2024/11/26 更新

写真b

カワイ マサオ
河合 正雄
KAWAI Masao
所属
法学部 法律学科 准教授
職名
准教授
主な研究課題
長期研究:受刑者の権利
専攻分野
憲法

学位

  • 修士(法学) ( 2007年3月   早稲田大学 )

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    修士

研究分野

  • 人文・社会 / 公法学

学歴

  • 早稲田大学   法学研究科   公法学専攻

    - 2013年3月

  • 早稲田大学   法学研究科   公法学専攻

    - 2007年3月

  • 早稲田大学   法学部

    - 2005年3月

所属学協会

  • 2015年11月-現在に至る 国際人権法学会編集委員

  • 2013年4月-現在に至る 青森法学会

  • 2012年12月-現在に至る 日本公法学会

  • 2010年5月-2012年5月 憲法理論研究会事務局員

  • 2008年10月-現在に至る 全国憲法研究会

  • 2007年11月-2009年11月 国際人権法学会事務局員

  • 2007年11月-現在に至る 国際人権法学会

  • 2007年5月-現在に至る 憲法理論研究会

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委員歴

  • 2015年11月-現在に至る 国際人権法学会編集委員  

  • 2013年4月-現在に至る 青森法学会  

  • 2012年12月-現在に至る 日本公法学会  

  • 2010年5月-2012年5月 憲法理論研究会事務局員  

  • 2008年10月-現在に至る 全国憲法研究会  

  • 2007年11月-2009年11月 国際人権法学会事務局員  

  • 2007年11月-現在に至る 国際人権法学会  

  • 2007年5月-現在に至る 憲法理論研究会  

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論文

  • 受刑者の仮釈放をめぐるヨーロッパ人権条約5条の射程とコモン・ロー

    南山法学   46巻3・4号   103 - 139   2023年9月

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    受刑者が仮釈放やその取消しをめぐって争った2005年から2014年の貴族院・最高裁判決と、実務上仮釈放が認められる前提となる社会復帰のためのプログラム提供の遅延のヨーロッパ人権条約5条(人身の自由)適合性が争われた2009年から2017 年の貴族院・最高裁とヨーロッパ人権裁判所間の「司法対話(judicial dialogue)」に着目し、条約5条の保護範囲の拡張によって救済する可能性と、コモン・ロー上の手続上の公正さに着目して救済する可能性とその限界について検討した。

  • ヨーロッパ人権条約3条にてらした刑事施設内の処遇環境

    人文社会科学論叢   6号   259 - 276.   2019年2月

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    出版者・発行元:弘前大学人文社会科学部  

    国際人権機関がある程度類型的な基準を示すことは、各国に対して刑事施設内の生活環境の改善を促す上で意義がある。共同室の被収容者1人あたりの床面積、衛生環境、昼夜間独居拘禁、裸体検査及び常時監視のヨーロッパ人権条約3条適合性が論点となった事件における判例法理の展開について、2006年ヨーロッパ刑事施設規則やヨーロッパ拷問等防止委員会が示す諸基準等も参照し、刑事施設被収容者に対する処遇の過酷さが非人道的な取扱い等を禁じたヨーロッパ人権条約3条に抵触する可能性を検討・分析した。

  • 受刑者の外部交通権の憲法的意義―面会規定を中心に

    NEWS LETTER   47号   15 - 24.   2015年8月

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    出版者・発行元:雇用構築学研究所  

    受刑者が自費で人工授精をする自由を事実上禁止したイギリスの行刑実務が、私生活と家族生活の尊重を保障したヨーロッパ人権条約8条に違反するとした2007年12月のヨーロッパ人権裁判所の判決を検討した。その上で、受刑者の収容目的である拘禁の確保、規律秩序の維持及び社会復帰からすると、受刑者の生殖の自由や性交渉の制約は、必ずしも自明視できないことを論じた。

  • 受刑者と生殖の自由―ヨーロッパ人権裁判所判例を題材として―

    青森法政論叢   16号   18 - 28.   2015年8月

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    出版者・発行元:青森法学会  

    支援者との面会不許可処分に対して提訴した元受刑者側の訴訟代理人の依頼により、控訴審(東京高判2014年12月10日判例集未登載)に提出した意見書を加筆修正した。自由刑の目的と社会復帰処遇の観点から見た外部交通の意義、受刑者の外部交通権の憲法上の根拠及び刑事収容施設法の趣旨を説明し、受刑者の面会を制約する日本の実務運用を批判的に論じた。

  • 受刑者の選挙権保障―2000年代のイギリスの動向を題材として―

    早稲田法学会誌   62巻2号   45 - 79.   2012年3月

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    出版者・発行元:早稲田大学法学会  

    2005年10月にヨーロッパ人権裁判所が、受刑者の選挙権を一律に排斥するイギリス法がヨーロッパ人権条約に違反するとの判決を下したことで、イギリス政府は国内法改正の義務を負った。しかし、受刑者への選挙権付与に異議を唱える国会や国民感情によって、現在も法改正が実現していない。本稿は、ヨーロッパ人権裁判所判決や同判決に対する政府の応答過程、これに対する国内外の公的諸機関の反応を考察し、普通選挙の原理や受刑者の社会復帰の観点から受刑者の選挙権保障へ向けた視座を提示した。

