequently advanced to cover bacteriology and nutrition. 

備考(Remarks)  

2018  イギリス国立公文書館の開放性・柔軟性・国際性について―歴史的背景と現在の取り組みを手掛かりに  単著   
アルケイア―記録・情報・歴史―  , 南山アーカイブズ  , 第13号  , pp. 57-75  , 2018/11/30   

概要(Abstract) 本稿の目的は、イギリス国立公文書館について、設立の経緯、所蔵文書の内容、文書管理の方法、永久保存する文書の選択プロセス等を分析することにより、その基本的性質を明らかにすることにある。そして、分析の結果明らかになった同館の性質としてまず目を引くのは、その開放性と柔軟性である。同館には、世界中から歴史家・研究者が集まり、日々史料調査が営まれているが、所蔵文書に関しては、基本的に誰でも自由に利用することができる。そして、こうした開放性は、イギリスのアーカイヴにおいて、歴史的に古くから見られた性質であった。さらに、テクノロジーの進歩や、利用者の新たな要望を迅速に取り込み、絶えず利便性・効率性の向上が図られてきただけでなく、文書の積極的利用を促進するための独自の取り組みを加速させており、時代の変化に即応する柔軟性を有している。また、同館が所蔵する史料群には、旧植民地やコモンウェルスを中心に、イギリス以外の国や地域に関する文書も数多く含まれており、イギリスの帝国たる側面をうかがわせつつ、その国際性を示しているのである。 

備考(Remarks)  

2017  The economic situation and National Health Insurance in Nottinghamshire in the interwar years: overview of a new coalfield  単著   
南山経済研究  , 南山大学経済学会  , 第32巻第3号  , pp. 269-288  , 2018/03/31   

概要(Abstract) This article examines the relationship between economic situation and the administration of the National Health Insurance (NHI) in Nottinghamshire. In the interwar years Nottinghamshire was representative of new coalfields with unique economic characteristics. Modern collieries had better productivity, safety, and wages than old ones. Furthermore, there was sustainable development in various other industries, which contributed to the economy of Nottinghamshire. This provided inhabitants of Nottinghamshire, including coal miners, with better housing conditions, than in the old coalfields. Miners from older coalfields moved to newer ones such as Nottinghamshire in search of better wages and labour conditions. However, this increased the complexity of NHI administration. 

備考(Remarks) ※公益財団法人日東学術振興財団の助成による研究成果 

2015  両大戦間期イギリスにおける国民健康保険制度と炭鉱労働者―炭鉱労働者認可組合の分析を中心に  単著   
南山経済研究  , 南山大学経済学会  , 第30巻第2号  , pp.71-92  , 2015/10/31   

概要(Abstract)  イギリス国民健康保険制度(1911~46年)は、疾病給付(罹患時に支給される現金給付)を柱とした制度であり、認可組合と呼ばれる民間組織が各々財政的に独立した形で自治的運営を行うという点に大きな特徴があった。そして、財政的な独立性により、主に罹患リスクの高さの差異によって給付内容に格差が生じており、危険職種である炭鉱労働者によって組織された認可組合は、とりわけ不利な状況にあった。
 ただし、炭鉱労働者認可組合の中でも、非炭鉱労働者を受け容れるのか否かといった運営方針や、財政的独立性を解消して単一の基金のもとでプーリング機能を保証していくべきか否かといった制度そのものに対する考え方の点で、大きな隔たりがあった。そして今後の研究では、こうした相違の含意を、実態分析を通じて、いっそう明らかにしていかなければならない。 

備考(Remarks) ※「2014年度パッヘ研究奨励金I-A-2」(Nanzan University Pache Research Subsidy I-A-2 for the 2014 academic year)による研究成果 

2014  ヨハネス・ヒルシュマイヤー「貿易摩擦、行革、資本主義の危機ー日本の役割」翻訳と解説  単著   
アルケイア―記録・情報・歴史ー  , 南山アーカイブズ  , 第9号  , pp. 139-156  , 2015/03/16   

概要(Abstract)  

