研究者詳細

教職員基本情報
氏名
Name
藤川 美代子 ( フジカワ ミヨコ , FUJIKAWA Miyoko )
所属
Organization
人文学部人類文化学科
職名
Academic Title
准教授

出身学校
学校名
Univ.
卒業年月(日)
Date of Graduation
卒業区分
Graduation
   Classification2
琉球大学法文学部人間科学科 2003年03月  卒業 
詳細表示
出身大学院
大学院名
Grad. School
修了課程
Courses
   Completed
修了年月(日)
Date of Completion
修了区分
Completion
   Classification
神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科歴史民俗資料学専攻 博士後期課程  2014年03月  修了 
琉球大学大学院人文社会科学研究科人間科学専攻 修士課程  2005年03月  修了 
詳細表示
取得学位
     
学位区分
Degree
   Classification
取得学位名
Degree name
学位論文名
Title of Thesis
学位授与機関
Organization
   Conferring the Degree
取得年月(日)
Date of Acquisition
博士 歴史民俗資料学  「連家船漁民の研究―水・陸のはざまを生きる福建南部の水上居民―」  神奈川大学大学院  2014年03月 
修士 文学    琉球大学大学院  2005年03月 
学士 文学    琉球大学 2003年03月 
詳細表示
研究経歴
長期研究/短期研究
Long or Short
   Term research
研究課題名
Research Topic
長期研究  海に生きる人々が経験した近代的状況に関する人類学的研究 

概要(Abstract) 人は海という空間をいかに飼い馴らしてきたのか。「海」は自然のなかでも長らく、相対的に「本源的自然」に近い領域でありつづけてきた。とはいえ、海ももはや不確実性に満ちたむき出しの自然などではあり得ない。科学知の蓄積と情報科学技術の目覚ましい発達は海さえも予測・管理・制御可能な空間に仕立て上げ、そこに生きる人々をも管理・制御の対象として巻き込むことになったからだ。中国の船上生活者や台湾の海藻採集者らに注目し、自然や人を飼い馴らす技術の総体をさまざまな角度から捉えて、海に生きる人々が経験した近代化の一端を描くことを目指す。 

長期研究  定住/遊動をめぐる人類学的研究 

概要(Abstract) 定住/遊動という生活形態の差異が、いかにして人々の間にマジョリティ/マイノリティ、差別/被差別といった社会的関係性を生じさせるのかを検討する。 

短期研究  東南中国の船上生活者の暮らしとアイデンティティをめぐる人類学的研究 

概要(Abstract) 陸地の人々との関係性、住まい方や生業の変化、儀礼のやり方などの諸要素が、いかに連関して船上生活者たちの帰属意識を維持あるいは再編させているかを検討する。 

詳細表示
著書
年度
Year
著書名
Title of the books
著書形態
Form of Book
NeoCILIUS
   請求番号/資料ID
Request No
出版機関名 Publishing organization,判型 Book Size,頁数 No. of pp.,発行年月(日) Date
2021  『日本で学ぶ文化人類学』  共著   
昭和堂  , A5  , 280 p.  , 2021/12/15   

概要(Abstract) 文化人類学といえば海外の異文化を研究するといわれている。しかし同じ日本に住んで同じものを見ても自分と他者に同じ景色が見えているとは限らない。〈あたりまえ〉を疑うことで自分の世界が広がっていく。さあ、あなたも日本をフィールドに文化人類学を学んでみよう(公式内容紹介より)。
 

備考(Remarks) 宮岡 真央子、渋谷 努、中村 八重、兼城 糸絵 編。執筆担当部分:「第9章 文化を売買する――観光の現場で創造・消費される「らしさ」」(pp.157-175/19p.)、「第12章 自然とつきあう――自然災害をめぐる科学知と生活知」(pp.215-233/19p.) 

2016  『水上に住まう―中国福建・連家船漁民の民族誌』  単著   
株式会社 風響社  , A5  , 492  , 2017/02   

概要(Abstract) ―水上。そこは、人が住まうのに適した空間なのか。あるいは、脱却・忘却すべき空間なのか。本書は、約百年にわたる現代中国を舞台に、福建省南部の船上生活者を見つめながら、水上(と陸上)に住まうことの意味を問う民族誌である。本書が目指すのは、船上生活者の水上/陸上に住まうという営みを、単なる容器としての船や家屋で寝泊まりする行動に矮小化するのではなく、反対にそれを被差別的状況に対する抵抗の実践などと無批判に過大評価するのでもなく、彼らの生き方を示すような、さまざまな日常実践の総体として捉えることである。 

備考(Remarks)  

2009  『即将逝去的船影—九龙江上『吉普赛人』史迹(邦訳:やがて消えゆく船の影―九龍江「ジプシー」たちの足跡)』  共著   
海風出版社  , B5  , 178 p.  , 2010/02/00   

概要(Abstract) 福建省南部を流れる九龍江で長らく船上生活をしてきた「連家船漁民」と呼ばれる人々の暮らしについて、連家船漁民出身の二人が描いた著作。祖先は農民であったという彼ら自身の間で伝えられる出自の説明や、家屋を持たないことで周囲の農民たちから侮辱された経験、船上での生活習慣といった多岐にわたる内容について描く。そのうち、日本人留学生として彼らと接していた自分が、連家船漁民の大家族の一員として迎え入れられ共同生活を送るようになった経緯と、それによってもたらされた研究の心構えの変化に触れた部分を執筆。 

備考(Remarks) 著者:張亜清、張石成、藤川美代子。執筆担当部分:「我与九龙江上“吉普赛人”的情缘(邦訳:私と九龍江のジプシーたちを結ぶ心の絆)」、pp.169-172.(4p.) 

詳細表示
学術論文
年度
Year
論文題目名
Title of the articles
共著区分
Collaboration
   Classification
NeoCILIUS
   請求番号/資料ID
Request No
掲載誌名 Journal name,出版機関名 Publishing organization,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.,発行年月(日) Date
2022  「海に生きる女性 ―船上生活者と海女―」  単著   
『日本民俗学』  , 日本民俗学会  , 第311号  , pp.90-111  , 2022/08   