  • 無期刑受刑者の人身の自由―イギリスの無期刑受刑者の拘禁期間をめぐる司法判断を題材として―

    早稲田法学会誌   61巻1号   141 - 189.   2010年10月

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    出版者・発行元:早稲田大学法学会  

    1990年代以降、ヨーロッパ人権裁判所は主として人身の自由や適正手続を保障する観点から、無期刑受刑者の拘禁期間の長期化に一定の歯止めをかける判断を下しており、イギリスの国内裁判所に影響を与えている。本稿は、主に1980年代以降のイギリスとヨーロッパ人権裁判所の判例の展開を考察した上で、日本の無期刑受刑者の仮釈放手続の積極化に向けた示唆を提示した。

  • イギリスの刑事施設における懲罰手続をめぐる判例の展開

    早稲田大学大学院法研論集   130号   77 - 102.   2009年6月

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    出版者・発行元:早稲田大学大学院法学研究科  

    懲罰は、受刑者を統制・管理する最も強力な手段であるが、施設側によって恣意的に運用されるおそれがつきまとうため、公正な手続の確保が求められる。イギリスでは、1978年に国内裁判所が懲罰手続に対する司法審査の可能性を認めて以降、一定の適正手続の下で懲罰審理がなされるようになった。本稿は、公正な懲罰手続の実現に向けて一定の進展が見られた1970年代末以降のイギリスの司法判断について、ヨーロッパ人権裁判所の判断を交えつつ考察した。

  • イギリスにおける受刑者の外部交通権に関する判例の展開(1)・(2・完)

    早稲田大学大学院法研論集   125号、126号   85 - 107, 31-52   2008年

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    出版者・発行元:早稲田大学大学院法学研究科  

    1975年にヨーロッパ人権裁判所が、受刑者と弁護士との接触を大幅に制約する実務をヨーロッパ人権条約違反と判断したことを契機として、イギリスの国内裁判所には、イギリス憲法上重視される司法にアクセスする権利を制約する実務を違法とする判決が現れはじめ、イギリス法は大きな発展をみせた。本稿は1970年代から2000年代半ばにかけてのイギリスとヨーロッパ人権裁判所の判例を検討し、イギリスの国内裁判所が漸進的に外部交通保障を拡充した経緯を考察した。

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書籍等出版物

  • 『イギリス保守党政権下の公法訴訟制度改革』 所収「1998年人権法2条―人権法独立審査委員会報告書と2022年権利章典法案の検討を中心に」

    ( 担当: 共著)

    日本評論社  2024年8月 

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    総ページ数:pp. 91-108.  

    イギリスの保守党政権が推進する1998年人権法の改正について、ヨーロッパ人権裁判所判決等を考慮した上で判決を下す義務を国内裁判所に課した同法2条に焦点をあてて、2021年12月の人権法独立審査委員会(Independent Human Rights Act Review)報告書と2022年権利章典法案(Bill of Rights Bill 2022)の内容を中心に検討した。

  • 『新国際人権法講座第5巻 国内的メカニズム/関連メカニズム』所収「1998年人権法下のイギリスにおけるヨーロッパ人権裁判所判例法理の受容と反発」

    ( 担当: 共著)

    信山社  2023年11月 

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    総ページ数:pp. 125-143.  

    国会主権原理とイギリス1998年人権法の概要を確認した上で、イギリス国内でヨーロッパ人権裁判所に対する反発を高めた主要判例と、ヨーロッパ人権裁判所が国内裁判所との「司法対話(judicial dialogue)」によって権利保障水準を後退させたと評価しうる代表的な現象を紹介し、実効的な人権保障に寄与しうる国際人権法規範のあり方を検討した。

  • 『戸波江二先生古稀記念 憲法学の創造的展開 下巻』所収 第10章「絶対的無期刑は非人道的な刑罰か―ヨーロッパ人権条約3条の視点から」

    ( 担当: 共著)

    信山社  2017年12月 

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    総ページ数:pp. 223-240.  

    仮釈放の可能性を認めない絶対的無期刑と、拷問や非人道的な刑罰等を絶対的に禁じたヨーロッパ人権条約3条の整合性に関するヨーロッパ人権裁判所判例法理の展開を検討した。その際、ストラスブールの人権保障に積極的な判断に抵抗感を示すイギリス国内裁判所とヨーロッパ人権裁判所の「対話」の結果、権利保障が後退したと解釈し得る点や、自由刑の目的である社会復帰処遇や公衆保護の観点などから考察を加えた。

  • 『子どもの法定年齢の比較法研究』所収 第2章第1節「イギリス公法における年齢―選挙権年齢をめぐる動向を中心に―」

    ( 担当: 共著)

    成文堂  2017年2月 

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    総ページ数:pp. 77-93.  

    イギリスの選挙権年齢と被選挙権年齢の引き下げをめぐる歴史的経緯を確認した上で、16歳選挙権の導入をめぐる動向を全国レベルと地方レベルの双方から、イングランドのシティズンシップ教育の概要も含めて検討した。補足的に、酒類、タバコ及びギャンブルに関する制限年齢も紹介した。その上で、選挙権年齢と他の年齢制限との関係や、学校教育のあり方について考察した。

  • 『憲法の「現代化」―ウェストミンスター型憲法の変動―』所収 第10章「受刑者の選挙権から見たヨーロッパ人権裁判所とイギリス」

    ( 担当: 共著)

    敬文堂  2016年2月 

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    総ページ数:pp. 375-389.  

    2005年以来続いている受刑者の選挙権を一律に剥奪するイギリス法の改正を求めるヨーロッパ人権裁判所と、これに強く抵抗するイギリスとの膠着状態を鳥瞰した。その上で、一部の受刑者に対する選挙権付与を求めているにすぎないヨーロッパ人権裁判所の判例法理を冷静に認識した2013年10月のイギリスの最高裁判所判決に着目し、両者の対話可能性を探った。

  • 『憲法理論叢書㉑ 変動する社会と憲法』所収 第5部「受刑者の権利保障―国際人権の可能性」

    ( 担当: 共著)

    敬文堂  2013年10月 

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    総ページ数:pp. 197-208.  