備考(Remarks)  Johannes Hirschmeier, 'Boeki Masatsu, Gyokaku and the Crisis of Capitalism: The Role of Japan'に関する、翻訳および解説。
 原著は、『南山学園史料集10 ヨハネス・ヒルシュマイヤー著作集 教育論』南山アーカイブズ、2015年に収録。 

2013  両大戦間期イギリス国民健康保険制度における認可組合自治と被保険者選択  単著   
南山経済研究  , 南山大学経済学会  , 第28巻第3号  , pp.245-264  , 2014/03/31   

概要(Abstract)  イギリス国民健康保険制度(1911~46年)の運営体制である認可組合制度とは、国民健康保険の運営実務機関として認可された各種の民間組織、すなわち認可組合が、そこに加入する被保険者自身による自治を以て保険運営を遂行していくことを理想とした制度であった。ただし研究史においては、自治の形骸化や、運営面における官僚主義化が指弾されており、こうした解釈に反駁する議論も(本稿筆者による過去の研究も含めて)、十分な実証的根拠を提示することはできなかった。このような背景を踏まえて本稿では、認可組合制度について、主に①認可組合自治のあり方、②認可組合と被保険者の関係という観点から改めて詳細に分析し、以下の事実を明らかにした。
 各認可組合は、自治の実態、自治に対する考え方、運営実務の実態、運営実務に対する考え方、国民健康保険制度そのものに対する考え方において、有意な相違を見せた。そしてこうした相違には、各組合の19世紀における民間組織としてのあり方やその成り立ちの違いが極めて濃厚に反映されていた。すなわちイギリス国民健康保険制度(1911~46年)とは、各民間組織が19世紀以来保持してきた独自性の発露される場でもあったのであり、既存研究で描かれてきたような自治の形骸化や官僚主義化といったイメージだけでは語りえない、歴史的経路依存性に基づく多面性・重層性を有していたのである。 

備考(Remarks) ※「2013年度パッヘ研究奨励金I-A-1」(Nanzan University Pache Research Subsidy I-A-1 for the 2013 academic year)による研究成果 

2012  両大戦間期イギリスにおける労働と福祉について―国民健康保険制度の運営実態分析を中心に  単著   
経済科学  , 名古屋大学大学院経済学研究科  , 第60巻第3号  , pp. 181-198  , 2013/03/31   

概要(Abstract)  イギリスにおける国民健康保険制度(1911~48年)は,その運営方式に大きな特徴があった。すなわち,拠出と給付を管理運営するのは政府組織ではなく,認可組合と呼ばれる民間組織であり,被保険者自身による自治が期待されていた。しかし全体的に見ると自治が有効に機能していなかったこともあり,この認可組合を通じた運営は,同時代を生きたG・ギボン卿からも「非政府的官僚制」と揶揄された。また国民健康保険制度そのものも,その給付の不十分さゆえに批判が絶えなかった。
 しかし国民健康保険制度は,その給付の不十分さと引き換えに常に財政黒字を維持してきた。そしてこの国保基金は,第一次大戦後の不況地帯における高失業やゼネストにより生じた社会的コストを,目的外使用という形ではあったものの,部分的に引き受けることができた。すなわち国民健康保険制度は,健康保険分野における給付こそ不十分ではあったが,それゆえに戦間期の危機的状況の中で,緩衝帯として一定の役割を果たすことができるだけの資金的余裕と柔軟性を持ちえたのである。
 さらに,各認可組合の自治に対する考え方には大きな開きがあった。既存研究で指摘されてきた通り簡易生命保険会社は確かに自治に全く関心を持っていなかったが,支部連合型友愛組合は自治に強い関心を持っていた。また支部連合型友愛組合の間でも支部の独立性に違いがあるなど,少なくとも「官僚主義的」との一言では表現しえない程に国民健康保険運営のあり方は様々であり,被保険者の多様な嗜好にも一定程度応えうるだけの多様性を持っていたのである。 

備考(Remarks)  

2009  ベヴァリッジによる「自由社会のための計画化」の変容―「友愛組合活用論」から「ヴォランタリー活動促進論」へ―  単著   
社会経済史学  , 社会経済史学会  , 第75巻第6号  , pp. 25-45  , 2010/03/31   