概要(Abstract) 「世界常民学」はいかにして可能なのか。本稿が目指すのは、「(陸ではなく)海に生きる」「(男性ではなく)女性」という、従来の日本民俗学においては二重の意味で周縁性を付与されてきたかに見える人々の営みに焦点を当てることで、「常民の学」を世界へと接続するための糸口を見つけることである。
本稿でまず注目したいのは、柳田国男や折口信夫とは別の角度から常民の生活を捉えようとした渋沢敬三が設立したアチック・ミューゼアム(一九二五年から本格始動。一九四二年に日本常民文化研究所と改称)と渋沢水産史研究室(一九三五年から本格始動)に集った同人たちと、瀬川清子ら初期の民俗学者が日本各地の「家船漁民」や「海女」に向けたまなざしである。そこからは、これらの研究が一村内・一国内・単一ジェンダー内にとどまらず、多地域間の多様な人々の関係性理解へと開かれる可能性を秘めていたことがわかる。一方、筆者は台湾東北部の海に生きてきた「海女」(ハイルー)の生業・生活とその主要採集物であるテングサの流通について考察しようとしてきた。筆者はそのなかで、テングサが産地の集落を出た途端に、その流通経路を見失ってしまうという経験をしている。これにはおそらく、一九世紀後半以降、原料としてのテングサおよび加工品としての寒天に画期的な利用価値が見出され、それらの流通過程が世界規模で複雑化してきたことが影響している。本稿では、テングサを例に、モノや人を介して実際につながる世界の「常民」の日常と、越境的に世界中へと広がるそれらのネットワークの重なりを丹念に紐解き、描くという視点や手法に「世界常民学」の可能性を見出すことを試みる。 

備考(Remarks) 小特集 「海が結ぶ日本と世界―渋沢敬三と日本常民文化研究所―」(第七三回年会シンポジウム採録) 

2020  「「よい石花菜」とは何か:台湾東北角におけるGelidiaceaeの採集・加工・売買をめぐる民族誌的研究」  単著   
『現代民俗学考―“郷土”研究から世界常民学へ』佐野賢治編  , 春風社  , pp. 177-200  , 2021年3月   

概要(Abstract)  

備考(Remarks)  

2020  “Differentiated Concepts of Home for Boat Dwellers in Southern Fujian, China”  単著   
SOUTH PACIFIC STUDIES(南太平洋研究)  , 鹿児島大学国際島嶼教育研究センター  , 40-2  , pp37-62  , 2020年3月   

概要(Abstract)  

備考(Remarks) My heartfelt appreciation goes out to the participants of the 2018 6th Annual East Asian Island and Ocean Forum in Zhanjiang, China, who provided helpful comments and suggestions. This work was supported by JSPS KAKENHI Grant Number 16K16968, and Nanzan University Pache Research Subsidy I-A-2 for the 2018-2019 academic years. 

2019  「定住本位型社会で船に住まいつづける ―国家による複数の管理システムを生きる中国福建南部の連家船漁民―」  単著   
『年報人類学研究』  , 南山大学人類学研究所  , 10  , pp.106-133  , 2020年3月   

概要(Abstract) 世界の遊動民と同様、中国の船上生活者もまた、国家により張り巡らされた複数のリスク管理システムが交錯する現代社会を生きている。中国福建省南部の河や海を生活の場としてきた「連家船漁民」に注目し、陸上に建てられた定住用家屋の獲得を渇望する一方で、その獲得後もなお船に住まいつづけるという矛盾に満ちた彼らの日常から、彼らが定住本位型の社会をいかに生きているのかを描く。 

備考(Remarks)  

2018  「一所に根を張ることと、複数の空間に根を広げること――定住化後も水上・陸上を動きつづける中国の船上生活者とホームをめぐる実践」  単著   
『人類学研究所 研究論集第7号 定着/非定着の人類学――「ホーム」とは何か』  , 南山大学人類学研究所  , 7  , pp.45-67  , 2019/03/31   

概要(Abstract) 船上生活者のように、生業と生活という「生」の営みを可能にする住まいを操縦しながら、複数の空間間の移動を常態としてきた人々にとって、「ホーム」とはいかなる空間を指すのだろうか。本稿が焦点を当てるのは、1960年前後に定住地の割譲と集合住宅の分配を経験した後、水上の船に全面的に依拠した生活を脱して、陸上世界に多くを依存する生活へと転換した中国福建省南部の「連家船漁民」である。①国家の命により突如として与えられた他者の土地を占有することの正当性を強調するかのようにくり返し語られる「共産党政権誕生への貢献と犠牲」、「巨大台風の襲来による犠牲」という二つの物語と、②神明の力を用いて他者からの借り物としての土地を自らのものへと読み替えようとする民俗的な試み、③水上での移動の歴史を回顧しながら、漁村や国家の外部へと接続するように展開される祖先のルーツ探しからは、連家船漁民たちがホームをめぐって見せる二つの方向性の異なる営みが浮き彫りになる。 

備考(Remarks) the 6th East Asian Island and Ocean Forum(於・中国広東省湛江市)における発表原稿をもとに、大幅に加筆修正したもの。 

2018  「はじめに」  単著   
『人類学研究所 研究論集第7号 定着/非定着の人類学――「ホーム」とは何か』  , 南山大学人類学研究所  , 7  , pp.1-7  , 2019/03/31   

概要(Abstract) 南山大学人類学研究所の共同研究会「定着/非定着の人類学―『ホーム』とは何か」(2016~2018年度、代表:藤川美代子)の成果論集を編纂するに当たり、研究会開催の経緯や所収論文の紹介をまとめたもの。
 

備考(Remarks)  

2018  "Continuing to Live on the Water: The Meaning of Land Residences for Boat Dwellers in Fujian, China"  単著   
Journal of Marine and Island Cultures  , Institution for Marine and Island Cultures, Mokpo National University  , vol.7/no.2  , pp.126-149  , 2018/12/31   

概要(Abstract) For boat dwellers, what does it mean to acquire a house on land? Does it mean, as many researchers and government officials in modern countries have assumed, a departure from the “harsh world on the water” to salvation on the “enticing world of the land”? Through presenting an ethnographic study of the history of the lianjiachuan yumin (連家船漁⺠) living on the sea or rivers in the southern part of Fujian Province, China, this paper aims to explore the reasoning behind their way of life, which cannot be simply reduced to a one-sided move away from a nomadic life on water to settlement on land. The cases of the two families presented in this paper demonstrate that while on the one hand lianjiachuan yumin show a strong interest in acquiring houses on land, but after having acquired them, they are careful to avoid a situation where they are living solely in a residence on land, and instead seek to secure a situation where anyone, both individuals and family members, can live on the water at any time. This coexistence of the seemingly incompatible attitudes of both“the desire to acquire a house” and “the avoidance of continuous and permanent settlement” observed in the lianjiachuan yumin tells us that the world on water allows them to live a diverse way of life, and that it continues to exist as a valuable space for them to find their ways of life. 

