研究者詳細

教職員基本情報
氏名
Name
藤川 美代子 ( フジカワ ミヨコ , FUJIKAWA Miyoko )
所属
Organization
人文学部人類文化学科
人類学研究所
職名
Academic Title
准教授

出身学校
学校名
Univ.
卒業年月(日)
Date of Graduation
卒業区分
Graduation
   Classification2
琉球大学法文学部人間科学科 2003年03月  卒業 
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出身大学院
大学院名
Grad. School
修了課程
Courses
   Completed
修了年月(日)
Date of Completion
修了区分
Completion
   Classification
神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科歴史民俗資料学専攻 博士後期課程  2014年03月  修了 
琉球大学大学院人文社会科学研究科人間科学専攻 修士課程  2005年03月  修了 
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取得学位
     
学位区分
Degree
   Classification
取得学位名
Degree name
学位論文名
Title of Thesis
学位授与機関
Organization
   Conferring the Degree
取得年月(日)
Date of Acquisition
博士 歴史民俗資料学  「連家船漁民の研究―水・陸のはざまを生きる福建南部の水上居民―」  神奈川大学大学院  2014年03月 
修士 文学    琉球大学大学院  2005年03月 
学士 文学    琉球大学 2003年03月 
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研究経歴
長期研究/短期研究
Long or Short
   Term research
研究課題名
Research Topic
長期研究  定住/非定住をめぐる人類学的研究 

概要(Abstract) 定住/移動という生活形態の差異が、いかにして人々の間にマジョリティ/マイノリティ、差別/被差別といった関係性を生じさせるのかを検討する。 

短期研究  東南中国の船上生活者の暮らしとアイデンティティをめぐる人類学的研究 

概要(Abstract) 陸地の人々との関係性、住まい方や生業の変化、儀礼のやり方などの諸要素が、いかに連関して船上生活者たちの帰属意識を維持あるいは再編させているかを検討する。 

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著書
年度
Year
著書名
Title of the books
著書形態
Form of Book
NeoCILIUS
   請求番号/資料ID
Request No
出版機関名 Publishing organization,判型 Book Size,頁数 No. of pp.,発行年月(日) Date
2016  『水上に住まう―中国福建・連家船漁民の民族誌』  単著   
株式会社 風響社  , A5  , 492  , 2017/02   

概要(Abstract) ―水上。そこは、人が住まうのに適した空間なのか。あるいは、脱却・忘却すべき空間なのか。本書は、約百年にわたる現代中国を舞台に、福建省南部の船上生活者を見つめながら、水上(と陸上)に住まうことの意味を問う民族誌である。本書が目指すのは、船上生活者の水上/陸上に住まうという営みを、単なる容器としての船や家屋で寝泊まりする行動に矮小化するのではなく、反対にそれを被差別的状況に対する抵抗の実践などと無批判に過大評価するのでもなく、彼らの生き方を示すような、さまざまな日常実践の総体として捉えることである。 

備考(Remarks)  

2009  『即将逝去的船影—九龙江上『吉普赛人』史迹(邦訳:やがて消えゆく船の影―九龍江「ジプシー」たちの足跡)』  共著   
海風出版社  , B5  , 178 p.  , 2010/02/00   

概要(Abstract) 福建省南部を流れる九龍江で長らく船上生活をしてきた「連家船漁民」と呼ばれる人々の暮らしについて、連家船漁民出身の二人が描いた著作。祖先は農民であったという彼ら自身の間で伝えられる出自の説明や、家屋を持たないことで周囲の農民たちから侮辱された経験、船上での生活習慣といった多岐にわたる内容について描く。そのうち、日本人留学生として彼らと接していた自分が、連家船漁民の大家族の一員として迎え入れられ共同生活を送るようになった経緯と、それによってもたらされた研究の心構えの変化に触れた部分を執筆。 

備考(Remarks) 著者:張亜清、張石成、藤川美代子。執筆担当部分:「我与九龙江上“吉普赛人”的情缘(邦訳:私と九龍江のジプシーたちを結ぶ心の絆)」、pp.169-172.(4p.) 

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学術論文
年度
Year
論文題目名
Title of the articles
共著区分
Collaboration
   Classification
NeoCILIUS
   請求番号/資料ID
Request No
掲載誌名 Journal name,出版機関名 Publishing organization,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.,発行年月(日) Date
2017  "Continuing to Live on the Water: The Meaning of Land Residences for Boat Dwellers in Fujian, China."  単著   
The 5th East Asian Island and Ocean Forum 2017  , International Center for Folk Culture Studies  , 373-384  , 2017/12/05   

概要(Abstract) What does it mean for boat dwellers to acquire land and a house? This presentation will focus on a boat-dwelling family that lives in the southern part of Fujian Province, China. The history of the family’s three generations shows that they continually have preferred to live on a boat, even after acquiring a house during the 1990's. While they wanted to purchase a residence on land, they were not concerned about how to actually live in it. Their contradictory and complicated behavior strongly rejects the very simple structure of “from nomadic life on water to settlement on land” that has been assumed by many policymakers and researchers.  