概要(Abstract)  1940年代における社会政策をめぐる対立の基本的構図は,「計画化」を志向する労働党およびベヴァリッジが,「計画化」に消極的なチャーチル率いる保守党に対抗するという形で描かれてきた。しかし労働党とベヴァリッジもまた「ベヴァリッジ・プラン」の解釈をめぐって対立関係にあり,前者は中央集権的な国家福祉の拡充を重視した「福祉国家のための計画化」を,後者は国家活動とヴォランタリー活動の協調関係を重視した「自由社会のための計画化」を企図し,戦後は前者が主流の地位を得た。こうした中でベヴァリッジは,友愛組合を国家福祉の枠組みの中で活用するという当初の構想から,友愛組合を含めたヴォランタリー活動全般を促進するという構想へと,自らの「計画化」を変容させていった。この変容過程は,彼が友愛組合の限界を強く意識し,それを克服すべく試行錯誤していく過程であった。すなわち彼は,ヴォランタリー活動を無条件に肯定していたのではなく,むしろその活動の具体的な問題性を自ら掘り起こすとともに解決策を模索していたのであり,ここに自由主義的介入を旨とする彼の議論の独自性が見出されるのである。 

備考(Remarks) ※査読あり 

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その他研究業績
年度
Year
題名等
Titles
カテゴリ
Category
細目
Authorship
掲載雑誌名等 Publishing Magazine,発行所 Publisher,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.,発行年月(日) Date
2014  解題 "Boeki Masatsu, Gyokaku to Shihonshugi no Kiki -Nihon no Yakuwari-"  解題  単著 
『南山学園史料集10 ヒルシュマイヤー著作集 教育論』  , 南山アーカイブズ  , pp.202-203  , 2015/03/16   

概要(Abstract)  

備考(Remarks)  Johannes Hirschmeier, 'Boeki Masatsu, Gyokaku and the Crisis of Capitalism: The Role of Japan'に関する解題。 

2013  解題「経済発展は自由市場体制によるべきか中央計画によるべきか」  解題  単著 
ヨハネス・ヒルシュマイヤー(川崎勝・林順子・岡部桂史編)『工業化と企業家精神』  , 日本経済評論社  , pp.470-471  , 2014/03/18   

概要(Abstract)  

備考(Remarks)  ヨハネス・ヒルシュマイヤー「経済発展は自由市場体制によるべきか中央計画によるべきか」(『アカデミア』第36号、南山学会、1963年2月)に関する解題。 

2013  解題「経営イデオロギーの比較史―西洋と日本―」  解題  単著 
ヨハネス・ヒルシュマイヤー(川崎勝・林順子・岡部桂史編)『工業化と企業家精神』  , 日本経済評論社  , pp.482-484  , 2014/03/18   

概要(Abstract)  

備考(Remarks)  Johannes Hirschmeier, "Management Ideologies, East and West", The Japan Industrial Relations Research Association and The Japan Institute of Labour, The 1971 Asian Regional Conference on Industrial Relations, March 16-19, 1971, Tokyo, Japanの、稲葉公一氏による新訳版に関する解題。 

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研究発表
年度
Year
題目又はセッション名
Title or Name of Session
細目
Authorship
発表年月(日)
Date
発表学会等名称 Name, etc. of the conference at which the presentation is to be given, 主催者名称 Organizer, 掲載雑誌名等 Publishing Magazine,発行所 Publisher,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.
2016  両大戦間期イギリスにおける国民健康保険制度と炭鉱業・炭鉱労働―炭鉱労働者認可組合による運営の実態と諸言説を手掛かりに―  単独  2016/06/11 
社会経済史学会  , 北海道大学   

概要(Abstract)  

備考(Remarks) ※公益財団法人日東学術振興財団の助成による研究成果 

2015  イギリスにおける炭鉱史・炭鉱労働史と国民健康保険制度史の接合点について―炭鉱労働者認可組合の分析を手掛かりに―  単独  2016/03/19 
名古屋経済史研究会  , 名古屋大学   