備考(Remarks) The 5th East Asian Island and Ocean Forum 2017にて口頭発表した内容を大幅に加筆修正して論文としてまとめたもの。 

2017  "Continuing to Live on the Water: The Meaning of Land Residences for Boat Dwellers in Fujian, China."  単著   
The 5th East Asian Island and Ocean Forum 2017  , International Center for Folk Culture Studies  , 373-384  , 2017/12/05   

概要(Abstract) What does it mean for boat dwellers to acquire land and a house? This presentation will focus on a boat-dwelling family that lives in the southern part of Fujian Province, China. The history of the family’s three generations shows that they continually have preferred to live on a boat, even after acquiring a house during the 1990's. While they wanted to purchase a residence on land, they were not concerned about how to actually live in it. Their contradictory and complicated behavior strongly rejects the very simple structure of “from nomadic life on water to settlement on land” that has been assumed by many policymakers and researchers.  

備考(Remarks) 木浦大学校・鹿児島大学・上海海洋大学・中国海洋大学・浙江海洋大学・広東海洋大学・台湾海洋大学といった研究機関から、海洋文化を扱う研究者40名超が学問分野の別を問わず一同に参加して成果を発表し、議論を深める国際フォーラムでの口頭発表。当日配布される論文集には英語・日本語で各発表者の論文が掲載された。当該論文はpp.373-378が英語、pp.379-384が日本語。 

2015  「福建の船上生活者にとって「家」とは何か―ある家族の年代記から―」  単著   
『物質文化』  , 物質文化研究会  , 96  , 45-58  , 2016/03/01   

概要(Abstract) 「船上生活者」とカテゴライズされる人々の多くは、住まい方の異質性を根拠に陸上集団からの差別・排除を経験してきた。それゆえに、近代化の過程で各地の船上生活者が陸上に家屋を獲得した時、為政者や研究者が想定したのは「移動から定住へ」というごく単純な構図であった。ここで前提されるのは、弱者たる船上生活者は陸上世界への常に同化を切望しているはずとの見方であり、その背後には文明の発生を定住化へと結びつける人類史研究上の「根拠なき定住者優越主義」の無反省な踏襲が見え隠れする。だが、家屋獲得後に繰り広げられる船上生活者の暮らしは、それほど単純なものではない。現実の船上生活者が営む多様な日常実践を理解するためには、この前提から離れ、船上生活者自身にとって土地や家屋の獲得はいかなる意味を持ってきたのかと問い直す必要がある。中国福建省南部の河で暮らしてきた「連家船漁民」の一家族の住まい方をめぐる実践からは、家屋の獲得を経ても船上での移動生活を続ける人々の姿が浮き彫りになる。ほとんど機能的意味を持たぬかに見える家屋の購入に執着する家族の姿は、土地や家屋に関する陸上の価値観が連家船漁民の間でも強く意識されてきたこと、その一方で、家屋にいかに住まうのかについては陸上の価値観にまったく無頓着であることを示している。この事実は、為政者や研究者が想定してきた「家屋の獲得=陸上での生業への移行=定住」というプロセスの必然性を強く否定するものである。 

備考(Remarks) 【査読有り】 

2014  「水上生活者の子どものために設置された児童福祉施設の研究―「住むための船」から「学ぶための寮」へ移った子どもの視点から」  共著   
『住総研 研究論文集』  , 一般財団法人住総研  , No.41  , pp.1-11  , 2015/03/00   

概要(Abstract) 水上生活者の子どもを陸で教育することが、水上生活者の陸地定住を促したというステレオタイプな言説があるが、これまで事例研究はほとんど行われてこなかった。そこで本研究では、水上と陸の間に位置していた水上生活者の子ども向けの児童福祉施設について、建築史および文化人類学・民俗学的な方法で、施設利用者である子どもの視点に留意して分析する。本研究の調査地(日本・中国)における陸地定住は人災、自然災害や法の改正などが契機となっており、児童福祉施設と学校教育は陸上がりを促したというより、子どもの将来の選択肢を広げる役割を果たしたことを指摘した。 

備考(Remarks) 主査:厚香苗、委員:藤原美樹、藤川美代子による共著
【査読なし】 

詳細表示
その他研究業績
年度
Year
題名等
Titles
カテゴリ
Category
細目
Authorship
掲載雑誌名等 Publishing Magazine,発行所 Publisher,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.,発行年月(日) Date
2023  「奥野克巳『はじめての人類学』」  書評  単著 
『貝塚』  , 物質文化研究会  , 79号  , 19-21  , 2023/11   

概要(Abstract)  

備考(Remarks)  

2021  「中尾世治、杉下かおり(編著)『生き方としてのフィールドワーク──かくも面倒で面白い文化人類学の世界』」  書評  単著 
『年報人類学研究  , 南山大学人類学研究所  , 12  , pp.301-306(6p.)  , 2021/06   

概要(Abstract)  

備考(Remarks)  

2018  「巻頭言」  寄稿  単著 
『南山考人』  , 南山考古文化人類学研究会  , 第47号  , pp.1-5  , 2019/03/20   

概要(Abstract)  

備考(Remarks)  

2017  「胡艶紅著『江南の水上居民-太湖漁民の信仰とその変容』」  書評  単著 
『史鏡』  , 歴史人類学会  , 75  , 76-82  , 2018/03   

概要(Abstract) 学術界において水上居民(=船上生活者)は今や、誰からも関心を向けられず、ひっそりと船に身を置く存在などではない。彼らは、その異質性・周縁性のために、エスニシティ(=華/夷)や身分制度(=良民/賤民)といった自他のアイデンティティや権力をめぐるせめぎ合いのただ中にあると目され、「マイノリティ」「弱者」「差別」「貧困」といった人文学系の研究者が喜んで飛びつきそうな諸要素をまとう人々として、学術の表舞台へと躍り出たからである。これらの問題系とは一線を画し、「現代中国における社会変容と民俗の断絶/連続」という主題を掲げる本書は、中華民国期から現在に至るまで、近代国家としての中国は、太湖で船上生活を送る「漁民」をいかに国民として統合しようと試みてきたのか。対する漁民は、激動の時代をいかに主体的に生きてきたのかと問う。各章の内容を概説した後で、1)特殊と普遍のバランス、2)対象の生き方に迫る、3)「定住」のブラックボックス化の観点から本書の意義と限界に迫る。 

備考(Remarks)  

2017  「趣旨説明」  シンポジウム講演録  単著 
じんるいけんBooklet南山大学人類学研究所公開シンポジウム講演録『水上と陸上に生きる:アジアの船上生活者が経験した「陸上がり」』  , 南山大学人類学研究所  , 3-12  , 2018/02/28   

概要(Abstract)  

備考(Remarks) 2017年2月18日に開催された南山大学人類学研究所公開シンポジウム「水上と陸上に生きる:アジアの船上生活者が経験した「陸上がり」」の内容を収録した講演録。 