備考(Remarks) 木浦大学校・鹿児島大学・上海海洋大学・中国海洋大学・浙江海洋大学・広東海洋大学・台湾海洋大学といった研究機関から、海洋文化を扱う研究者40名超が学問分野の別を問わず一同に参加して成果を発表し、議論を深める国際フォーラムでの口頭発表。当日配布される論文集には英語・日本語で各発表者の論文が掲載された。当該論文はpp.373-378が英語、pp.379-384が日本語。 

2015  「福建の船上生活者にとって「家」とは何か―ある家族の年代記から―」  単著   
『物質文化』  , 物質文化研究会  , 96  , 45-58  , 2016/03/01   

概要(Abstract) 「船上生活者」とカテゴライズされる人々の多くは、住まい方の異質性を根拠に陸上集団からの差別・排除を経験してきた。それゆえに、近代化の過程で各地の船上生活者が陸上に家屋を獲得した時、為政者や研究者が想定したのは「移動から定住へ」というごく単純な構図であった。ここで前提されるのは、弱者たる船上生活者は陸上世界への常に同化を切望しているはずとの見方であり、その背後には文明の発生を定住化へと結びつける人類史研究上の「根拠なき定住者優越主義」の無反省な踏襲が見え隠れする。だが、家屋獲得後に繰り広げられる船上生活者の暮らしは、それほど単純なものではない。現実の船上生活者が営む多様な日常実践を理解するためには、この前提から離れ、船上生活者自身にとって土地や家屋の獲得はいかなる意味を持ってきたのかと問い直す必要がある。中国福建省南部の河で暮らしてきた「連家船漁民」の一家族の住まい方をめぐる実践からは、家屋の獲得を経ても船上での移動生活を続ける人々の姿が浮き彫りになる。ほとんど機能的意味を持たぬかに見える家屋の購入に執着する家族の姿は、土地や家屋に関する陸上の価値観が連家船漁民の間でも強く意識されてきたこと、その一方で、家屋にいかに住まうのかについては陸上の価値観にまったく無頓着であることを示している。この事実は、為政者や研究者が想定してきた「家屋の獲得=陸上での生業への移行=定住」というプロセスの必然性を強く否定するものである。 

備考(Remarks) 【査読有り】 

2014  「水上生活者の子どものために設置された児童福祉施設の研究―「住むための船」から「学ぶための寮」へ移った子どもの視点から」  共著   
『住総研 研究論文集』  , 一般財団法人住総研  , No.41  , pp.1-11  , 2015/03/00   

概要(Abstract) 水上生活者の子どもを陸で教育することが、水上生活者の陸地定住を促したというステレオタイプな言説があるが、これまで事例研究はほとんど行われてこなかった。そこで本研究では、水上と陸の間に位置していた水上生活者の子ども向けの児童福祉施設について、建築史および文化人類学・民俗学的な方法で、施設利用者である子どもの視点に留意して分析する。本研究の調査地(日本・中国)における陸地定住は人災、自然災害や法の改正などが契機となっており、児童福祉施設と学校教育は陸上がりを促したというより、子どもの将来の選択肢を広げる役割を果たしたことを指摘した。 

備考(Remarks) 主査:厚香苗、委員:藤原美樹、藤川美代子による共著
【査読なし】 

2012  「現代中国の社会変化期における水上居民の暮らし」  単著   
『年報非文字資料研究』  , 神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター  , 第9号  , pp. 277-307  , 2013/03/00   

概要(Abstract) 福建省南部で長らく船上生活をしてきた連家船漁民と呼ばれる人々が、中華民国期から現在までの激動の時代をどのように暮らしてきたのか、複数の人々の語りを中心に描き出す。国共内戦や集団化政策、陸上の住居の獲得、そして改革開放といった政策の転換に大きな影響を受けながらも、それだけでは捉えられぬ彼らの暮らしぶりを基層社会の側から理解することを目指す。 

備考(Remarks) 【査読有り】 

2012  「水上の移動生活を支える陸上の親族ネットワーク―中国福建省南部の水上居民「連家船漁民」を例に―」  単著   
『次世代人文社會研究』  , 韓日次世代學術FORUM  , 第9號  , pp. 231-248  , 2013/03/00   

概要(Abstract) 福建省南部の九龍江において、連家船漁民と呼ばれる人々は陸上に土地を持たず、家族で船に寝泊まりする移動生活を送ってきた。彼らは1960年代の定住化政策で住居を得たが、現在でも多くが船での移動生活を続けている。論文では3世代の一家族を取り上げ、家族成員の大多数がそれぞれ船での移動を続けるという生活形態が、子育てをめぐって陸上に広がる父系・母系の親族ネットワークに支えられて初めて成立することを明らかにする。 

備考(Remarks) 【査読有り】 

2011  「中国福建省南部における水上居民の葬送儀礼とその変遷」  単著   
『年報非文字資料研究』  , 神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター  , 第8号  , pp.313-339  , 2012/03/00   

概要(Abstract) 福建省南部に暮らす船上生活者、連家船漁民たちの葬送儀礼と祖先祭祀の変遷を描く。最後は、陸上漢族たちから異質な人々と見なされてきた彼らが、死者儀礼に現れる自分たち独特の民俗事象を、自身でどのように解釈しているのかに注目し、他者からマイノリティの立場へと落とし込められてきた連家船漁民たちが、そうした他者からの位置づけに対抗する姿を読み取る。 

備考(Remarks) 【査読有り】 

2011  「端午節の儀礼にみる水上生活者たちの所属意識―中国福建省九龍江河口に暮らす連家船漁民の事例から―」  単著   
『比較民俗研究』  , 比較民俗研究会  , 第24号  , pp.4-39  , 2010/03/00   

概要(Abstract) 中国福建省九龍江河口の漁村で行なわれた現地調査をもとにした論考。古くから陸上に土地や家を持たず、船を家として暮らしてきた連家船漁民と呼ばれる人々は、共産党政権下になってようやく定住する土地を手に入れた。端午節の一連の儀礼から、連家船漁民たちが自らの暮らす土地を、陸上の人々からの借り物としてではなく、自身のものとして考えるようになった歴史が伺える。そこから、彼らの所属意識のあり方を論じる。 

備考(Remarks) 【査読なし】 

2005  「家屋の空間構成をめぐる象徴性―奄美大島大和村O村落の場合―」  単著   
『比較民俗研究』  , 比較民俗研究会  , 第20号  , pp.109-132  , 2005/10/00   