    受刑者の権利・自由をできる限り尊重すべきであるとの見地から、ヨーロッパ人権裁判所や同裁判所の影響をうけた国内裁判所によって、受刑者の権利保障を拡充したイギリスの諸事例を紹介した。その上で、ヨーロッパ人権裁判所による権利救済の限界や、同裁判所が積極的な人権救済を行うことで、締約国の反発を招く可能性があることなど、人権問題に対する国際人権機関の関与のあり方について考察した。

  • 『比較から読み解く日本国憲法』所収「比較3皇室の今―イギリスとの比較」、「4-2選挙権と選挙制度」 、「比較6-4違憲審査制―イギリスとの比較」 、「8-1思想・良心の自由」 、「8-4学問の自由」 、「比較11ヘイト・スピーチ―ヨーロッパ人権条約との比較」、 「第9章経済的自由権」、「11-2教育に関する権利」、「11-3労働に関する権利」

    ( 担当: 共著)

    法律文化社  2022年4月 

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    総ページ数:概要に記載  

    学部生を対象とした教科書である。32-37・42-44・85-89・123-125・137-139・152-157・165-167・178-182頁。 「比較」が付いていない6項目は、初学者を対象として、憲法学習に必要な基本概念や重要判例、通説的見解を2頁程度で簡潔に記述した。「比較」が付いている3項目は、比較法的な視点から担当者の問題意識をより積極的に打ち出し、「比較3」と「比較6-4」はイギリスを、「比較11」はヨーロッパ評議会を素材とし、4頁から6頁程度で執筆した。

  • 『弘前大学レクチャーコレクション 学びの世界へようこそ』所収 第3章1.「表現の自由とヘイトスピーチ」

    ( 担当: 共著)

    弘前大学出版会  2020年3月 

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    総ページ数:pp. 114-119.  

    弘前大学に在籍する学部1年生を対象とした教科書である。 まず、表現の自由が重要である理由を人格の発展、真理の探究及び政治参加の3点から説明した上で、ヘイトスピーチ規制賛成論と慎重論それぞれの根拠について紹介した。次に、2016年ヘイトスピーチ規制法の性質と、同法や人種差別撤廃条約を論拠の1つにあげて被害者を救済した複数の国内裁判所の裁判例を示し、ヘイトスピーチ規制のあり方について考察した。

  • Prisoners’ Rights in Japan and the Reference to International Human Rights Law

    ( 担当: 単著)

    弘前大学人文社会科学部 人文社会科学論叢  2018年8月 

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    担当ページ:pp. 265-274.   著書種別:調査報告書

    本稿は、2017年9月2日にキャンパスプラザ京都(京都府京都市)で行った報告を基礎としている。イギリスがストラスブールの諸判決や勧告を事実上無視し続け(受刑者の選挙権)、ヨーロッパ人権裁判所自身が国内裁判所との「対話」によって受刑者の権利保障水準を事実上後退させた事例(仮釈放の可能性のない無期刑)が示すように、イギリスにおいても国際人権法が求める権利保障水準の国内実施が困難化している現象が見られるものの、近年の一部の日本の最高裁判決・決定が示すように、国際人権法規範の参照は、刑事施設被収容者の権利保障にとって有力な論拠の1つとなることを論じた。

  • 『現代日本の憲法(第2版)』所収 第2篇第Ⅴ部第35章「公正な裁判と人身の自由」、第2篇第Ⅴ部第36章「請求権・国家賠償請求権」

    ( 担当: 共著)

    法律文化社  2016年4月 

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    総ページ数:pp. 350-366.  

    ① 第2篇第Ⅴ部第35章350-362頁。裁判を受ける権利(憲法32条)に関して、憲法で保障することの意義や法律扶助制度について簡潔に説明した。また、人身の自由に関して、適正手続(憲法31条)の重要性を強調する立場から、令状主義、弁護人依頼権、不利益供述の禁止などの主要な論点を説明した。 ② 第2篇第Ⅴ部第36章363-366頁。請願権(憲法16条)が現在でも一定の意義を有していることを述べた上で、権利行使の方法を説明した。また、国家賠償請求権(憲法17条)の性質について述べた上で、立証の難しさや国会の立法不作為に関して論じた。

  • 『教職課程のための憲法入門』所収 第9章「もし警察に捕まってしまったら―刑事事件で保障される権利」

    ( 担当: 共著)

    弘文堂  2016年2月 

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    総ページ数:pp. 119-133.  

    第9章119-133頁。本書は、法学部以外の教職課程を履修する学部生などの初学者を対象としている。本章は、適正手続(憲法31条)や令状主義(憲法33・35条)、弁護人依頼権(憲法37条3項・34条)などの日本国憲法が保障する刑事手続上の権利、裁判員裁判のしくみ、受刑者の社会復帰及び少年に対する保護処分の概要を、可能な限り平易な文面で執筆した。

  • 『憲法のいま―日本・イギリス―』所収 第Ⅱ部第4章「思想・良心の自由、信教の自由、学問の自由」、第Ⅱ部第7章「身体的自由権」

    ( 担当: 共著)

    敬文堂  2015年9月 

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    総ページ数:pp. 106-116, 148-153.  