2017  「水上と陸上に住まう―中国・福建の連家船漁民が経験した「陸上定居」」  シンポジウム講演録  単著 
じんるいけんBooklet南山大学人類学研究所公開シンポジウム講演録『水上と陸上に生きる:アジアの船上生活者が経験した「陸上がり」』  , 南山大学人類学研究所  , 35-59  , 2018/02/28   

概要(Abstract)  

備考(Remarks) 2017年2月18日に開催された南山大学人類学研究所公開シンポジウム「水上と陸上に生きる:アジアの船上生活者が経験した「陸上がり」」の内容を収録した講演録。 

2015  「船上生活者の日常実践を見つめる」  寄稿  単著 
『南山考人』  , 南山大学考古文化人類学研究会  , 第44号  , pp.87-92  , 2016/03/29   

概要(Abstract) 特集:教員紹介として依頼された寄稿原稿。中国と日本の船上生活者について研究を始めることになったきっかけ、これまでの研究内容、今後の研究計画を紹介したもの。 

備考(Remarks)  

2013  「足元から見つめる中国・水上居民の世界 『声なきマイノリティ』という前提からの脱却を目指して」  寄稿  単著 
『なじまぁ』  , 立教大学アジア地域研究所  , 第4号  , p.22  , 2014/03/00   

概要(Abstract) 水上居民をはじめとする被差別的なマイノリティを扱った研究は往々にして、研究対象が持つ「声なきマイノリティ」という側面を強調する傾向がある。たとえば、水上居民の場合、彼ら自身が周囲に広がる被差別的状況をどのように捉えているのかなどの主体的な解釈の方法が中心的な主題として取り上げられることはきわめて少ない。対象社会を見下ろすことを放棄し、常に社会の周縁へ追いやられてきたマイノリティの足元から社会を眺めようとする態度が、彼らの主体的解釈の方法を理解するために必要であることを主張している。 

備考(Remarks)  

2013  「第5章 船上生活と子供たち 1節 子どもたちの日常生活」  調査報告  共著 
『北九州市若松洞海湾における船上生活者の歴史的変容―オーラルヒストリーからのアプローチ』  , 神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター  , pp.51-67  , 2014/03/00   

概要(Abstract) 九州の北東端に位置する若松港(現・北九州市若松区)は、明治中期から昭和40年代にかけて筑豊炭鉱の興隆とともに石炭の集積地および積出港として栄えた。昭和20~40年代にこの若松港で石炭を積む艀に家族とともに暮らした経験を持つ人々の語りから、水上の船と陸上の寄宿舎および学校を行き来する生活について描く。筆者は、子どもたちの日常生活に注目した1節の執筆を担当。 

備考(Remarks) 共同研究代表:田上繁との共著 

2013  岳永逸、王耀鳳「信仰か、余暇か―妙峰山廟会百年の流れ―」  翻訳  共訳 
『比較民俗研究』  , 比較民俗研究会  , 第28号  , pp. 58-90  , 2013/11/00   

概要(Abstract) 訳者:藤川美代子、白莉莉。原題:岳永逸、王耀凤「信仰抑或休闲:妙峰山庙会的百年流变」 

備考(Remarks)  

詳細表示
研究発表
年度
Year
題目又はセッション名
Title or Name of Session
細目
Authorship
発表年月(日)
Date
発表学会等名称 Name, etc. of the conference at which the presentation is to be given, 主催者名称 Organizer, 掲載雑誌名等 Publishing Magazine,発行所 Publisher,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.
2023  「台湾東北角海女的生活與海藻文化」  単独  2024/03/12 
「藻之道:台湾海女與海藻文化座談」  , 台湾国立海洋科技博物館・海霞您的家主催   

概要(Abstract)  

備考(Remarks)  

2023  「女性の仕事と島の外に広がる世界」  単独  2023/12/26 
南山大学人類学研究所2023年度第3回公開シンポジウム「王崧興『亀山島』と漢人社会研究」  , 主催:南山大学人類学究所 、共催:東アジア人類学研究会   

概要(Abstract)  

備考(Remarks) 第3回公開シンポジウム「王崧興『亀山島』と漢人社会研究」

日 時:2023年12月26日(火)、10:00~12:45
会 場:南山大学G棟G27教室
主 催:南山大学人類学究所
共 催:東アジア人類学研究会

講演者:川瀬 由高(江戸川大学)、呉 松旆(関西学院大学)、稲澤 努(尚絅学院大学)、藤川 美代子(南山大学)、長沼 さやか(静岡大学)

使用言語:日本語

プログラム:

10:00 開会の辞 渡部 森哉(南山大学人類学研究所)  

第一部『亀山島』を読む  

10:05 川瀬 由高(江戸川大学) 「趣旨説明:あらためて『亀山島』を読むために」  

10:10 呉 松旆(関西学院大学) 「台湾の人類学と「自文化」研究」  

10:20 稲澤 努(尚絅学院大学) 「亀山島と「漢人らしさ」研究」  

10:30 藤川 美代子(南山大学) 「女性の仕事と島の外に広がる世界」  

10:40 長沼 さやか(静岡大学) 「複雑で名づけすら困難な人間関係」  

10:50 川瀬 由高 「『亀山島』と「関係あり、組織なし」」   

(休憩)  

第二部 コメント  

11:15 太田 出(京都大学)  

11:30 長津 一史(東洋大学)  

11:45 上水流 久彦(県立広島大学)  

12:00 リプライ&質疑応答 

2022  「水上と陸上に住まう中国福建の連家船漁民」  単独  2023/01/21 
日本民俗建築学会第95回研究会  , 日本民俗建築学会   

概要(Abstract)  

備考(Remarks) 法政大学市ヶ谷田町校舎(ただし、オンラインにて発表) 

2022  「台湾の海女(ハイルー)とテングサの採集・加工・流通」  単独  2022/06/11 
南山大学人類学博物館講座「南山大学の研究者」  , 南山大学人類学博物館   

概要(Abstract)  

備考(Remarks)  

2021  「共同研究のねらい、海女とは誰か」  単独  2022/01/29 
第10回共同研究フォーラム 国際常民文化研究機構・共同研究(奨励)成果発表会「台湾の「海女(ハイルー)」に関する民族誌的研究」  , 神奈川大学国際常民文化研究機構   