概要(Abstract) 奄美大島の一村落で行なわれた現地調査をもとにした論考。赤ちゃんが生れて最初に家の外へ出る際や、夫の家に嫁ぐ(妻を娶る)際、出産をする際、死を迎える際といった人生の節目に、家屋のどの部屋が用いられるのかを描く。また、それらの部屋がそれぞれの場合においてどのような儀礼的象徴性を持つのかを論じる。 

備考(Remarks) 【査読なし】 

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その他研究業績
年度
Year
題名等
Titles
カテゴリ
Category
細目
Authorship
掲載雑誌名等 Publishing Magazine,発行所 Publisher,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.,発行年月(日) Date
2017  「胡艶紅著『江南の水上居民-太湖漁民の信仰とその変容』」  書評  単著 
『史鏡』  , 歴史人類学会  , 75  , 76-82  , 2018/03   

概要(Abstract) 学術界において水上居民(=船上生活者)は今や、誰からも関心を向けられず、ひっそりと船に身を置く存在などではない。彼らは、その異質性・周縁性のために、エスニシティ(=華/夷)や身分制度(=良民/賤民)といった自他のアイデンティティや権力をめぐるせめぎ合いのただ中にあると目され、「マイノリティ」「弱者」「差別」「貧困」といった人文学系の研究者が喜んで飛びつきそうな諸要素をまとう人々として、学術の表舞台へと躍り出たからである。これらの問題系とは一線を画し、「現代中国における社会変容と民俗の断絶/連続」という主題を掲げる本書は、中華民国期から現在に至るまで、近代国家としての中国は、太湖で船上生活を送る「漁民」をいかに国民として統合しようと試みてきたのか。対する漁民は、激動の時代をいかに主体的に生きてきたのかと問う。各章の内容を概説した後で、1)特殊と普遍のバランス、2)対象の生き方に迫る、3)「定住」のブラックボックス化の観点から本書の意義と限界に迫る。 

備考(Remarks)  

2017  「趣旨説明」  シンポジウム講演録  単著 
じんるいけんBooklet南山大学人類学研究所公開シンポジウム講演録『水上と陸上に生きる:アジアの船上生活者が経験した「陸上がり」』  , 南山大学人類学研究所  , 3-12  , 2018/02/28   

概要(Abstract)  

備考(Remarks) 2017年2月18日に開催された南山大学人類学研究所公開シンポジウム「水上と陸上に生きる:アジアの船上生活者が経験した「陸上がり」」の内容を収録した講演録。 

2017  「水上と陸上に住まう―中国・福建の連家船漁民が経験した「陸上定居」」  シンポジウム講演録  単著 
じんるいけんBooklet南山大学人類学研究所公開シンポジウム講演録『水上と陸上に生きる:アジアの船上生活者が経験した「陸上がり」』  , 南山大学人類学研究所  , 35-59  , 2018/02/28   

概要(Abstract)  

備考(Remarks) 2017年2月18日に開催された南山大学人類学研究所公開シンポジウム「水上と陸上に生きる:アジアの船上生活者が経験した「陸上がり」」の内容を収録した講演録。 

2015  「船上生活者の日常実践を見つめる」  寄稿  単著 
『南山考人』  , 南山大学考古文化人類学研究会  , 第44号  , pp.87-92  , 2016/03/29   

概要(Abstract) 特集:教員紹介として依頼された寄稿原稿。中国と日本の船上生活者について研究を始めることになったきっかけ、これまでの研究内容、今後の研究計画を紹介したもの。 

備考(Remarks)  

2013  「足元から見つめる中国・水上居民の世界 『声なきマイノリティ』という前提からの脱却を目指して」  寄稿  単著 
『なじまぁ』  , 立教大学アジア地域研究所  , 第4号  , p.22  , 2014/03/00   

概要(Abstract) 水上居民をはじめとする被差別的なマイノリティを扱った研究は往々にして、研究対象が持つ「声なきマイノリティ」という側面を強調する傾向がある。たとえば、水上居民の場合、彼ら自身が周囲に広がる被差別的状況をどのように捉えているのかなどの主体的な解釈の方法が中心的な主題として取り上げられることはきわめて少ない。対象社会を見下ろすことを放棄し、常に社会の周縁へ追いやられてきたマイノリティの足元から社会を眺めようとする態度が、彼らの主体的解釈の方法を理解するために必要であることを主張している。 

備考(Remarks)  

2013  「第5章 船上生活と子供たち 1節 子どもたちの日常生活」  調査報告  共著 
『北九州市若松洞海湾における船上生活者の歴史的変容―オーラルヒストリーからのアプローチ』  , 神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター  , pp.51-67  , 2014/03/00   

概要(Abstract) 九州の北東端に位置する若松港(現・北九州市若松区)は、明治中期から昭和40年代にかけて筑豊炭鉱の興隆とともに石炭の集積地および積出港として栄えた。昭和20~40年代にこの若松港で石炭を積む艀に家族とともに暮らした経験を持つ人々の語りから、水上の船と陸上の寄宿舎および学校を行き来する生活について描く。筆者は、子どもたちの日常生活に注目した1節の執筆を担当。 

備考(Remarks) 共同研究代表:田上繁との共著 

2013  岳永逸、王耀鳳「信仰か、余暇か―妙峰山廟会百年の流れ―」  翻訳  共訳 
『比較民俗研究』  , 比較民俗研究会  , 第28号  , pp. 58-90  , 2013/11/00   

概要(Abstract) 訳者:藤川美代子、白莉莉。原題:岳永逸、王耀凤「信仰抑或休闲:妙峰山庙会的百年流变」 

備考(Remarks)  

2012  「岸上伸啓編著『捕鯨の文化人類学』」  書評  単著 
『比較民俗研究』  , 比較民俗研究会  , 第27号  , pp. 187-191  , 2012/06/00   

