研究者詳細

教職員基本情報
氏名
Name
大山 徹 ( オオヤマ トオル , OYAMA Toru )
所属
Organization
法学部法律学科
職名
Academic Title
教授
専攻分野
Area of specialization

刑法学、経済刑法学

学会活動
Academic societies

証拠金を用いた取引と詐欺罪(日本刑法学会第97回大会)

著書・学術論文数
No. of books/academic articles
総数 total number (30)
著書数 books (3)
学術論文数 articles (27)

出身学校
学校名
Univ.
卒業年月(日)
Date of Graduation
卒業区分
Graduation
   Classification2
岡山大学法学部 1995年03月  卒業 
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出身大学院
大学院名
Grad. School
修了課程
Courses
   Completed
修了年月(日)
Date of Completion
修了区分
Completion
   Classification
慶應義塾大学大学院法学政治学研究科法律学 博士前期課程  1998年03月  修了 
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取得学位
 
学位区分
Degree
   Classification
取得学位名
Degree name
学位論文名
Title of Thesis
学位授与機関
Organization
   Conferring the Degree
取得年月(日)
Date of Acquisition
修士 法学  自己名義のクレジット・カードの不正使用に関する考察  慶應義塾大学大学院  1998年03月31日 
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著書
年度
Year
著書名
Title of the books
著書形態
Form of Book
NeoCILIUS
   請求番号/資料ID
Request No
出版機関名 Publishing organization,判型 Book Size,頁数 No. of pp.,発行年月(日) Date
2022  刑法各論判例インデックス〔第2版〕  共著   
商事法務  , A4  , pp.156-159,pp.182-187  , 2023/03/15   

概要(Abstract) 本書は教科書や体系書を読み終えた後の中級者用の刑法の判例概説書である。読者として主に念頭に置かれているのは、法科大学院の学生や刑法各論を学び法曹を志している者である。本書は、短時間のうちに判例の全体を概観し、知識をより整理して体系化できるように編集された。私は「不法原因給付と詐欺罪の成否」「国家的法益に対する詐欺罪の成否」「他人名義のクレジットカードの不正使用」「自己名義のクレジットカードの不正使用」「執行文付与の申請による訴訟詐欺」の部分を担当した。 

備考(Remarks)  

2018  よくわかる刑法(第3版)  共著   
ミネルヴァ書房  , B4  , pp.24-25,pp.146-147etc.  , 2018/05/20   

概要(Abstract) 井田良教授・佐藤拓磨教授編による初学者向けの刑法の入門書である。クロス・リファレンスが徹底されている教科書である。私の担当部分は以下のとおりである。すなわち、「法人処罰」、pp. 24-25、「財産犯の体系」、pp. 146-147、「無意識の処分行為」、pp. 168-169、「クレジットカードの不正使用と詐欺罪」、pp. 172-173、「二重売買・譲渡担保と横領罪」、pp. 178-179、「不法原因給付と詐欺・横領の成否」、pp. 180-181、「偽造罪の全体構造」、pp. 204-205、「文書の意義」、pp. 206-207、「私文書における名義人の特定」、pp. 208-209である<全部で18頁>。 

備考(Remarks)  

2016  新・判例ハンドブック〔刑法各論〕  共著   
日本評論社  , A4  , pp.170-181  , 2016/09/20   

概要(Abstract) 重要判例の概要・判旨・解説を1ページでコンパクトに紹介し理論的な面にも言及している書籍である。同志社大学の十河教授、早稲田大学の高橋教授が編者である。私は「犯人による偽証教唆」「犯人の死亡と犯人隠避罪の成否」「逃走罪の既遂時期」等司法作用に対する罪を担当した。特に、「犯人による偽証教唆」の問題では苦心した。犯人自身が偽証をしても期待可能性が欠如するため不可罰だが、犯人が第三者をして偽証せしめれば一転して偽証教唆罪に問われる。この理由などを説得的に記述するのは困難であったが、自分なりの理由づけを打ち出すことができた。 

備考(Remarks)  

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学術論文
年度
Year
論文題目名
Title of the articles
共著区分
Collaboration
   Classification
NeoCILIUS
   請求番号/資料ID
Request No
掲載誌名 Journal name,出版機関名 Publishing organization,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.,発行年月(日) Date
2023  逮捕監禁致死傷罪・逮捕監禁罪と罪数  単著   
南山法学  , 南山大学法学部法学会  , 46巻3=4号  , pp.353-375  , 2023/07/31   