概要(Abstract)  

備考(Remarks) ※公益財団法人日東学術振興財団の助成による研究成果 

2015  両大戦間期イギリスにおける国民健康保険制度と炭鉱労働者―炭鉱労働者認可組合の分析を中心に―  単独  2015/10/21 
南山学会  , 南山大学   

概要(Abstract)  

備考(Remarks) ※拙著「両大戦間期イギリスにおける国民健康保険制度と炭鉱労働者―炭鉱労働者認可組合の分析を中心に―」(『南山経済研究』、第30巻、第2号、南山大学経済学会、2015年10月)の内容を基にした研究報告。 

2014  両大戦間期イギリスにおける産業構造・就業構成の地域特性と社会保険の関係について  単独  2014/07/12 
政治経済学・経済史学会東海部会  , 名古屋大学   

概要(Abstract)  

備考(Remarks)  

2013  イギリス国民健康保険制度とベヴァリッジ「自由社会」構想  単独  2013/06/26 
南山学会  , 南山大学   

概要(Abstract)  

備考(Remarks) ※博士学位論文「イギリスにおける国家福祉と民間福祉の協調関係 ―国民健康保険制度からベヴァリッジ『自由社会』構想へ―」の内容を基点として発展させ、認可組合の運営実態に見られる多様性の実例を示した報告。 

2011  戦間期イギリスにおける国民健康保険制度と民間組織―諸認可組合の実態分析を中心に―  単独  2011/07/02 
福祉社会研究フォーラム(政治経済学・経済史学会)  , 名古屋大学   

概要(Abstract)  従来の研究において必ずしも積極的な評価を受けてこなかった国民健康保険制度の運営方式である認可組合制度であるが、近年の研究においては福祉社会を考察する上での手がかりとして、一定の評価を得ている。ただしあくまで制度全体での評価が主流であり、個々の認可組合の特殊性に焦点を当てた分析は不十分であった。よって本報告では、こうした個々の特殊性を念頭に置いた実態分析をもとに、認可組合制度の意義を考察した。
 その結果、各認可組合は各々のバックボーンや職域・地域特性の影響を受けながら、実際の保険運営における具体的な取り組みにおいても各々で独自性を見せていた。彼らの営みから、組合間格差の問題と労働との関係が密接であること、同じタイプに分類される認可組合であっても、自治に対する姿勢や実際の取り組み方が異なっていることが明らかになった。 

備考(Remarks)  

2010  戦間期イギリスの国民健康保険制度における『包括性』と『自律性』  単独  2010/07/24 
政治経済学・経済史学会東海部会  , 名古屋大学   

概要(Abstract)  1911年国民保険法の第一部として制定された国民健康保険制度は、認可組合制度と呼ばれる運営方式を採用した。これは、友愛組合や労働組合、簡易生命保険会社などの民間組織が、認可組合として国保運営を担うというものであった。国民健康保険制度は熟練労働者層以外にも疾病保険を拡大することを目指して制定されたが(「包括性」の伸長)、同時に民間組織(主に友愛組合)が培ってきた相互扶助的自助や自治の精神を活かそうとした(「自律性」の保持)。いわば、「包括性」と「自律性」をいかに両立させていくのかということが、国民健康保険制度における大きな課題であった。しかし実際に制度運営が行われていく中で、「包括性」に大きく寄与した認可組合は「自律性」に乏しく、「自律性」を保持している認可組合は排他的で「包括性」に乏しいというように、いわば「包括性」と「自律性」のトレードオフという現実が見出された。 

備考(Remarks)  