概要(Abstract) イルカを含む鯨類の捕獲をめぐっては、動物愛護団体・環境保護団体と捕鯨者・鯨肉を食する者の間に、「文明/野蛮」という単純な二元論的議論に裏打ちされた深い溝が横たわってきた。現代の捕鯨が抱える諸問題に向き合い、世界各地の捕鯨や捕鯨文化の歴史と現状を広い視点で比較・検討することを可能にした『捕鯨の文化人類学』の持つ意味を論じる。 

備考(Remarks)  

2011  「闽南地区水上居民的生活与祖先观念(邦訳:福建省南部における水上居民の生活と祖先観)」  シンポジウム論文集  単著 
『第二届海洋文化与社会发展研讨会』  , 上海海洋大学海洋文化研究中心  , pp. 179-185  , 2011/12/00   

概要(Abstract) 上海海洋大学のシンポジウムにおいて口頭発表した内容をまとめた中国語の論文。中国東南部の船上生活者は、漢族でありながら、当該地域の一般的な漢族なら持つはずの族譜や位牌、墓碑など文字記録を持たない特徴があるとされてきた。論文では、福建省南部の連家船漁民の男性を例とし、彼にとっての祖先には、普通であれば「鬼」の範疇に入るような死者が含まれることから、それらの特徴こそが船上生活の歴史を反映することを指摘する。 

備考(Remarks)  

2011  岳永逸「生活・政治・商品―文化・社会生態としてみる草の根の相声―」  翻訳  共訳 
『比較民俗研究』  , 比較民俗研究会  , 第26号  , 125-186  , 2011/06/00   

概要(Abstract) 訳者:藤川美代子、白莉莉。原題:岳永逸「生活、政治與商品:作為文化社会生態的草根相声」 

備考(Remarks)  

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研究発表
年度
Year
題目又はセッション名
Title or Name of Session
細目
Authorship
発表年月(日)
Date
発表学会等名称 Name, etc. of the conference at which the presentation is to be given, 主催者名称 Organizer, 掲載雑誌名等 Publishing Magazine,発行所 Publisher,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.
2018  「福建南部の海に生きる民の生活世界から見る「台湾」:国防・尋根・親しき友」  単独  2018/05/26 
日本台湾学会第20回学術大会  , 日本台湾学会  , 第20回学術大会ウェブ版プログラム  , 日本台湾学会  , 1-20   

概要(Abstract) 於:横浜市立大学金沢八景キャンパス
軍事境界線で台湾(中華民国)と隔てられた福建省の海において、船に住まい生きる「連家船漁民」の日常生活への注視をとおして、彼らの台湾/台湾人認識の一端を明らかにすることを目指した。連家船漁民は一方で国防や政治的宣伝の最前線に立たされながら、他方で台湾から飛んでくる台湾語のラジオ・テレビの情報を、特段の制約なしに自在に生活の中へと取り込んできた。より大きな文脈で見れば、台湾と中国双方向の「尋根」の動きや大陸由来の神明の里帰りをとおした民間の交流、台湾企業の中国進出による新たな労使関係の登場が、「宗親」・「親しき友」/「いけ好かない上司」といった矛盾する感情を生み出しながら、連家船漁民の「台湾像/台湾人像」にも不断の再編を促しているとの結論が得られた。 

備考(Remarks) 第2分科会(文化人類学)「政治的変動下の生活世界にみる台中(中台)関係の様相とその変遷」の発表者として発表。
企画:上水流久彦
発表者1:西村一之「台湾漁民と『大陸漁工』のつながりから見える『両岸関係』」
コメンテータ:上水流久彦、下野寿子
 

2017  「船に住まい、定住本位の管理社会を生きる-リスク管理としての海洋保護政策・都市化計画と対峙する中国南部の船上生活者」  単独  2018/03/03 
南山大学人類学研究所公開シンポジウム「不確実な世界に住まう:遊動/定住の狭間に生きる身体」  , 南山大学人類学研究所   

概要(Abstract) 於:南山大学
中国南部の連家船漁民を事例に、国家による定住本位型のリスク管理システムが交錯する状況で水上に住まう人々の生き方について考察した。連家船漁民が1960年代にはじまる「定住化」に託したのは(相対的)貧困、生命の危険といった、船に住まい漁撈に従事することが不可避に生み出すと考えられる不確実性の克服と陸上定住者と同様の未来の獲得であった。しかし、その「定住化」は連家船漁民にとって想定外ともいえる不確実性を生み出してもいる。彼ら自身は明言しないが、その最たるものが生活・生業空間を陸上に限定すること、まさに「定住化」であり、ほとんどの家庭では水陸に社会関係を構築しながら水上に生存空間を開いておく努力がなされる。一方、水陸にまたがる彼らの生活は、経済効果・美化を重視する都市化計画や海洋保護・治安維持・国防を企図した国家のリスク管理により、家屋や航行の自由を奪われるという状況にも直面している。連家船漁民の事例からは、その都度変わる国家の管理の意図を十分すぎるほど理解し、どの一線を越えてはならないかを常に慮り(つまり、一旦それを「リスク」として可視化し)ながらも、動きつづける船で河・海という不確実性に富んだ自然にその身を任せ、窮屈な管理社会を斜に構えて見やるという態度が結論として導かれた。 

備考(Remarks) タイの遊動狩猟採集民ムラブリ(二文字屋氏)、モンゴルの遊牧民(寺尾萌氏)、中国の船上生活者(藤川)、フランスのジプシー(左地亮子氏)、フィリピン・マニラ首都圏のジープニー運転手(西尾善太氏)といった、多様な地域の多様な環境のもとで遊動と定住の狭間に生きる人々の事例から、人間存在にとって「動く(遊動する)」とはどのような事態であり、また反対に「留まる(定住する)」とはどのような事態であるかを考えるシンポジウム。 