概要(Abstract) 於:Zoom 

備考(Remarks) プログラム
1. 安室 知「開会のあいさつ」
2. 藤川 美代子「共同研究のねらい、海女とは誰か」
3. 新垣 夢乃「なにが台湾の「海女」を沖へと押し出したのか?:日本統治時代の石花菜資源をめぐる葛藤と技術の伝播」
4. 許 翠庭「台灣東北角藻類採集模式與傳統生態智慧」(日本語訳:台湾東北角における海藻採集の方法と伝統的な生態学的知識)
5. 齋藤 典子「台湾・東北角の海人(アマ)の漁撈行動と海洋資源をめぐる考察:台・日・韓の潜水採藻漁における漁場利用と漁場政策の対照比較」
6. 許 焜山・藍 紹芸「台灣東北角海女的海藻採集」(日本語訳:台湾東北角の海女による海藻採集)
7. 藤川 美代子「「よい石花菜」とは何か」
8. 映像『去海拿東西的人(海に行き、ものをとる人)』(日本語字幕版)
9. 張 緯誌「『去海拿東西的人』攝影花絮」(日本語訳:『去海拿東西的人(海に行き、ものをとる人)』撮影こぼれ話)
10. 安室 知「コメント」
11. 質疑応答、総合討論
12. 安室 知「閉会のあいさつ」 

2021  「「よい石花菜」とは何か」  単独  2022/01/29 
第10回共同研究フォーラム 国際常民文化研究機構・共同研究(奨励)成果発表会「台湾の「海女(ハイルー)」に関する民族誌的研究」  , 神奈川大学国際常民文化研究機構   

概要(Abstract) 於:Zoom 

備考(Remarks) 1. 安室 知「開会のあいさつ」
2. 藤川 美代子「共同研究のねらい、海女とは誰か」
3. 新垣 夢乃「なにが台湾の「海女」を沖へと押し出したのか?:日本統治時代の石花菜資源をめぐる葛藤と技術の伝播」
4. 許 翠庭「台灣東北角藻類採集模式與傳統生態智慧」(日本語訳:台湾東北角における海藻採集の方法と伝統的な生態学的知識)
5. 齋藤 典子「台湾・東北角の海人(アマ)の漁撈行動と海洋資源をめぐる考察:台・日・韓の潜水採藻漁における漁場利用と漁場政策の対照比較」
6. 許 焜山・藍 紹芸「台灣東北角海女的海藻採集」(日本語訳:台湾東北角の海女による海藻採集)
7. 藤川 美代子「「よい石花菜」とは何か」
8. 映像『去海拿東西的人(海に行き、ものをとる人)』(日本語字幕版)
9. 張 緯誌「『去海拿東西的人』攝影花絮」(日本語訳:『去海拿東西的人(海に行き、ものをとる人)』撮影こぼれ話)
10. 安室 知「コメント」
11. 質疑応答、総合討論
12. 安室 知「閉会のあいさつ」 

2021  「海に生きる女性―船上生活者と海女―」  単独  2021/10/09 
日本民俗学会第73回年会公開シンポジウム「海が結ぶ日本と世界―渋沢敬三と日本常⺠文化研究所―」  , 日本民俗学会  , オンライン要旨集  , 日本民俗学会   

概要(Abstract) 於:Zoom(公開シンポジウム発表者は神奈川大学みなとみらいキャンパスにて登壇)

渋沢主催のアチックミューゼアムの同人たち(桜田勝徳、宮本常一、岩田準一、河岡武春)が、海に生きる「家船」や「海女」をいかにまなざしていたのか、そこに「世界常民学」なるものを模索するためのヒントはあるのかを考える発表。 

備考(Remarks) 総合司会 山本志乃
趣旨説明 佐野賢治「郷土研究から世界常民学へ」

パネリスト
安室 知「渋沢敬三の自然観―魚名研究とその学史的意義―」
藤川美代子「海に生きる女性―船上生活者と海女―」
飯田 卓「海を越えて続く鉄路―現代に生きる渋沢敬三のフィールドワーク観―」
加藤幸治「自民俗誌の可能性―農漁民の覚醒―」

コメンテーター
松田睦彦、後藤 明

総合討論司会
山本志乃、丸山泰明 

2020  「「よい石花菜」をめぐる解釈の多様性――台湾東北角における「海女の民俗」の共同研究からみえてきたこと」  単独  2020/12/19 
海女学講座Ⅲシンポジウム「各地の海女と海藻漁」  , 三重大学海女研究センター   

概要(Abstract) 於:鳥羽市立海の博物館映像ホール

「よい石花菜(紅藻類テングサ科の総称)」をめぐる多様な解釈に注目し、台湾東北角における石花菜の採集・加工・売買の様態の特徴を論じる。注目するのは、①ダイビングのインストラクターや原住民族と雇用関係を結び大規模な石花菜採集を展開し、台湾内外で販路を開拓する卸売業者(男性)、②自身も素潜りで石花菜を採集し、露店で石花菜の加工品を小売販売する店主(女性二人、男性一人)の語りと、①と②の間でくり広げられる複雑な石花菜の売買である。さらに、日本の伊豆半島におけるテングサのランク付けや競売の仕組みと比較することで、台湾東北角の石花菜をめぐる価値決定システムの特徴を導く。
 

備考(Remarks)  

2019  An Ethnographical Study of Traditional Female Divers in Taiwan Called "Hailu".  単独  2019/11/29 
The 7th East Asian Island and Ocean Forum 2019  , Pukyong National University Humanities Korea Plus Research Group  , The 7th East Asian Island and Ocean Forum 2019: Deployment and Exchange of the Humanities Network in the Sea Region  , Pukyong National University Humanities Korea Plus Research Group  , pp.117-123   

概要(Abstract) 於:Pukyong National University
This study focuses on traditional female divers in Taiwan called Hailu and their lives. In the coastal areas of Taiwan, “the culture and customs of traditional female divers” have often been observed; yet in the field of research on the Han Chinese, dominated by agricultural fundamentalism, studies on the existence of people relying on marine produce for a living have been neglected. Furthermore, researchers in East Asian studies continue to embrace the stereotype that female divers represent Japan and Jeju Island in South Korea. Traditional female divers in Taiwan have been overlooked in these two ways.
Given these backgrounds, this project aims to conduct ethnographic studies on the fishing activities of traditional female divers, such as diving fisheries and seaweed hand-hauling, in Taiwan’s coastal villages. How these activities fit into village life will then be examined. At the same time, viewpoints in understanding the culture and customs of traditional female divers in the context of research on the Han Chinese will be explored. Another goal of this project is to gain a foothold in a new form of research on traditional female divers in East Asia and the Pacific Rim by comparing the situations in Taiwan and Japan.  