    ① 第Ⅱ部第4章106-116頁。思想・良心の自由に関する主要判例(憲法19条)、信教の自由や政教分離訴訟における違憲審査基準のあり方や信教の自由と政教分離原則の関係(憲法20条)、先端科学研究への規制可能性など(憲法23条)を簡潔に説明した。 ② 第Ⅱ部第7章148-153頁。 刑事手続に関して、適正手続(憲法31条)、被疑者の権利(憲法33-35条)、被告人の権利(憲法37・38条)、絶対的禁止事項(憲法18・36条)及び再審の仕組みを簡潔に説明した。

  • 『人権Q&Aシリーズ2 ケアと人権』所収 第10章「受刑者の社会復帰」

    ( 担当: 編集)

    成文堂  2013年10月 

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    総ページ数:pp. 97-102.  

    第10章97-102頁。日本の刑事施設や受刑者をとりまく状況について、著書全体のテーマである「ケア」を念頭において、受刑者処遇の主要目的の1つである社会復帰の観点から論じた。第1に、刑事施設内における改善指導と知的障がいのある受刑者の存在を指摘した。第2に、出所後について、更生保護施設、周囲からの理解及び資格制限の3点に着目して、課題点を指摘した。

  • Prisoners’ Voting Rights: Prisoners as Peers

    ( 担当: 単著)

     若手研究者養成プロジェクト[海外ワークショップ報告集]2011年度  2012年8月 

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    担当ページ:pp. 47-54.   著書種別:調査報告書

    本稿は、2012年2月28日にイングランドのWarwick大学で行った報告を基礎としている。2005年以降、ヨーロッパ人権裁判所の判決によって、一定の受刑者に選挙権を付与するための国内法改正が求められているものの、未だに実現していないイギリスの動向と、受刑者の選挙権保障が実現しない日本の状況を比較した。

  • 『人権Q&Aシリーズ1 学校と人権』所収 第1章3(6)「教育法の体系」、第10章「教育の自由、日の丸・君が代」

    ( 担当: 共著)

    成文堂  2011年11月 

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    総ページ数:pp. 17-18, 107-119.  

    ① 第1章3(6)17-18頁。 教育法の体系が成文法と不文法から構成され、前者は、日本国憲法・教育条約・教育基本法、教育法律及び教育行政立法から、後者は、教育慣習法、教育判例法及び教育条理から構成されることを簡潔に説明した。 ② 第10章107-119頁。初等・中等教育に携わる教職員の立場から、教育を受ける権利の性質、公的機関の教育条件整備義務、ならびに教育内容の決定権の所在及び教師の教育の自由などの論点を、憲法学や教育法学の見地から概説し、近年論点となっている事柄について指摘した。

  • Circumstances on Criminal Policies in Recent Years in Japan

    ( 担当: 単著)

    早稲田大学大学院法学研究科 研究者教員の養成はどうあるべきか 早稲田大学大学院法学研究科 組織的な大学院教育改革推進プログラム活動報告集2009  2010年3月 

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    担当ページ:pp. 391-398.   著書種別:調査報告書

    本稿は、2010年3月16日にイングランドのWarwick大学で行った報告を基礎としている。イギリスでは、日本と同様に厳罰化政策が進行して久しいものの、裁判所がヨーロッパ人権条約上求められる適正手続を保障する観点から、厳罰化に一定の歯止めをかけている。憲法学の観点からみた近年の日本における刑事立法と刑事政策の動向について、「厳罰化」を切り口として、イギリスと日本の状況を比較した。

  • 林國姫「アジアの地域的人権保障機構の設立に向けて」

    ( 担当: 単著)

    国際人権法学会 国際人権  2016年10月 

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    担当ページ:pp. 3-5.  

    林國姫大韓民国憲法裁判所国際協力課事務官が、2015年11月20・21日に大阪産業大学で開催された国際人権法学会第27回大会で行った特別講演‘Challenges and Opportunities of Establishing an Implementation Mechanism in Asia’の翻訳である。韓国の憲法裁判所の概要と国際人権保障に向けた取り組みを紹介した上で、アジアの地域的人権保障機構の設立に向けた展望を示した。

  • ディアナ・メッシ「ハンガリー憲法裁判所の制度と作用」

    ( 担当: 単著)

    早稲田大学比較法研究所 比較法学  2012年12月 

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    担当ページ:pp. 181-189.  

    Diána Mecsiハンガリー憲法裁判所長官秘書室長が、2010年11月25日に早稲田大学で行った講演をもとにした原稿‘Institutions and Functioning of the Hungarian Constitutional Court’の翻訳である。1990年に誕生したハンガリー憲法裁判所の機構、同裁判所がこの20年間有していた違憲審査権限の概要及び2010年の政権交代後の憲法改正による違憲審査権限の制約について論じた。

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MISC

  • 刑事弁護人の公判不出廷:裁判所侮辱による制裁金と刑事手続上の権利の援用可能性―ヨウンソン判決

    人権判例報   8号   pp 89 - 96. (8 p.)   2024年6月

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    出版者・発行元:信山社  

    刑事弁護人である申立人が、訴訟指揮を不服とした公判への不出廷を理由として科せられた高額の制裁金について、ヨーロッパ人権条約6条(公正な裁判を受ける権利)違反等の申立を不受理とした2020年12月22日のGestur Jónsson and Ragnar Halldór Hall v Iceland事件大法廷決定の判例評釈である。アイスランド法上の「裁判所侮辱」の位置づけや、大法廷が本件制裁金は条約6条上の「刑事上の罪(criminal charge)」の決定に該当しないとした判断等について検討した。