2017  "Continuing to Live on the Water: The Meaning of Land Residences for Boat Dwellers in Fujian, China."  単独  2017/12/05 
The 5th East Asian Island and Ocean Forum 2017  , 神奈川大学国際常民文化研究機構/日本常民文化研究機構(International Center for Folk Culture Studies)  , The 5th East Asian Island and Ocean Forum Maritime Culture and Diversity  , 神奈川大学国際常民文化研究機構/日本常民文化研究機構(International Center for Folk Culture Studies)  , 373-384   

概要(Abstract) (at Iyotetsu Kaikan Building, Matsuyama City, Japan)
What does it mean for boat dwellers to acquire land and a house? This presentation will focus on a boat-dwelling family that lives in the southern part of Fujian Province, China. The history of the family’s three generations shows that they continually have preferred to live on a boat, even after acquiring a house during the 1990's. While they wanted to purchase a residence on land, they were not concerned about how to actually live in it. Their contradictory and complicated behavior strongly rejects the very simple structure of “from nomadic life on water to settlement on land” that has been assumed by many policymakers and researchers. 

備考(Remarks) 木浦大学校・鹿児島大学・上海海洋大学・中国海洋大学・浙江海洋大学・広東海洋大学・台湾海洋大学といった研究機関から、海洋文化を扱う研究者40名超が学問分野の別を問わず一同に参加して成果を発表し、議論を深める国際フォーラムでの口頭発表。当日配布される論文集には英語・日本語で各発表者の論文が掲載された。 

2017  「船と陸に住まう: 中国福建・連家船漁民の日常生活から」  未設定  2017/07/28 
第147回比較民俗研究会  , 比較民俗研究会   

概要(Abstract) 於:神奈川大学横浜キャンパス。2005年の博士課程入学から、中国福建省南部の船上生活者(連家船漁民)の研究をはじめた経緯、連家船漁民の父母との出会い、フィールドワーク中の苦悩、博士論文の執筆と拙著の刊行へと至る一連の経緯と、陸上に家屋を得た後もなお、船と陸とにまたがった生活を送る人々の姿から読み取れることを発表。 

備考(Remarks)  

2017  「水上に住まう:現代中国・福建南部の連家船漁民の生活を描く」  単独  2017/06/10 
仙人の会(2017年度6月例会)  , 仙人の会   

概要(Abstract) 於:静岡大学静岡キャンパス。コメンテータ:長沼さやか氏:(静岡大学・准教授)。
中国福建省南部の河に生きる人々、「連家船漁民」とは誰なのか。本発表では、連家船漁民/農村・市街地の陸上定住者/土地・家屋をもつ漁民という三者が、地域社会の中で相互にくり広げる「自己/他者」の識別の様相を明らかにした。ここでの問題意識は、住まう環境や生業の形態、(後天的な)身体的特徴といった面で特異性を見せてきた中国各地の「水上居民」の自己/他者を同定するという営みが、総じて「民族」をめぐる問題として片づけられるという学問的状況に対する、私の素直な疑問から出発している。研究のなかで、なぜ、彼らは「不定居の貧困者」でも、「特殊な生業集団」でも、「身体に障がいをもつ者」でもなく、「特異な民族」としてまなざされてきたのか。本章が最終的にあぶり出すのは、自己/他者の同定をめぐる地域社会の知のあり方から著しく乖離していることに、研究者自身が無自覚であるという事実である。
その上で、家屋と船上とのはざまで営まれる、連家船漁民の現代的な住まい方の状況について分析。「移動/定住」「移動から定住へ」といった単純かつ不可逆的に見える構図だけでは捉えることのできぬ複雑かつ動態的な住まい方の形を明らかにした。 

備考(Remarks)  

2016  趣旨説明「水上と陸上に生きる ―アジアの船上生活者が経験した「陸上がり」」  単独  2017/02/18 
南山大学人類学研究所 共同研究「定着/非定着の人類学:「ホーム」とは何か」関連第1回公開シンポジウム  , 南山大学人類学研究所   

概要(Abstract)  1950年代頃からアジア各地の水辺に次々と建てられた、杭上家屋や鉄筋の集合住宅。水上を漂う根なし草のような小船での暮らしは、蔑みの対象から、憐みの対象へと変わった。「陸上には、学校も病院もある。あなたたちにも、安全で、豊かで、文化的かつ科学的な生活を営む権利がある。さぁ、陸上へ!」と。そう、船上生活者は、陸上の世界へと救済されたのだ。
 ――それから半世紀。各地の船上生活者たちは、どこで、いかに暮らしているだろうか。本シンポジウムでは、日本・中国・香港・タイの事例報告から、一連の「陸上がり」をめぐる政策が各地の船上生活者たちにもたらしたものは何だったのかを考える。
 文化人類学・民俗学・歴史学の立場から、船上生活者の日常に注目してきた4名の発表者が共有するのは、船での「移動」、陸上がり政策が目指した「定住」、そして(元)船上生活者が実践する「定住」は、いずれも、単純な現象ではないとの理解である。ともすれば、家屋の獲得というその一点によって、「水上での移動から、陸上での定住へ」との過度に単純化された図式で語られがちな陸上がり。この陸上がりという事態を、日常を生きる(元)船上生活者の側から見つめることは、最終的には、社会科学全般に膾炙する「移動/定住」という二項対立的な理解のあり方を、問い直すことにつながるはずである。
 

備考(Remarks)  

2016  「水上と陸上に住まう:中国・福建の連家船漁民が経験した「陸上定居」」  単独  2017/02/18 
南山大学人類学研究所 共同研究「定着/非定着の人類学:「ホーム」とは何か」関連第1回公開シンポジウム  , 南山大学人類学研究所   