備考(Remarks) 釜京大学校・木浦大学校・鹿児島大学・上海海洋大学・中国海洋大学・浙江海洋大学・台湾海洋大学といった研究機関から、海洋文化を扱う研究者50名超が学問分野の別を問わず一同に参加して成果を発表し、議論を深める国際フォーラムでの口頭発表。進行中の共同研究のメンバーと共にSessionを企画し、冒頭で趣旨説明となる発表をおこなった。当日配布される論文集には日本語で各発表者の論文が掲載された(要旨は英語)。 

2019  Pukyong National University Humanities Korea Plus Research Group  単独  2019/11/29 
What dose "good Gelidiaceae" mean?  , The 7th East Asian Island and Ocean Forum 2019  , The 7th East Asian Island and Ocean Forum 2019: Deployment and Exchange of the Humanities Network in the Sea Region  , Pukyong National University Humanities Korea Plus Research Group  , pp.142-150   

概要(Abstract) In northeast Taiwan, the interpretation of “good Gelidiaceae”, which is spoken by traditional female divers, local men, and natives from other regions, and wholesalers reflects different values and life views. Also, in this region, there is a strange form of trading relationship in which a traditional female divers who collect Gelidiaceae by herself purchases Gelidiaceae that another traditional female divers sold to a wholesaler from a wholesaler and then retails it to a customer. In this presentation, I will clarify the relationship between this strange trading relationship and various interpretations of “good Gelidiaceae”. 

備考(Remarks) 釜京大学校・木浦大学校・鹿児島大学・上海海洋大学・中国海洋大学・浙江海洋大学・台湾海洋大学といった研究機関から、海洋文化を扱う研究者50名超が学問分野の別を問わず一同に参加して成果を発表し、議論を深める国際フォーラムでの口頭発表。進行中の共同研究のメンバーと共にSessionを企画し、冒頭の趣旨説明に加えて、個人発表をした。当日配布される論文集には日本語で各発表者の論文が掲載された(要旨は英語)。 

詳細表示
研究助成
年度
Year
助成名称または科学研究費補助金研究種目名
Name of grant or research classification for scientific research funding
研究題目
Research Title
役割(代表/非代表)
Role
助成団体
Granting body
助成金額
Grant amount
2022  科学研究費補助金  19世紀以降の東アジア世界における海藻の生産・流通・消費に関する総合研究 
分担者  日本学術振興会   

研究内容(Research Content)  

備考(Remarks) 非代表(代表:塚本明) 

2022  科学研究費補助金  海洋生物の捕獲と養殖をめぐる文化人類学的研究:中国・台湾・フィリピンの事例から  
代表  日本学術振興会   

研究内容(Research Content) 人は海という空間をいかに飼い馴らしてきたのか。本研究は、①海の動植物に対するドメスティケーション(栽培化・養殖化)、②海という空間の制御(自然災害予防)、③海に生きる人々の統治(国境管理・国家防衛・海洋保護)にかかわる管理システムの総体を「海を飼い馴らす技術」と名づけ、それらが自然状態としての海に含有される不確実性の克服手段として精緻化されるプロセスを追うことで、海に生きる人々が経験した近代化の一端を捉えることを目指す。具体的には、魚類・貝類・海藻類の捕獲/養殖において異なる依存の程度を見せるA)中国の船上生活者、B)台湾の海女、C)フィリピンの海藻養殖者の三者に注目し、まったく別の政治制度と、経済的利益の追究・持続可能な資源利用・国家による国民の庇護といった方向性の異なる理念が錯綜するなかで、彼らが海を管理する主体/国家により管理される客体の間を揺れ動く姿を考察する。これは、海と密着して生きる人々の日常を、水産学・経済学・政治学・防災学・土木学・軍事学・環境学の各分野に分割することなく、総体的に捉える試みである。  

備考(Remarks)  

2022  南山大学パッヘ研究奨励金I-A-2  海洋動植物の収奪とドメスティケーションをめぐる文化人類学的研究(3) 
代表    300,000  

研究内容(Research Content) 人は海という空間をいかに飼い馴らしてきたのか。本研究は、①海の動植物に対するドメスティケーション(養殖化・栽培化)、②海という空間の制御(自然災害予防)、③海に生きる人々の統治(国境管理・国家防衛・海洋保護)に関わる管理システムの総体を、「海を飼い馴らす技術」と名づけ、それらが自然状態としての海がもつリスクの克服手段として精緻化されるプロセスを追うことで、海に生きる人々が経験した近代化の一端を捉えることを目指す。当該研究は向こう4~10年程度の長期にわたり遂行を計画しているもので、2020年度はそのごく初歩と位置づけられる。
具体的には、魚類・貝類・海藻類の捕獲/養殖・栽培において異なる依存の程度を見せるA)中国の船上生活者、B)台湾の海女、C)台湾の先住民族、D)フィリピンの海藻栽培者の四者を主要な対象地域として注目し、まったく別の政治制度と、経済的利益の追究・持続可能な資源利用・国家による国民の庇護といった方向性の異なる理念が錯綜するなかで、彼らが「海を管理する主体」/「国家により管理される客体」の間を揺れ動く姿を考察する。比較の必要が生じた場合は、適宜その他の地域へと調査地域を拡大することも想定している。  

備考(Remarks)  

2022  アジア歴史研究助成   植民地台湾における漁場収奪の過程に関する研究:台湾北部のテングサ漁場を事例として  
非代表  公益財団法人JFE21世紀財団    

研究内容(Research Content)  

備考(Remarks) 共同研究(研究代表者:新垣夢乃)
COVID-19の世界的流行を受けて助成期間の延長が認められたもの 

2021  アジア歴史研究助成  植民地台湾における漁場収奪の過程に関する研究:台湾北部のテングサ漁場を事例として 
非代表  公益財団法人JFE21世紀財団   

研究内容(Research Content)  

備考(Remarks) 共同研究(研究代表者:新垣夢乃) 

2021  国際常民文化研究機構共同研究(A一般)   課題名「台湾の「海女(ハイルー)」に関する民族誌的研究 —東アジア・環太平洋地域の海女研究構築を目指して—」 
代表  神奈川大学国際常民文化研究機構    