  • 令和3年衆議院議員選挙と「一票の較差」

    ジュリスト5月臨時増刊 令和5年度重要判例解説   10 - 11.   2024年5月

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    出版者・発行元:有斐閣  

    2021年10月の総選挙における投票価値の較差をめぐる2023年1月25日の最高裁大法廷判決(民集77巻1号1頁)の判例評釈である。2016年に改正された衆議院議員選挙区画定審議会設置法に基づく選挙区割り、衆議院の投票価値の較差の合憲性に関する最高裁の判断枠組み、許容される最大較差のあり方およびアダムズ方式の問題点について検討した。

  • 刑事施設の処遇環境 実効的救済、過剰収容、昼夜間独居拘禁、家族生活の尊重―ウレメク判決

    人権判例報   3号   69 - 76.   2021年12月

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    出版者・発行元:信山社  

    クロアチアの刑事施設に服役していた受刑者が処遇環境の劣悪さ等を理由としてヨーロッパ人権裁判所に提訴し、ヨーロッパ人権条約3条(拷問等の禁止)違反が認定された、2019年10月31日のUlemek v Croatia事件小法廷判決の判例評釈である。本判決は、施設内の処遇環境に対する実効的救済(ヨーロッパ人権条約13条)の具体的な手法である処遇環境の改善と賠償の相互関係等について整理している点で、注目された判決である。

  • 36 絶対的無期刑と条約3条 仮釈放の可能性のない無期刑は条約3条に反する―ヴィンター判決―

    ヨーロッパ人権裁判所の判例Ⅱ   215 - 219.   2019年3月

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    出版者・発行元:信山社  

    仮釈放の可能性のない無期刑が、拷問や非人道的な刑罰等を禁じたヨーロッパ人権条約3条に抵触するとしたヨーロッパ人権裁判所の2013年7月9日のVinter and others v UK事件大法廷判決について、受刑中の社会復帰処遇の進展可能性や人間の尊厳の観点を同条約3条に読み込んだ意義に加え、2017年1月17日のHutchinson v UK事件大法廷判決による事実上の保障水準の後退などについて評釈・検討した。

  • 18 受刑者の懲罰手続の公正 受刑者の懲罰手続と公正な審理を受ける権利―エゼおよびコナーズ判決―

    ヨーロッパ人権裁判所の判例Ⅱ   127 - 130.   2019年3月

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    出版者・発行元:信山社  

    ヨーロッパ人権裁判所の2003年10月9日のEzeh and Connors v UK事件大法廷判決について、拘禁期間の延長を伴うイギリスの懲罰は刑罰に相当するとして、公正な裁判を受ける権利を保障したヨーロッパ人権条約6条上の適正手続保障が及ぶことや、懲罰権の行使という行刑運営の根幹に独立した法曹を関与させることの意義などについて評釈・検討した。

  • コメント:受刑者選挙権訴訟について―大阪高裁2013(2013)年9月27日判決―

    国際人権   25号   67 - 70.   2014年10月

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    出版者・発行元:国際人権法学会  

    2013年11月24日に国際人権法学会第25回大会で行った報告をまとめたものである。受刑者の選挙権を剥奪する公職選挙法11条1項2号を違憲とした2013年9月27日の大阪高裁判決(判時2234号29頁、確定)を題材として、受刑者の選挙権の全面的な剥奪がヨーロッパ人権条約上許容されないとしたヨーロッパ人権裁判所の判例法理の展開を論じつつ、日本の公職選挙法の改正の必要性を考察した。

  • イギリス1998年人権法改正をめぐる動向―2022年権利章典法案の概要

    人権判例報   5号   2022年12月

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    出版者・発行元:信山社  

    江島晶子明治大学教授との共著である。
    2022年6月にイギリスの保守党政権が1998年人権法(Human Rights Act 1998 (c.42)を大幅に改正する権利章典法案(Bill of Rights Bill)を議会に提出するに至った背景や経緯を説明し、人権法やヨーロッパ人権条約をめぐるイギリスの現状を紹介した。

  • 2008年ヒト受精及び胚研究に関する法律―ヒト胚等を用いた先端研究を中心に―

    慶応法学   29号   179 - 183.   2014年4月

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    出版者・発行元:慶応義塾大学法科大学院  

    先端医療研究の自由を広く承認する方向で法改正されたイギリスの2008年ヒト受精及び胚研究に関する法律(Human Fertilisation and Embryology Act 2008)を、簡潔に紹介した。その上で、人間の尊厳などの見地から、従来の憲法学が公権力によって制約を課すべきではないと論じてきた研究活動の自由(憲法23条)に対する制約可能性について、簡単な考察を試みた。

  • 情報機関による大量傍受と条約8条、10条上の権利―ビッグブラザーウォッチ判決

    人権判例報   3号   3 - 5.   2021年12月

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    出版者・発行元:信山社  

    テロ犯罪への対処等を理由としてイギリスの情報機関が行っていた通信データの大量傍受について、ヨーロッパ人権裁判所が部分的にヨーロッパ人権条約8・10条(私生活の尊重・表現の自由)違反を認定した、2021年5月25日のBig Brother Watch and Others v UK事件大法廷判決の速報である。速報であるため、記述は事案の概要と判旨にとどめ、評釈は行っていない。

  • 2020 判例回顧と展望 憲法

    法律時報臨時増刊   12 - 15.   2021年5月

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    出版者・発行元:日本評論社  

    3-19頁(内、12-15頁)
    2020年2月2日から2021年2月1日までに主要判例集と裁判所ホームページに掲載された主要な判決・決定のうち、経済的自由、人身の自由、裁判を受ける権利及び社会権が論点となる判決・決定を整理し紹介した。