概要(Abstract)  中国福建南部の連家船漁民を事例に、1960年代の居住地割譲と集合住宅建設から始まる一連の陸上定居が、一方では集団化政策を進める為政者にとって連家船漁民の管理(住所の確定・労働配置・漁業収益の効率的な回収と再分配)に適した制度であるように見えながら、連家船漁民自身は「苦渋に満ちた生活からの脱却の契機」として語るという状況について分析。また、非差別的状況からの脱却のために家屋の獲得を強く希求しながら、生業・生活を陸上空間だけに限定するいわゆる「定住」状態に関心を示さない連家船漁民の現在の生活のあり方を示した。 

備考(Remarks)  

2015  「南島住宅の台風対応における相互扶助」  単独  2016/02/19 
名古屋大学未来材料・システム研究所第4回エネルギーシステムシンポジウム「災害に強い電力システムを考える」  , 名古屋大学未来材料・システム研究所   

概要(Abstract) 名古屋大学未来材料・システム研究所からの依頼で行なわれた講演。 

備考(Remarks)  

2015  「台風を受け止めるシマ:奄美群島の家屋と社会」  単独  2015/10/24 
南山大学人類学研究所公開研究会「台風に対応する社会と文化-沖縄・奄美・台湾の比較研究-」  , 南山大学人類学研究所   

概要(Abstract) 本発表の根底にあるのは、自然現象により発生する生活基盤の破壊という危機を、社会はいかに受け止め、対処し、復興へと向かうのかという問いである。注目するのは、台風常襲地域の奄美大島において、家の建築・補修に際して働くシマ(=村落)内部の社会関係資本である。同じ台風常襲地域である沖縄や台湾では1960年代以降、強固なコンクリート構造の家屋が普遍化するのに対し、奄美大島では「壊れやすいが再建しやすい」という特徴を持ちあわせた伝統的な木造の分棟形式が現在まで維持されてきた。それを支えるのは、過疎化・高齢化の中で変化しながらも保持されてきたシマ内部の助け合いであることが明らかになった。 

備考(Remarks)  

2015  「水/陸のはざまで―中国福建・長崎・福岡の水上生活者にとっての「教育」」  単独  2015/09/26 
中部人類学談話会 第232回例会「水上から陸へ-水上生活者の子どもと児童福祉施設-」  , 中部人類学談話会    

概要(Abstract) 中国でも日本でも、近代学校教育制度は、定住・親との同居を暗黙裡に前提として施行されてきた。それゆえ、移動生活を基礎とする船上生活者の子どもたちは、そもそも学校教育に接近することが困難で、不就学・長期欠席に陥ることが多かった。本発表では、船上生活を営む家庭の子どもたちが教育制度に取り込まれる際に導入された寄宿舎に注目し、学校のみでは完結しない教育の空間で、誰がどのように子どもを教え、育ててきたのか、そして子どもたちにとって学校教育はどのような意味を持ってきたのかを、中国と日本の事例から検討する。 

備考(Remarks)  

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研究助成
年度
Year
助成名称または科学研究費補助金研究種目名
Name of grant or research classification for scientific research funding
研究題目
Research Title
役割(代表/非代表)
Role
助成団体
Granting body
助成金額
Grant amount
2018  国際常民文化研究機構共同研究(A一般)  課題名「台湾の「海女(ハイルー)」に関する民族誌的研究 —東アジア・環太平洋地域の海女研究構築を目指して—」 
代表  国際常民文化研究機構  2,000,000 

研究内容(Research Content) 「海女は日本と韓国にしか存在しない固有の文化…」「海女を世界文化遺産に」[朝日新聞社 2010「海女の幸を残したい」]。――メディアを通して流布されてきた言説。「ロマンあふれる古代に誘う日本・韓国の固有文化の担い手」、あるいは「半裸で潜水漁を行う物珍しき女性」といった固定化された「海女」のイメージ創出に民俗学やその他の学問が果たしてきた責任は重い。日本でも、『魏志倭人伝』『万葉集』などの記述から日本人のルーツや古層文化を知る糸口として、海女に注目する研究が数多登場してきた[cf. 最上孝敬 1977 『原始漁法の民俗』]。当然ながら、こうした海女研究に対する批判も存在する。秋道智彌は、日本の潜水漁師を日本文化の源流たる「倭の水人」や「日本の海人」の伝統と結びつける態度を排し、むしろ環太平洋の島嶼の漁民との共通性に目を向ける姿勢が必要と説く[秋道 1988 『海人の民族学』]。また、安室知は商品価値の高い魚介類を対象とした海女の潜水漁のみを単独に論じる従来の研究に疑問を呈し、それを男女・漁法の区別なく「海付きの村」の生業全体の中で捉えることの重要性を強調する[安室 2011「アマ論・再考」]。
本研究も、秋道・安室らと共通の構えをもつ。その最大の契機は、藤川・新垣・齋藤がそれぞれに台湾(基隆・宜蘭・澎湖)で「海女(ハイルー)」と呼ばれる女性たちと出会っていたことにある。事実、基隆以南の東海岸から澎湖諸島に至る西側まで、台湾各地の海沿いには広く「海女の民俗」が存在するにもかかわらず、台湾の海女は研究上、二重の意味で見落とされてきたといえる。まず、農本主義的伝統の根強い漢族研究では、海を生業の場とする人々自体が等閑視されてきた。さらに、東アジア研究においても、「海女といえば日本か韓国」との先入観が、台湾の海女を透明人間化してきたといえる。
本研究は次の三点を目標として掲げる。1)台湾基隆の海付きの村を対象に、海女の潜水漁・海藻の手繰り寄せ・その他の漁撈活動をめぐる民族誌的調査を実施し、それを「村のくらし」全体の中に位置づけて描くこと。2)漢族研究の文脈で台湾の海女民俗を捉えるための視座を獲得すること。3)台湾の事例を日本の海付きの村と比較しながら、東アジアあるいは環太平洋島嶼部全体を射程に入れた新たな形の「アマ研究」模索のための足がかりを掴むこと。 