2006  1940年代イギリスにおける友愛組合活用論の限界と意義について  単独  2006/09/14 
社会経済史学会  , 関西大学   

概要(Abstract)  1940年代において展開されたベヴァリッジによる友愛組合活用論(国民保険運営において友愛組合を活用するという議論)は、友愛組合の自治性の衰微等の実態的限界を抱えており、福祉行政の中央集権化を目指した戦後労働党政府の政治姿勢とも相まって、結果的に実現には至らなかった。しかし、その後ベヴァリッジが着手したヴォランタリー活動全般に関する調査を支援したのは友愛組合であり、また、この調査を元にして出版された『ヴォランタリー・アクション』(1948年)においては、友愛組合運動を中心とした相互扶助的ヴォランタリー活動が理論上の基点とされた。すなわち友愛組合活用論は、それを実現する上で実態面における限界を抱えていたことは否定できないものの、ベヴァリッジと友愛組合の協力関係の端緒を生み出し、『ヴォランタリー・アクション』に理論上の基礎を与えたという点において、社会福祉形成史上の意義があったと言えるだろう。 

備考(Remarks)  

2005  1940年代イギリスにおける福祉多元主義の萌芽―国民保険運営における友愛組合活用論を手がかりに―  単独  2005/09/09 
名古屋経済史研究会  , 名古屋大学   

概要(Abstract)  1960~70年代以降、「貧困の再発見」やスタグフレーションを経験し、いわゆるケインズ=ベヴァリッジ体制、福祉国家体制に対する不信がつのる中で、国家福祉と民間福祉とが協調関係を築いていくことの重要性がクローズアップされ、1978年『ウルフェンデン委員会報告』を皮切りに、福祉多元主義論が展開された。
 ところで、1940年代においてベヴァリッジが主張した友愛組合活用論(国民保険運営において友愛組合を活用するという議論)を考察するにあたり、本報告では友愛組合の実態を精査した。そこで明らかになった友愛組合の利点と欠点は、近年の福祉多元主義論で指摘されている民間組織を活用していく上での利点や欠点とかなりの部分で符合していた。
 すなわち1940年代において友愛組合活用論は、正負両面において近年の福祉多元主義論の萌芽たる要素を見せていたのであった。 

備考(Remarks)  

2004  イギリス戦後社会福祉構想における友愛組合の位置づけについて―1946年国民保険法の成立過程を中心に―  単独  2004/10/16 
政治経済学・経済史学会  , 早稲田大学   

概要(Abstract)  従来の多くのイギリス社会福祉形成史研究は、とりわけ国家の役割の拡大を重視し、単線的に福祉国家の進展を描くものであった。そうした状況を批判して、高田実はパット・セインの業績をもとに、福祉の多様性・多層性を歴史的連続性・非連続性という時間の重層性の中に位置づけるという複眼的な視点を提起している。一方で、今日的・社会政策的関心から、ボランタリー組織(日本におけるNPO等)といった中間組織や家族の役割を重視する、いわゆる福祉多元主義の議論が盛んになってきており、その中で1948年に出版されたベヴァリッジ『ボランタリー・アクション』もしばしば援用されているが、出版された当時の社会的背景や、その歴史的意義にまで踏み込んだ議論が展開されていない。こうした状況を踏まえ、歴史的文脈における複眼的視点の要請に応えつつ、今日的・社会政策的議論をより深化させるために、一般的に中央集権的社会福祉形成が進展したとされる戦後初期のイギリス社会福祉形成史を、ボランタリー組織である友愛組合の位置付けをめぐる議論を中心に考察する。具体的には、1942年のいわゆる『ベヴァリッジ報告』、1944年の戦時連立内閣『社会政策白書』と、それらをめぐるベヴァリッジ、各党議員、友愛組合などの議論を精査し、各々がいかなる戦後社会福祉構想を抱き、友愛組合の意義をどのように捉えていたのかを追っていく。結果的に1946年国民保険法において、認可組合制度が廃止されただけでなく、ベヴァリッジらが主張した友愛組合の代理機関としての役割も拒否され、労働党政府の国民保険計画から友愛組合が完全に排除されたのは確かである。しかしこれに対して、ベヴァリッジや保守党・自由党議員だけでなく、労働党議員からも反発の声が上がっており、こうした議論を吟味することを手掛かりに、国家的福祉に収斂されない、多面的な社会福祉形成史像を描いていきたい。 

備考(Remarks)  