  • 2019 判例回顧と展望 憲法

    法律時報臨時増刊   12 - 16   2020年5月

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    出版者・発行元:日本評論社  

    3-20頁(うち、12-16頁)
    2019年2月2日から2020年2月1日までに主要判例集と裁判所ホームページに掲載された主要な判決・決定のうち、経済的自由、人身の自由、裁判を受ける権利及び社会権が論点となる判決・決定を整理し紹介した。

  • 2018 判例回顧と展望 憲法

    法律時報臨時増刊   12 - 16.   2019年6月

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    出版者・発行元:日本評論社  

    3-19頁(内、12-16頁)
    2018年2月2日から2019年2月1日までに主要判例集と裁判所ホームページに掲載された主要な判決・決定のうち、経済的自由、人身の自由、裁判を受ける権利及び社会権が論点となる判決・決定を整理し紹介した。

  • 国際人権法主要国内判例書誌情報(1)

    国際人権   25号   149 - 155.   2014年10月

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    出版者・発行元:国際人権法学会  

    2007年11月から2009年10月までに言い渡された、国籍法違憲判決(最大判2008年6月4日民集62巻6号1367頁)や非嫡出子相続分規定合憲決定(最決2009年9月30日判時2064号61頁)などの、国際人権法に関連する主要な日本国内の裁判所の判決や決定の評釈等を収集し、整理した。

  • 日本における国際人権訴訟主要判例一覧(11)

    国際人権   24号   167 - 175.   2013年10月

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    出版者・発行元:国際人権法学会  

    2012年8月から翌年7月までにウェブサイトや公刊物に掲載された、死刑確定者接見訴訟(広島高判2012年1月27日判タ1374号137頁)や成年被後見人選挙権確認訴訟(東京地判2013年3月14日判時2178号3頁)をはじめとした、日本国内の裁判所が下した国際人権法上の論点が存在する判決や決定を収集し、整理した。

  • 日本における国際人権訴訟主要判例一覧(10)

    国際人権   23号   169 - 176.   2012年10月

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    出版者・発行元:国際人権法学会  

    2011年9月から翌年7月までにウェブサイトや公刊物に掲載された、国籍法違憲判決(最大判2008年6月4日民集62巻6号1367頁)や志布志事件(鹿児島地判2008年3月24日判時2008号3頁)をはじめとした、日本国内の裁判所が下した国際人権法上の論点が存在する判決や決定を収集し、整理した。

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講演・口頭発表等

  • Prisoners’ Rights in Japan and the Reference to International Human Rights Law

    第5回日英比較憲法セミナー  2017年9月  イギリス憲法研究会

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    2017年9月2日から3日にかけて、キャンパスプラザ京都(京都府京都市)にて開催された第5回日英比較憲法セミナー「Brexitとイギリス憲法」における、Keith Ewing教授( King’s College London)報告「BREXIT and the British Constitution- A Political not a Legal Problem」を受けた問題提起である。国際人権法の参照は、司法が受刑者の権利保障に親和的な判断を行う契機となりうるため、イギリス国内の反ヨーロッパ感情を考慮しても、国際人権法規範の参照強度を弱めるべきではないことを論じた。

  • 18歳選挙権と政治教育―イギリスのシティズンシップ教育の参照から

    青森法学会第18回総会・研究大会  2015年11月  青森法学会

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    2015年11月14日に、弘前学院大学(青森県弘前市)にて開催された青森法学会第18回総会・研究大会における報告である。日本の2015年の公職選挙法改正による18歳選挙権実現の経緯と政治教育の現状を確認した上で、イングランドのシティズンシップ教育の概要を紹介し、公教育におけるよりよい政治教育のあり方について検討した。

  • 「受刑者選挙権訴訟について」のコメント-ヨーロッパ人権裁判所の判例法理の視点から

    国際人権法学会第25回(2013年)大会  2013年11月  国際人権法学会

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    2013年11月23-24日に名古屋大学(愛知県名古屋市)にて開催された国際人権法学会第25回大会の、2日目午後「国際人権判例報告」セッションにおける報告である。大川一夫弁護士の「受刑者選挙権訴訟について(大阪地裁2013年2月6日判決・大阪高裁判決)」に対して、受刑者の選挙権制限に関するヨーロッパ人権裁判所の判例法理の展開を紹介した上で、コメントした。

  • 受刑者選挙権訴訟について―ヨーロッパ人権裁判所の判例法理の視点を中心に

    青森法学会第16回総会・研究大会  2013年11月  青森法学会

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    2013年11月10日に、青森県立保健大学(青森県青森市)にて開催された青森法学会第16回総会・研究大会における報告である。受刑者の選挙権を剥奪する公職選挙法11条1項2・3号や、同条項を違憲とした2013年9月27日の大阪高裁判決(判時2234号29頁、確定)について、受刑者の選挙権を一律に剥奪することは許容されないとするヨーロッパ人権裁判所の判例法理の視点を参照した上で検討した。

  • 受刑者の権利保障―近年のイギリスとヨーロッパ人権裁判所の判例動向を題材として

    憲法理論研究会2012年度夏季合宿研究会  2012年8月  憲法理論研究会

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    イギリスは、1970年代末以降、ヨーロッパ人権裁判所や同裁判所の影響をうけた国内裁判所が受刑者を救済する司法判断を行い、このことが、受刑者の権利・自由を拡充する方向で一定の法令・実務の変更をもたらした。2012年8月29-31日にメルパルク松山(愛媛県松山市)で開催された憲法理論研究会の夏季合宿研究会にて、これらの点を紹介した上で、ヨーロッパ人権裁判所がイギリスの受刑者の権利・自由の保障に与えた影響を評価しつつ、人権問題に対する国際人権機関の関与のあり方について考察した。