備考(Remarks) 共同 

2017  科学研究費補助金  船上生活者の教育と福祉に関する文化人類学的研究:日本・中国の都市部と村落部の比較 
代表  日本学術振興会  900,000 

研究内容(Research Content) 本研究は、国家の理念や政治体制に大きな差異が認められる日本と中国において、船上生活者の子どもたちをめぐり実施されてきた学校教育・社会福祉のあり方を比較検討し、それらの意味を「国家の意図」と「当事者の受け止め方」という両面から考察することを目的とする。近代以降、どの国でも学校教育とは「国民」を作り上げる営為と共にあり、それは「正しい国民像」から逸脱した者の「排除」ないし「矯正」と表裏一体の関係にある。船上生活者とは中国でも日本でも、船に住まうがゆえに学校教育へ接近できぬ存在であり、彼らにとっては義務教育制度の施行と受容自体が、自らの生活習慣を否定する意味を持っていた。
本研究では、1)国家の描く「国民像」と教育制度の歴史、2)船上生活者を学校へ向かわせる力、3)学校や宿舎における教育・福祉の実践、4)それらを受け止める船上生活者自身の態度に注目する。 

備考(Remarks)  

2017  南山大学パッヘ研究奨励金I-A-2  船上生活者の教育と福祉に関する文化人類学的研究:日本と中国の比較(2) 
代表    216,000 

研究内容(Research Content) 本研究は、2016年度から開始している長期的研究の一部を成す。国家の理念や政治体制に大きな差異が認められる近代以降の日本と中国において、船上生活者の子どもたちをめぐり実施されてきた学校教育・社会福祉のあり方を比較検討し、それらが持つ意味を、「国家の意図」というマクロな側面と、「当事者の受け止め方」というミクロな側面から考察することを目指している。
2017年度は、日本については都市部の各種行政資料・小学校発行の文集・写真・港湾労働者の労働運動関係資料等の記録を収集した。そこから、船上生活者の児童のための学校・寄宿舎が建設される経緯やそこでの子どもたちの経験、陸上の家屋建設の流れ(関東大震災後の復興住宅、労働運動との関係、汽車住宅の設置等)を分析するための素地を作ることができた。特に名古屋市公文書館の文書からは、港区に水上児童寮(昭和17年)が設立されるまでには、行政担当者がすでに開設されていた東京都水上尋常小学校(昭和5年)や神戸市立水上児童寮(昭和12年)への査察やニューズレターや手紙のやりとりをくり返していた様子を垣間見ることができた。また、名古屋市港区で育った男性(60代、両親が船上生活経験者)へのインタビューからは、知多半島の内陸出身の父親にとって海運会社へ就職はいわば「憧れ」であったこと、操船技術をもたなくとも船を任されて荷の運搬を担っていたこと、母親と自身が陸上の家屋に住み始めた後も父親は一人で船と家屋を行き来しながら運搬をしていたことなどを知ることができた。さらに資料からは、都市部の船上生活者の居住問題は震災・戦災による混乱や土地価格高騰といった都市部特有の住宅難と密接に関わっていたことがわかった。今後も詳細な分析を進める必要がある。
中国では、船上生活者を学校へ向かわせる社会システムを分析するために、操船免許制度の導入がもたらした影響についてインタビューを試みた。導入当時(正確な年代は不詳)、一定以上の年齢に達していた船上生活者たちは「すでに操船技術を有している」という事実に基づき試験を免除されたこと、他の者が小型漁船の操船免許を獲得するためには小学校を会場にして1週間ほど実施される出張講座の受講とルールの理解度を測る選択式の試験が課されるようになったことなどが明らかになった。 

備考(Remarks)  

2016  南山大学パッヘ研究奨励金I-A-2  船上生活者の教育と福祉に関する文化人類学的研究:日本と中国の比較 
代表     

研究内容(Research Content)  本研究は、国家の理念や政治体制に大きな差異が認められる近代以降の日本と中国において、船上生活者の子どもたちをめぐり実施されてきた学校教育・社会福祉のあり方を比較検討し、それらが持つ意味を、「国家の意図」というマクロな側面と、「当事者の受け止め方」というミクロな側面から考察することを目指す。
 本研究では、「日本と中国において、船上生活者に対して実施された学校教育・社会福祉とは、何を意味してきたのか」という問いに重層的な答えを与えるために、以下の研究方法を採る。まず、行政資料や教科書、副読本といったテキストの分析を通して、1)国家の描く「国民像」と教育制度の近現代史、2)船上生活者を学校へ向かわせる力を解明する。また、教育や福祉の現場に関わってきた元・教員や用務員、保育士といった人々の回想録やインタビューを通して、3)学校や宿舎における教育・福祉実践の実態を描き出す。さらには、4)都市と漁村の船上生活者の元でのインタビューや参与観察を通して、教育・福祉実践を受け止める船上生活者自身の受容・拒絶・無関心といった態度について明らかにする。
 

備考(Remarks)  

2016  科学研究費補助金  船上生活者の教育と福祉に関する文化人類学的研究:日本・中国の都市部と村落部の比較 
代表  日本学術振興会   

研究内容(Research Content)  本研究は、国家の理念や政治体制に大きな差異が認められる日本と中国において、船上生活者の子どもたちをめぐり実施されてきた学校教育・社会福祉のあり方を比較検討し、それらの意味を「国家の意図」と「当事者の受け止め方」という両面から考察することを目的とする。近代以降、どの国でも学校教育とは「国民」を作り上げる営為と共にあり、それは「正しい国民像」から逸脱した者の「排除」ないし「矯正」と表裏一体の関係にある。船上生活者とは中国でも日本でも、船に住まうがゆえに学校教育へ接近できぬ存在であり、彼らにとっては義務教育制度の施行と受容自体が、自らの生活習慣を否定する意味を持っていた。
 本研究では、1)国家の描く「国民像」と教育制度の歴史、2)船上生活者を学校へ向かわせる力、3)学校や宿舎における教育・福祉の実践、4)それらを受け止める船上生活者自身の態度に注目する。 