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研究助成
年度
Year
助成名称または科学研究費補助金研究種目名
Name of grant or research classification for scientific research funding
研究題目
Research Title
役割(代表/非代表)
Role
助成団体
Granting body
助成金額
Grant amount
2015  日東学術振興財団研究助成  イギリス国民健康保険制度をめぐる炭鉱労働者認可組合の運営実態の多様性とその背景の分析 
代表  公益財団法人日東学術振興財団  700,000円 

研究内容(Research Content)  国民健康保険制度の運営を担う認可組合のうち、特に炭鉱労働者認可組合を、対比・分析することにより、各組合で異なる運営実態を明らかにする。そして、こうした運営実態の相違が、いかなる背景から生じていたのかについて、当時の炭鉱業の実態分析と照応させる形で、解明していく。なお、分析に際しては、一次資料として、イギリス議会資料、イギリス公文書館所蔵資料を主に用いる。 

備考(Remarks)  

2014  南山大学パッヘ研究奨励金I-A-2  両大戦間期イギリスにおける産業構造と認可組合内の被保険者就業構成の関係について 
代表    141,000円 

研究内容(Research Content)  本研究では、産業構造の転換に起因する地域経済状況の変化(例えば、ある地域における主力産業が衰退したことによる、当該地域における経済状況の悪化)が、国民健康保険運営にどのような影響をもたらしたのかということについて分析した。また、炭鉱業のような危険職種に従事する労働者が多く加入する認可組合(…国民健康保険を実際に運営する民間組織)における運営方針が、危険職種従事者がほとんど加入していない認可組合における運営方針と比較して、どのように異なっていたのかということも、合わせて分析した。
 そして、研究を進める中で、炭鉱地域が、国民健康保険の給付率の高い地域となるケースが極めて多いことが確認された。しかし同時に、同じ炭鉱地域であっても、相対的に経済状況がそれほど悪くなく、国民健康保険の給付率が高くない地域も存在しており、炭鉱地域でひとくくりにして議論できないことも、明らかになった。よって、①“炭鉱地域”とされる地域における、炭鉱業以外の産業の実態や、②炭鉱業自体の地域間での経営合理化進行度の差異など、さまざまな要因を改めて調査する必要が出てきた。
 こうしたことから、本研究は、炭鉱業そのものの実態、イギリス経済における炭鉱業の位置付けの変化を明らかにする方向へとシフトした。その中で、第一次大戦後まで経営合理化が遅々として進まなかったということに関しては、炭鉱業全体で総じて看取されたのは確かであったが、地域によって、経営・労務管理のあり方や労使関係に、少なからず差異があったということをも明らかにした。
 なお、現段階では、二次文献や統計資料を検討することによって、炭鉱業の実態をある程度明らかにしており、炭鉱業をめぐる同時代の言説分析についても、若干は着手している。よって、炭鉱業と国民健康保険制度の関係について、実態分析を中心に、言説面にも触れる形で、2015年10月に、研究成果として論説を発表する。
 以上のように、当初の課題設定とは若干異なる方向へと進んでいった本研究であるが、現在取り組んでいる炭鉱業の実態分析、今後取り組んでいく同時代の言説分析は、結果として、国民健康保険制度における危険職種・衰退産業従事者の位置付けを、より緻密に解明することにつながり、ひいては、イギリスにおける介入的自由主義の特質解明につながることになるだろう。 

備考(Remarks)  

2013  南山大学パッヘ研究奨励金I-A-1  戦間期イギリスの国民健康保険制度をめぐる「制度的包括性」と「個人の自律性」の関係 
代表(個人)    915,000円 