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 受刑者の社会復帰に資する憲法学解釈の刷新―国際人権法に基づく司法の関与の検討

    2018年

    日本学術振興会  科学研究費補助金 若手研究B 

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    担当区分:研究代表者  資金種別:競争的資金

    第1に、ヨーロッパ人権裁判所は、刑事施設内の処遇環境に関して、共同室の被収容者1人あたりの床面積の広さ、施設内の衛生環境、昼夜間独居拘禁・裸体検査・常時監視の継続期間等に着目して、拷問や非人道的な取扱い等を絶対的に禁じたヨーロッパ人権条約3条違反を認定している。ある程度類型的な基準を示した上で、施設内処遇について実体面から条約違反を認定する点は、刑事施設被収容者の権利保障を担保する上で大きな意義がある。そこで、刑事施設内の処遇環境の条約3条適合性が論点となった事件における判例法理の展開について、ヨーロッパ拷問等防止委員会が示す諸基準等も参照しつつ検討・分析した。
    第2に、イギリスが再三にわたるストラスブールの諸判決や勧告を事実上無視し続け(受刑者の選挙権)、ヨーロッパ人権裁判所自身が国内裁判所との「対話」によって受刑者の権利保障水準を事実上後退させた事例(仮釈放の可能性のない無期刑)が示すように、ヨーロッパにおいても国際人権法が求める権利保障水準の国内実施が困難化している現象が見られるものの、近年の一部の日本の最高裁判決・決定から示唆されるように、国際人権法規範の参照は、刑事施設被収容者の権利保障にとって有力な理論的根拠の1つとなることを論じた。
    第3に、拘禁期間の延長を伴う懲罰は刑罰に相当するとして、公正な裁判を受ける権利を保障したヨーロッパ人権条約6条上の適正手続保障が及ぶとした2003年10月のヨーロッパ人権裁判所大法廷判決と、仮釈放の可能性のない無期刑が同条約3条に抵触するとした2013年7月のヨーロッパ人権裁判所大法廷判決の意義について、日本の受刑者の権利論からみた意義も含めて検討した。

  • 受刑者の社会復帰に資する憲法学解釈の刷新―国際人権法に基づく司法の関与の検討

    2017年

    日本学術振興会  科学研究費補助金 若手研究B 

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    担当区分:研究代表者  資金種別:競争的資金

    第1に、ヨーロッパ人権裁判所は2013年に、人間の尊厳や社会復帰処遇の重要性から、ヨーロッパ人権条約3条は、仮釈放の可能性を認めない絶対的無期刑に対して、一定期間の服役後に仮釈放可能性を求めているとの判断を下した。イギリスの国内法規は、絶対的無期刑の仮釈放要件を死期の切迫等に限定しており、拘禁の継続が同条約3条上禁じられる非人道的又は品位を傷つける処遇に達した場合に、行刑実務が仮釈放を認めているかが定かではないとして、同条約違反を認定した。他方で、ヨーロッパ人権裁判所は2017年に、国内法規の解釈は一義的には国内裁判所が適しているとした。そして、当初の量刑を正当化できなくなる例外的事情がある場合には、国内法規の文言に関わらず絶対的無期刑受刑者の仮釈放可能性が認められるとした2014年のイギリス控訴院判決に従って、イギリスの絶対的無期刑の同条約違反を否定した。イギリスの国内法規が改正されていないにもかかわらず、ヨーロッパ人権裁判所がわずか数年でイギリスに対する条約違反判決を覆し、人権保障水準を事実上後退させたことは、厳罰化政策への支持に加えて反ヨーロッパ感情が渦巻くイギリス国内の状況を斟酌したことが推測される。この点を含む研究成果を、共著として刊行した。
    第2に、一般に、政治部門や世論の支持を得ることが容易ではない刑事施設内の処遇水準を改善するためには、司法府の一定の積極的な判断が重要な牽引力の1つとなる。近年の一部の最高裁判決・決定が示唆するように、受刑者の権利・自由に一定の判断の蓄積がある国際人権法を参照することは、司法府が受刑者の権利・自由により親和的な判断を行う契機となりうる。この点について、今後の関係が懸念されるイギリスとストラスブールの関係について、少なくとも受刑者訴訟の文脈からすると、現行の人権法の枠組を維持すべき意義がある点を検討し、英語で報告した。