研究内容(Research Content) 海女は日本と韓国にしか存在しない固有の文化…」「海女を世界文化遺産に」[朝日新聞社 2010「海女の幸を残したい」]。――メディアを通して流布されてきた言説。「ロマンあふれる古代に誘う日本・韓国の固有文化の担い手」、あるいは「半裸で潜水漁を行う物珍しき女性」といった固定化された「海女」のイメージ創出に民俗学やその他の学問が果たしてきた責任は重い。日本でも、『魏志倭人伝』『万葉集』などの記述から日本人のルーツや古層文化を知る糸口として、海女に注目する研究が数多登場してきた[cf. 最上孝敬 1977 『原始漁法の民俗』]。当然ながら、こうした海女研究に対する批判も存在する。秋道智彌は、日本の潜水漁師を日本文化の源流たる「倭の水人」や「日本の海人」の伝統と結びつける態度を排し、むしろ環太平洋の島嶼の漁民との共通性に目を向ける姿勢が必要と説く[秋道 1988 『海人の民族学』]。また、安室知は商品価値の高い魚介類を対象とした海女の潜水漁のみを単独に論じる従来の研究に疑問を呈し、それを男女・漁法の区別なく「海付きの村」の生業全体の中で捉えることの重要性を強調する[安室 2011「アマ論・再考」]。
本研究も、秋道・安室らと共通の構えをもつ。その最大の契機は、藤川・新垣・齋藤がそれぞれに台湾(基隆・宜蘭・澎湖)で「海女(ハイルー)」と呼ばれる女性たちと出会っていたことにある。事実、基隆以南の東海岸から澎湖諸島に至る西側まで、台湾各地の海沿いには広く「海女の民俗」が存在するにもかかわらず、台湾の海女は研究上、二重の意味で見落とされてきたといえる。まず、農本主義的伝統の根強い漢族研究では、海を生業の場とする人々自体が等閑視されてきた。さらに、東アジア研究においても、「海女といえば日本か韓国」との先入観が、台湾の海女を透明人間化してきたといえる。
本研究は次の三点を目標として掲げる。1)台湾基隆の海付きの村を対象に、海女の潜水漁・海藻の手繰り寄せ・その他の漁撈活動をめぐる民族誌的調査を実施し、それを「村のくらし」全体の中に位置づけて描くこと。2)漢族研究の文脈で台湾の海女民俗を捉えるための視座を獲得すること。3)台湾の事例を日本の海付きの村と比較しながら、東アジアあるいは環太平洋島嶼部全体を射程に入れた新たな形の「アマ研究」模索のための足がかりを掴むこと。
 

備考(Remarks) 共同研究。当初、2021年度は報告書刊行・成果報告フォーラムのみに携わる期間と定められていたが、COVID-19により2020年度内に本格的な現地調査が実施不可能となったことを受け、2020年度分の調査・研究費を継続して使用可能との決定が下された。 

2021  科学研究費補助金  海洋生物の捕獲と養殖をめぐる文化人類学的研究:中国・台湾・フィリピンの事例から  
代表  日本学術振興会   

研究内容(Research Content) 人は海という空間をいかに飼い馴らしてきたのか。本研究は、①海の動植物に対するドメスティケーション(栽培化・養殖化)、②海という空間の制御(自然災害予防)、③海に生きる人々の統治(国境管理・国家防衛・海洋保護)にかかわる管理システムの総体を「海を飼い馴らす技術」と名づけ、それらが自然状態としての海に含有される不確実性の克服手段として精緻化されるプロセスを追うことで、海に生きる人々が経験した近代化の一端を捉えることを目指す。具体的には、魚類・貝類・海藻類の捕獲/養殖において異なる依存の程度を見せるA)中国の船上生活者、B)台湾の海女、C)フィリピンの海藻養殖者の三者に注目し、まったく別の政治制度と、経済的利益の追究・持続可能な資源利用・国家による国民の庇護といった方向性の異なる理念が錯綜するなかで、彼らが海を管理する主体/国家により管理される客体の間を揺れ動く姿を考察する。これは、海と密着して生きる人々の日常を、水産学・経済学・政治学・防災学・土木学・軍事学・環境学の各分野に分割することなく、総体的に捉える試みである。 

備考(Remarks)  

2021  南山大学パッヘ研究奨励金I-A-2  海洋動植物の収奪とドメスティケーションをめぐる文化人類学的研究(2) 
代表    300,000 

研究内容(Research Content) 人は海という空間をいかに飼い馴らしてきたのか。本研究は、①海の動植物に対するドメスティケーション(養殖化・栽培化)、②海という空間の制御(自然災害予防)、③海に生きる人々の統治(国境管理・国家防衛・海洋保護)に関わる管理システムの総体を、「海を飼い馴らす技術」と名づけ、それらが自然状態としての海がもつリスクの克服手段として精緻化されるプロセスを追うことで、海に生きる人々が経験した近代化の一端を捉えることを目指す。当該研究は向こう4~10年程度の長期にわたり遂行を計画しているもので、2020年度はそのごく初歩と位置づけられる。
具体的には、魚類・貝類・海藻類の捕獲/養殖・栽培において異なる依存の程度を見せるA)中国の船上生活者、B)台湾の海女、C)台湾の先住民族、D)フィリピンの海藻栽培者の四者を主要な対象地域として注目し、まったく別の政治制度と、経済的利益の追究・持続可能な資源利用・国家による国民の庇護といった方向性の異なる理念が錯綜するなかで、彼らが「海を管理する主体」/「国家により管理される客体」の間を揺れ動く姿を考察する。比較の必要が生じた場合は、適宜その他の地域へと調査地域を拡大することも想定している。  

備考(Remarks)  

2020  国際常民文化研究機構共同研究(A一般)  課題名「台湾の「海女(ハイルー)」に関する民族誌的研究 —東アジア・環太平洋地域の海女研究構築を目指して—」 
代表  神奈川大学国際常民文化研究機構  2,000,000 

研究内容(Research Content) 「海女は日本と韓国にしか存在しない固有の文化…」「海女を世界文化遺産に」[朝日新聞社 2010「海女の幸を残したい」]。――メディアを通して流布されてきた言説。「ロマンあふれる古代に誘う日本・韓国の固有文化の担い手」、あるいは「半裸で潜水漁を行う物珍しき女性」といった固定化された「海女」のイメージ創出に民俗学やその他の学問が果たしてきた責任は重い。日本でも、『魏志倭人伝』『万葉集』などの記述から日本人のルーツや古層文化を知る糸口として、海女に注目する研究が数多登場してきた[cf. 最上孝敬 1977 『原始漁法の民俗』]。当然ながら、こうした海女研究に対する批判も存在する。秋道智彌は、日本の潜水漁師を日本文化の源流たる「倭の水人」や「日本の海人」の伝統と結びつける態度を排し、むしろ環太平洋の島嶼の漁民との共通性に目を向ける姿勢が必要と説く[秋道 1988 『海人の民族学』]。また、安室知は商品価値の高い魚介類を対象とした海女の潜水漁のみを単独に論じる従来の研究に疑問を呈し、それを男女・漁法の区別なく「海付きの村」の生業全体の中で捉えることの重要性を強調する[安室 2011「アマ論・再考」]。
本研究も、秋道・安室らと共通の構えをもつ。その最大の契機は、藤川・新垣・齋藤がそれぞれに台湾(基隆・宜蘭・澎湖)で「海女(ハイルー)」と呼ばれる女性たちと出会っていたことにある。事実、基隆以南の東海岸から澎湖諸島に至る西側まで、台湾各地の海沿いには広く「海女の民俗」が存在するにもかかわらず、台湾の海女は研究上、二重の意味で見落とされてきたといえる。まず、農本主義的伝統の根強い漢族研究では、海を生業の場とする人々自体が等閑視されてきた。さらに、東アジア研究においても、「海女といえば日本か韓国」との先入観が、台湾の海女を透明人間化してきたといえる。
本研究は次の三点を目標として掲げる。1)台湾基隆の海付きの村を対象に、海女の潜水漁・海藻の手繰り寄せ・その他の漁撈活動をめぐる民族誌的調査を実施し、それを「村のくらし」全体の中に位置づけて描くこと。2)漢族研究の文脈で台湾の海女民俗を捉えるための視座を獲得すること。3)台湾の事例を日本の海付きの村と比較しながら、東アジアあるいは環太平洋島嶼部全体を射程に入れた新たな形の「アマ研究」模索のための足がかりを掴むこと。
2020年度は最終年度であり、次年度は報告書を刊行する予定である。 