研究内容(Research Content)  本研究は、国家福祉制度の運営局面において民間組織が直接活用された歴史的事例として、イギリス国民健康保険制度(1911~46年)の運営体制である認可組合制度を、「制度的包括性」と「個人の自律性」の関係という視点から論究したものである。認可組合制度とは、国保運営機関として認可された各種の民間組織、すなわち認可組合が、そこに加入する被保険者自身による自治を以て保険運営を遂行していくことを理想とした制度であった。こうした認可組合制度に関して本研究では、ハーツ・オヴ・オーク(代表的な中央集権型友愛組合)、オッドフェローズ、フォレスターズ、レカバイツ(それぞれ代表的な支部連合型友愛組合)、簡易生命保険会社といった各種認可組合を主な対象として採り上げ分析し、以下の事実を明らかにした。
 まず認可組合自治の表象たる組合会合については、簡易生命保険会社が組合会合の定期的な開催に極めて消極的であったのに対して、支部連合型友愛組合は積極的に開催していた。だが、簡易生命保険会社が積極的に(時には強引に)被保険者を包摂していったのに対して、支部連合型友愛組合には排他的な傾向が見られた(例えば禁酒組合という特殊なアイデンティティを持つレカバイツにとって、排他性はつきものであった)。すなわち、自律性と包括性とがトレードオフの関係にあった。
 次に認可組合内の親密性(そしてその裏にある監視性)の表象たる疾病訪問サービス(認可組合から派遣される疾病訪問人が、直接被保険者の家庭を訪問し、疾病給付を支給するというサービス)については、支部連合型友愛組合、簡易生命保険会社ともに積極的に取り組んでいた。しかし、支部連合型友愛組合における疾病訪問サービスが、労働者相互の親密性(および監視性)に由来するものであったのに対して、簡易生命保険会社における疾病訪問サービスは、会社と顧客の関係の延長線上にあった。
 そして、こうした認可組合間に見られた相違には、各組合の19世紀における民間組織としてのあり方やその成り立ちが極めて濃厚に反映されていた。すなわちイギリス国民健康保険制度(1911~46年)は、各民間組織が19世紀以来保持してきた独自性の発露される場でもあったのであり、既存研究で描かれてきたような自治の形骸化や官僚主義化といったイメージだけでは語りえない、多面性・重層性を有していたのである。 

備考(Remarks)  

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教育活動
年度
Year
タイトル
Title
内容等
Content
活動期間
Period of Activities
2018  教材作成「経済基礎演習Ⅱ」(2018年度) 

各種教材を作成し、講義室およびWebClassにて配布。 

2018/09~2019/01 
2018  教材作成「経済基礎演習Ⅰ」(2018年度) 

各種教材を作成し、講義室およびWebClassにて配布。 

2018/04〜2018/07 
2018  教材作成「西洋経済史A」(2015、16、18年度) 

「西洋経済史A」の資料を作成し、講義室およびWebClassにて配布。 

2015/04〜2018/11 
2018  教材作成「西洋経済史B」(2014、16、18年度) 

「西洋経済史B」の資料を作成し、講義室およびWebClassにて配布。 

2014/04〜2019/01 
2018  教材作成「西洋経済史入門」(2012〜16、18年度) 

「西洋経済史入門」の資料を作成し、講義室およびWebClassにて配布。
(※2012年度は非常勤講師として) 

2012/04〜2018/05 
2015  教材作成「経済演習II」(2014〜15年度) 

各種教材を作成し、講義室およびWebClassにて配布。 

2014/04〜2016/01 
2015  教材作成「経済演習I」(2011、13〜15年度) 

各種教材を作成し、講義室およびWebClassにて配布。
(※2011年度は非常勤講師として) 

2011/09〜2016/01 
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著書・学術論文に関する統計情報
年度
Academic Year
学術研究著書の件数
No. of Academic Books
学会誌・国際会議議事録等に掲載された学術論文の件数
No. of Academic Articles in Journals/Int'l Conference Papers
学内的な紀要等に掲載された学術論文の件数
No. of Academic Articles Pub'd in University Bulletins
学会受賞等の受賞件数
No. of Academic Awards Received
国際学会でのゲストスピーカーの件数
No. of Times as Guest Speaker at Int'l Academic Conferences
国際学会での研究発表の件数
No. of Presentations of Papers at Int'l Academic Conferences
国内学会でのゲストスピーカーの件数
No. of Times as Guest Speaker at National Academic Conf.
国内学会での研究発表の件数
No. of Papers Presented at National Academic Conf.
2018 
2017 
2016 
2015 
2014 
2013 
2012 
2011 
2010 
2009 
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2019/04/11 更新