備考(Remarks) 2016~2019年度の助成 

2015  南山大学パッヘ研究奨励金I-A-2  土地と住居空間をめぐる人類学的研究―東アジアの水辺生活者の視点から 
代表    400,000 

研究内容(Research Content) 本研究の目的は、日本・台湾・中国の各地で船上や水辺に暮らす「水辺生活者」の日常生活に焦点を当て、土地・家屋が持つ意味とは何なのかを問うことにある。陸上の世界に対する彼らの執着・拒絶・無関心といった態度を、各地のマクロな社会的コンテクストに位置づけ考察することで、マジョリティ(=陸上定住者)のものとして各地域社会に広がる、土地・家屋が有する文化的意味といったものを、水辺の側から逆照射し、地域ごとの特徴を比較検討することが可能となる。 

備考(Remarks)  

2013  大学院生等に対する研究活動助成  「中国福建省南部における水上居民の「陸地定住」をめぐる人類学的研究―「漂泊」/「定住」の狭間を生きる連家船漁民の事例から」 
代表  公益信託澁澤民族学振興基金   

研究内容(Research Content) 1949年以降、中国で進められた陸上定住政策により土地と住居を得た水上居民たちにとって、「陸地定住」が意味するものとは何かを問う。福建省南部九龍江河口において、長く陸地に土地を所有せず、船で暮らしてきた「連家船漁民」と呼ばれる人々は、1960年代、集団化の中で農村の耕作地を譲り受けて集合住宅を建設し、そこは漁村という生活・生産の拠点として機能し始めた。しかし、現実に眼を向ければ、内海や外海へ漁に出る人々が依然として漁村全体の77%を占め、彼らの大半は夫婦や家族で3ヶ月から半年ほどの間、出先の港に漁船を泊め、その船で寝泊まりして過ごす。休漁期に漁村へ戻っても、食事を家で摂るのみで、昼は船で網を修繕し、夜は甲板の下部で寝泊まりをする人も多い。彼らにとって、住居の獲得は移動生活の終焉と定住生活の開始を意味してきたといえるだろうか。かつて、土地や住居を持たぬことから差別の眼差しに曝されたという連家船漁民たちの話からわかるように、(研究者を含めた)周囲の人々にとって、水上や船上の世界は貧しく、悲惨なものとして陸上世界とは真逆の意味を付加されがちである。しかし、この調査から窺えるのは、水/陸という世界の間に、さほど明瞭な境界を設けずに、その間をいとも簡単に乗り越えながら、両世界に跨った生活を営もうとする連家船漁民の態度である。 

備考(Remarks) 単独での助成 

2013  2013年度研究助成  「水上生活者の子どものために設置された児童福祉施設の研究―『住むための船』から『学ぶための寮』へ移った子どもたちの視点から」 
非代表(共同研究者)  一般財団法人 住総研   

研究内容(Research Content) 本研究では日本と中国をフィールドとし、「住むための船」で生活する子どものために設置された住居兼教育機関について、民俗学、建築史学、文化人類学的な方法によってあきらかにすることを目的とする。
 

備考(Remarks) 研究主査:厚香苗、共同研究者:藤原美樹、藤川美代子 

2013  科学研究費補助金  「琉球列島と台湾における台風災害と復興過程に表れる人のつながりに関する比較研究」 
非代表(研究協力者)  日本学術振興会   

研究内容(Research Content) 台風常襲地域である沖縄・奄美・台湾における台風被害の歴史的実態を明らかにし、それぞれの地域社会が台風にどのように対応し、台風被害からどのように復興を図ってきたかを明らかにすることを目的とする。そこから、個々の地域において自然環境と人との相互作用が生み出してきた災害に対応するための社会的・文化的構造を解明することを目指す。 

備考(Remarks) 研究代表者:玉城毅、研究分担者:西村一之、研究協力者:山田浩世、藤川美代子 

2011  2011年度奨励研究  現代中国の社会変化期における水上居民の暮らし 
代表  神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター   

研究内容(Research Content) 共産党政権下に入る時期の前後から現在までの中国社会において、福建省南部の水上居民たちの具体的な暮らしぶりがどのように変化してきたのか、「連家船漁民」と呼ばれる人々の語りを積み重ねながら理解することを目的とする。具体的には、投網・延縄・流動定置網・運搬といった作業タイプの異なる人たちがこれまでにたどってきた道のりについて、国共内戦での解放軍参加、学校への入学や共産党入党、集団労働への参加、改革開放後の生業選択といったいわば公的な生活の面と、親との関係、婚姻、子育てといった私的な生活の面という両面に注目しながら把握する。彼らの生活はもちろん国家レベルの政策や社会変化という大きなうねりと無縁ではありえない。マクロとミクロの視点を合わせて、決して一枚岩ではない連家船漁民の人々の過去と現在を捉えることを目指す。 

備考(Remarks) 単独での助成 

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著書・学術論文に関する統計情報
年度
Academic Year
学術研究著書の件数
No. of Academic Books
学会誌・国際会議議事録等に掲載された学術論文の件数
No. of Academic Articles in Journals/Int'l Conference Papers
学内的な紀要等に掲載された学術論文の件数
No. of Academic Articles Pub'd in University Bulletins
学会受賞等の受賞件数
No. of Academic Awards Received
国際学会でのゲストスピーカーの件数
No. of Times as Guest Speaker at Int'l Academic Conferences
国際学会での研究発表の件数
No. of Presentations of Papers at Int'l Academic Conferences
国内学会でのゲストスピーカーの件数
No. of Times as Guest Speaker at National Academic Conf.
国内学会での研究発表の件数
No. of Papers Presented at National Academic Conf.
2017 
2016 
2015 
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2018/07/05 更新