  • 受刑者の社会復帰に資する憲法学解釈の刷新―国際人権法に基づく司法の関与の検討

    2016年

    日本学術振興会  科学研究費補助金 若手研究B 

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    担当区分:研究代表者  資金種別:競争的資金

    本研究の目的は、受刑者の円滑な社会復帰の前提となる刑事施設内の処遇環境に着目し、拷問や非人道的な取扱いなどを禁じたヨーロッパ人権条約3条を1つの着眼点に据えてヨーロッパ人権裁判所やイギリスの国内裁判所の判例展開を考察することで、日本における、受刑者の権利保障に資する判断枠組みのあり方を考察することにある。平成28年度は、「国際人権法の視点を採り入れた受刑者の実効的な権利保障に向けて」(河合正雄代表、若手研究(B)(平成26~27年度、研究課題番号:26780008))の研究成果をふまえつつ、次の検討を行った。
    ヨーロッパ人権裁判所は2008年に、仮釈放の可能性を認めない絶対的無期刑は、ヨーロッパ人権条約3条が禁ずる「非人道的な刑罰」に該当する可能性があることを認めた。同裁判所は2013年に、イギリスの絶対的無期刑が「非人道的な刑罰」に該当するとして、実際にヨーロッパ人権条約3条違反判決を下した。その後の同裁判所の判決でも、事後的に絶対的無期刑を見直す基準が不明瞭である場合や、最初の絶対的無期刑の見直しをする年限が服役開始から25年を大きく上回る場合にヨーロッパ人権条約3条違反を認定するなど一定の判断が下されており、判決法理の展開が見られたことを確認・検討した。
    昨今のヨーロッパ諸国で高まっている反EU感情のあおりを受け、ストラスブールと締約国との間でも一定の政治的緊張が生じる場面が出ており、受刑者の権利のような国民感情を刺激しかねない事案では、ヨーロッパ人権裁判所は積極的な条約違反認定に躊躇する場合がある事が推測される。しかしそれでも、絶対的無期刑は、国際人権法上許容されないというコンセンサスが形成されつつあることが示唆された。

  • 国際人権法の視点を採り入れた受刑者の実効的な権利保障に向けて

    2015年

    日本学術振興会  科学研究費補助金 若手研究B 

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    担当区分:研究代表者  資金種別:競争的資金

    平成27年度は、前年度の検討を継続して個別具体的な受刑者訴訟に焦点をあてつつ、受刑者の権利保障をめぐるヨーロッパ人権裁判所の判例動向の把握に努め、以下の検討を行った。
    第1に、人間にとって根源的な行為とも言える生殖の自由に着目し、受刑者の人工授精を厳しく制約したイギリスの行刑実務に対してヨーロッパ人権条約違反を認定した判決を題材とした論文を刊行した。判決は、受刑者が人工授精の利用を求める権利が条約上の射程に入ることを承認しており、少なくとも、受刑者の生殖の自由の拒絶が自明視できないことが見出された。
    第2に、十年来続く受刑者の選挙権を一律に剥奪する英国法の改正を求めるストラスブールと、これに強く抵抗するイギリスとの膠着状態について検討を進めた。その上で、一部の受刑者に対する選挙権付与を求めているにすぎないヨーロッパ人権裁判所の判例法理を確認した英国の最高裁判所判決に着目した論文を刊行した。
    第3に、刑事罰に相当すると判断される重い懲罰を科す際にはヨーロッパ人権条約上の刑事手続上の権利保障を要するとした判決を受け、これらの懲罰を科すにあたっては刑事施設から独立した法曹に審理させるなど、イギリスの行刑実務が手続適正化に向けて変容した点を検討した。
    第4に、日英に共通する厳罰化傾向を念頭におき、仮釈放の可能性を事実上認めないイギリスの絶対的無期刑に対して、国際人権諸法規の発展をふまえつつ、社会復帰処遇の重要性をヨーロッパ人権条約3条に読み込んだ判例を引き続き検討した。受刑者の円滑な社会復帰の実現に向けた司法機関の関与の可能性については、「受刑者の社会復帰に資する憲法解釈学の刷新―国際人権法に基づく司法の関与の検討」(河合正雄代表、若手研究(B)(研究課題番号:16K16981))における課題として検討を継続する。

  • 国際人権法の視点を採り入れた受刑者の実効的な権利保障に向けて

    2014年

    日本学術振興会  科学研究費補助金 若手研究B 

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    担当区分:研究代表者  資金種別:競争的資金

    本研究の目的は、受刑者の権利・自由に関するヨーロッパ人権裁判所とイギリスの国内裁判所の判例動向を探り、日本における、受刑者の権利保障により資する判断枠組みのあり方を考察することにある。平成26年度は、特定の権利・自由の制約に焦点をあて、ヨーロッパ人権裁判所とイギリスの国内裁判所の判例動向を検討した。具体的には、次の研究を行った。
    第1に、仮釈放の可能性を認めない絶対的無期刑はヨーロッパ人権条約3条に反するとした、ヨーロッパ人権裁判所の判例を検討した。ヨーロッパ人権裁判所は、国際人権諸法規も参照しつつ、刑が確定した時点では適切な量刑であったとしても、一般に自由刑の目的とされる「公衆の保護」や「社会復帰」の要素については、処遇効果等によって事後的に変化しうる点も根拠にあげており、社会復帰処遇の重要性を意識していることが見出された。
    第2に、収容期間の延長を伴う懲罰は刑事罰に相当するとして、刑事手続上の権利の保障を認めた判例を検討した。ヨーロッパにおいては、行刑運営の根幹である懲罰権の行使においても、刑事手続に準じた権利保障を及ばせる方向に向かっている事が示唆された。
    第3に、受刑者の選挙権を全面的に剥奪するイギリスに対して、選挙権を付与する法改正を繰り返し求めるヨーロッパ人権裁判所と、厳罰化政策やナショナリズム感情からこれに強く反発するイギリス国内の状況について検討した。ストラスブールと、イギリス国内の世論や政治部門の双方から一定の距離を保ちうるイギリスの国内裁判所の立ち位置が、問題解決の糸口となる可能性がある。

  • 受刑者の権利

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    主としてヨーロッパ人権裁判所やイギリスの動向を参照して、受刑者の権利・自由について研究している。

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社会貢献活動

  • 2019年4月-2021年3月 青森県弁護士会綱紀委員会委員

  • 2014年2月-2021年3月 青森県情報公開・個人情報保護審査会委員