備考(Remarks) 共同研究 

2020  科学研究費補助金  海洋生物の捕獲と養殖をめぐる文化人類学的研究:中国・台湾・フィリピンの事例から 
代表  日本学術振興会    

研究内容(Research Content) 人は海という空間をいかに飼い馴らしてきたのか。本研究は、①海の動植物に対するドメスティケーション(栽培化・養殖化)、②海という空間の制御(自然災害予防)、③海に生きる人々の統治(国境管理・国家防衛・海洋保護)にかかわる管理システムの総体を「海を飼い馴らす技術」と名づけ、それらが自然状態としての海に含有される不確実性の克服手段として精緻化されるプロセスを追うことで、海に生きる人々が経験した近代化の一端を捉えることを目指す。具体的には、魚類・貝類・海藻類の捕獲/養殖において異なる依存の程度を見せるA)中国の船上生活者、B)台湾の海女、C)フィリピンの海藻養殖者の三者に注目し、まったく別の政治制度と、経済的利益の追究・持続可能な資源利用・国家による国民の庇護といった方向性の異なる理念が錯綜するなかで、彼らが海を管理する主体/国家により管理される客体の間を揺れ動く姿を考察する。これは、海と密着して生きる人々の日常を、水産学・経済学・政治学・防災学・土木学・軍事学・環境学の各分野に分割することなく、総体的に捉える試みである。 

備考(Remarks)  

詳細表示
教育活動
年度
Year
タイトル
Title
内容等
Content
活動期間
Period of Activities
2023  教育方法の実践  

「人類文化学演習IC」と「フィールドワーク(文化人類学)」において、南山大学人類学研究所主催「人類学フェスティバル2023」に参加・発表。受講者のほとんどが研究内容を発表し、討論に参加した。ここで得られた意見を研究プロジェクトの調査・研究(演習IC)、報告書の執筆(フィールドワーク(文化人類学)に活用する予定である。 

2024/01/28 
2023  教育方法の実践  

「フィールドワーク(文化人類学)I」において、「「海辺の町に生きる」ことに関する文化人類学的調査」というテーマで学生とともに静岡県下田市で各種現地調査を実施。報告書『「海辺の町に生きる」ことに関する文化人類学的調査』(タイトル未定)を刊行予定である。  

2023/04/01~2024/03/31 
2022  教育方法の実践  

「人類文化学演習IC」と「フィールドワーク(文化人類学)」において、南山大学人類学研究所主催「人類学フェスティバル2022」に参加・発表。受講者のほとんどが研究内容を発表し、討論に参加した。ここで得られた意見を研究プロジェクトの調査・研究(演習IC)、報告書の執筆(フィールドワーク(文化人類学)に活用する予定である。  

2023/01/22 
2022  教育方法の実践  

「フィールドワーク(文化人類学)I」において、歴史・観光のまち金沢の人とモノ」というテーマで学生とともに各種現地調査を実施。報告書『歴史・観光のまち金沢の人とモノ』(タイトル未定)を刊行予定である。  

2022/04/01~2023/03/31 
2021  教育方法の実践  

「人類文化学演習IC」において、南山大学人類学研究所主催「人類学フェスティバル2021★オンライン」に参加・発表。受講者のほとんどが研究内容を発表し、討論に参加した。ここで得られた意見を研究プロジェクトの調査・研究に活用する予定である。  

2022/01/23 
2021  教育方法の実践  

「人類文化学基礎演習IB」において、跡見女子学園大学学観光コミュニティ学部3・4年生と合同研究発表会を実施。受講者のほとんどが研究内容を発表し、討論に参加した。ここで得られた意見をレポート作成に活用することができた。 

2021/07/14~2021/07/21 
2021  教育方法の実践  

「フィールドワーク(文化人類学)I」において、「ウナギと人のかかわりに関する文化人類学的調査」というテーマで学生とともに各種現地調査・アンケート調査・Zoomによる聞き取り調査を実施。報告書『ウナギと人のかかわりに関する文化人類学的研究』(タイトル未定)を刊行予定である。 

2021/04/01~2022/03/31 
2020  教育方法の実践 

学科科目「人類文化学演習IC」で、2021年1月14、19日、跡見女子学園大学学観光コミュニティ学部1年生と合同研究発表会を行った。受講者のほとんどが研究内容を発表し、討論に参加した。ここで得られた意見を研究プロジェクトの調査・研究に活用する予定である。 

2021/01/14~2021/01/19 
2020  教育方法の実践 

学科科目「人類文化学演習IC」で、2021年1月9日、南山大学人類学研究所主催の人類学フェスティバル2020★オンラインに参加した。受講者のほとんどが研究内容を発表し、討論に参加した。ここで得られた意見を研究プロジェクトの調査・研究に活用する予定である。 

2021/01/09 
2020  教育方法の実践 

学科科目「人類文化学演習IIC」で、2020年11月10日、外国語学部アジア学科張玉玲先生のゼミの3年生とオンライン交流会を行った。受講生数名が参加し、研究プロジェクトで取り組んでいる内容について発表・意見交換した。 

2020/11/10 
詳細表示
著書・学術論文に関する統計情報
年度
Academic Year
学術研究著書の件数
No. of Academic Books
学会誌・国際会議議事録等に掲載された学術論文の件数
No. of Academic Articles in Journals/Int'l Conference Papers
学内的な紀要等に掲載された学術論文の件数
No. of Academic Articles Pub'd in University Bulletins
学会受賞等の受賞件数
No. of Academic Awards Received
国際学会でのゲストスピーカーの件数
No. of Times as Guest Speaker at Int'l Academic Conferences
国際学会での研究発表の件数
No. of Presentations of Papers at Int'l Academic Conferences
国内学会でのゲストスピーカーの件数
No. of Times as Guest Speaker at National Academic Conf.
国内学会での研究発表の件数
No. of Papers Presented at National Academic Conf.
2023 
2022 
2021 
2020 
2019 
2018 
2017 
2016 
2015 
詳細表示

2024/05/18 更新