研究者詳細

研究助成
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年度
Year
助成名称または科学研究費補助金研究種目名
Name of grant or research classification for scientific research funding
研究題目
Research Title
役割(代表/非代表)
Role
助成団体
Granting body
助成金額
Grant amount
2015  日東学術振興財団研究助成  イギリス国民健康保険制度をめぐる炭鉱労働者認可組合の運営実態の多様性とその背景の分析 
代表  公益財団法人日東学術振興財団  700,000円 

研究内容(Research Content)  国民健康保険制度の運営を担う認可組合のうち、特に炭鉱労働者認可組合を、対比・分析することにより、各組合で異なる運営実態を明らかにする。そして、こうした運営実態の相違が、いかなる背景から生じていたのかについて、当時の炭鉱業の実態分析と照応させる形で、解明していく。なお、分析に際しては、一次資料として、イギリス議会資料、イギリス公文書館所蔵資料を主に用いる。 

備考(Remarks)  

2014  南山大学パッヘ研究奨励金I-A-2  両大戦間期イギリスにおける産業構造と認可組合内の被保険者就業構成の関係について 
代表    141,000円 

研究内容(Research Content)  本研究では、産業構造の転換に起因する地域経済状況の変化(例えば、ある地域における主力産業が衰退したことによる、当該地域における経済状況の悪化)が、国民健康保険運営にどのような影響をもたらしたのかということについて分析した。また、炭鉱業のような危険職種に従事する労働者が多く加入する認可組合(…国民健康保険を実際に運営する民間組織)における運営方針が、危険職種従事者がほとんど加入していない認可組合における運営方針と比較して、どのように異なっていたのかということも、合わせて分析した。
 そして、研究を進める中で、炭鉱地域が、国民健康保険の給付率の高い地域となるケースが極めて多いことが確認された。しかし同時に、同じ炭鉱地域であっても、相対的に経済状況がそれほど悪くなく、国民健康保険の給付率が高くない地域も存在しており、炭鉱地域でひとくくりにして議論できないことも、明らかになった。よって、①“炭鉱地域”とされる地域における、炭鉱業以外の産業の実態や、②炭鉱業自体の地域間での経営合理化進行度の差異など、さまざまな要因を改めて調査する必要が出てきた。
 こうしたことから、本研究は、炭鉱業そのものの実態、イギリス経済における炭鉱業の位置付けの変化を明らかにする方向へとシフトした。その中で、第一次大戦後まで経営合理化が遅々として進まなかったということに関しては、炭鉱業全体で総じて看取されたのは確かであったが、地域によって、経営・労務管理のあり方や労使関係に、少なからず差異があったということをも明らかにした。
 なお、現段階では、二次文献や統計資料を検討することによって、炭鉱業の実態をある程度明らかにしており、炭鉱業をめぐる同時代の言説分析についても、若干は着手している。よって、炭鉱業と国民健康保険制度の関係について、実態分析を中心に、言説面にも触れる形で、2015年10月に、研究成果として論説を発表する。
 以上のように、当初の課題設定とは若干異なる方向へと進んでいった本研究であるが、現在取り組んでいる炭鉱業の実態分析、今後取り組んでいく同時代の言説分析は、結果として、国民健康保険制度における危険職種・衰退産業従事者の位置付けを、より緻密に解明することにつながり、ひいては、イギリスにおける介入的自由主義の特質解明につながることになるだろう。 

備考(Remarks)  

2013  南山大学パッヘ研究奨励金I-A-1  戦間期イギリスの国民健康保険制度をめぐる「制度的包括性」と「個人の自律性」の関係 
代表(個人)    915,000円 

研究内容(Research Content)  本研究は、国家福祉制度の運営局面において民間組織が直接活用された歴史的事例として、イギリス国民健康保険制度(1911~46年)の運営体制である認可組合制度を、「制度的包括性」と「個人の自律性」の関係という視点から論究したものである。認可組合制度とは、国保運営機関として認可された各種の民間組織、すなわち認可組合が、そこに加入する被保険者自身による自治を以て保険運営を遂行していくことを理想とした制度であった。こうした認可組合制度に関して本研究では、ハーツ・オヴ・オーク(代表的な中央集権型友愛組合)、オッドフェローズ、フォレスターズ、レカバイツ(それぞれ代表的な支部連合型友愛組合)、簡易生命保険会社といった各種認可組合を主な対象として採り上げ分析し、以下の事実を明らかにした。
 まず認可組合自治の表象たる組合会合については、簡易生命保険会社が組合会合の定期的な開催に極めて消極的であったのに対して、支部連合型友愛組合は積極的に開催していた。だが、簡易生命保険会社が積極的に(時には強引に)被保険者を包摂していったのに対して、支部連合型友愛組合には排他的な傾向が見られた(例えば禁酒組合という特殊なアイデンティティを持つレカバイツにとって、排他性はつきものであった)。すなわち、自律性と包括性とがトレードオフの関係にあった。
 次に認可組合内の親密性(そしてその裏にある監視性)の表象たる疾病訪問サービス(認可組合から派遣される疾病訪問人が、直接被保険者の家庭を訪問し、疾病給付を支給するというサービス)については、支部連合型友愛組合、簡易生命保険会社ともに積極的に取り組んでいた。しかし、支部連合型友愛組合における疾病訪問サービスが、労働者相互の親密性(および監視性)に由来するものであったのに対して、簡易生命保険会社における疾病訪問サービスは、会社と顧客の関係の延長線上にあった。
 そして、こうした認可組合間に見られた相違には、各組合の19世紀における民間組織としてのあり方やその成り立ちが極めて濃厚に反映されていた。すなわちイギリス国民健康保険制度(1911~46年)は、各民間組織が19世紀以来保持してきた独自性の発露される場でもあったのであり、既存研究で描かれてきたような自治の形骸化や官僚主義化といったイメージだけでは語りえない、多面性・重層性を有していたのである。 

備考(Remarks)  

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