概要(Abstract) 逮捕監禁致死傷罪が予定する重い結果につき、刑の見地から傷害の故意がある場合を刑法221条が包含していることを論証した。また、逮捕監禁という方途を用いて当初から殺人を敢行しようと意図していた場合は、殺人罪のみが成立することも論証した。そして、逮捕監禁途中から傷害・殺人の故意を抱いていたパターンは刑法220条の罪と傷害罪・殺人罪が成立し両者は併合罪の関係に立つとの主張も展開した。次いで、逮捕監禁罪については、拐取罪と逮捕監禁罪とは原則として併合罪の関係に立つが、例外的に観念的競合の関係に立つ場合があることを明らかにした。また、強制性交等罪と逮捕監禁罪とは基本的には併合罪の関係に立つが、稀に観念的競合の関係に立つことを明らかにした。さらに、住居侵入罪と逮捕監禁罪とは牽連犯の関係に立つことを解明し、恐喝罪と逮捕監禁罪とは併合罪の関係に立つことを解明した。最後に、窃盗罪と逮捕監禁罪とは併合罪の関係に立つが、全体的アプローチは排斥されるべきで分析的アプローチが正解であることを浮き彫りにした。 

備考(Remarks) 2023年7月31日までに刊行される予定である。 

2021  再論 各種堕胎罪と罪数-刑訴法の議論をも踏まえて-  単著   
杏林社会科学研究  , 杏林大学社会科学学会  , 37巻3=4号(合併号)  , pp.19-56  , 2022/03/31   

概要(Abstract) 法定刑の機能・法条競合と理論上数罪といわれる観念的競合の違いを踏まえた上で、殺人の故意・傷害の故意があった場合の処理につき、同意堕胎致死傷罪・業務上堕胎致死傷罪・不同意堕胎致死傷罪の適用の在り方に変化が生ずるか分析した。軒並み観念的競合となるが、不同意堕胎致傷罪のケースだけ傷害の故意を最初から含んでいると結論づけた。他方、堕胎後、医師が出生後の胎児を放置した事案では、業務上堕胎罪と保護責任者遺棄致死罪の併合罪となると結論づけた(一事件一裁判の原則の帰結である)。 

備考(Remarks)  

2021  公開買付けに係るインサイダー取引規制に関する考察―東京地判平成二四年九月七日を素材に―  単著   
杏林社会科学研究  , 杏林大学社会科学学会  , 37巻3=4号(合併号)  , pp.1-17  , 2022/03/31   

概要(Abstract) インサイダー取引は二つの形態に分かれるといわれている。一つはプラスの情報を得て株式等を購入しインサイダー情報が公知の事実になった後に当該株式等を売却し差金を得る形態である。いま一つはマイナスの情報を得て持ち株を売り、
損失をできるだけミニマムに抑える形態である。本件は前者の形態であるが、本件では、株式の公開買付けが行われることを事前に察知した対象会社の社外取締役の夫が、対象会社の株式を事前に購入してインサイダー情報が公知の事実になった後に当該株式を売却した事案である。準内部者の範囲が過度に膨張している嫌いはあるが、本件における被告人は第一次情報受領者として位置づけられるため、金融商品取引法違反になり有罪になるのは当然の事案であったといえる。本稿では、平成25年の金商法の改正経緯を含め、立法の在り方などにも言及した。 

備考(Remarks)  

2020  各種堕胎罪と罪数  単著   
杏林社会科学研究  , 杏林大学社会科学学会  , 36巻4号  , pp.53-80  , 2021/03/31   

概要(Abstract) 現行刑法は、自己堕胎罪・同意堕胎罪・業務上堕胎罪・不同意堕胎罪・不同意堕胎未遂罪・同意堕胎致傷罪・業務上堕胎致傷罪・不同意堕胎致傷罪・同意堕胎致死罪・業務上堕胎致死罪・不同意堕胎致死罪といった11種類の堕胎罪を規定している。本稿では、これら各種堕胎罪のうちの結果的加重犯をめぐる罪数問題と共犯規定の適用との関係で各種堕胎罪に生じる罪数問題を中心に犯罪競合の問題を論じた。 

備考(Remarks)  

2020  独禁法犯罪をめぐる近時の議論―刑事実体法の議論を中心に―  単著   
刑事法ジャーナル  , 成文堂  , 65号  , pp17-27  , 2020/08/20   

概要(Abstract) 独禁法が制定されてから70年以上の月日が経過したが、独禁法上の犯罪については刑事法上の観点からも種々の分析が加えられてきた。不当な取引制限罪が必要的共犯か、同罪が状態犯か継続犯かに関しては議論があるが、筆者は必要的共犯説と継続犯説を支持した。刑法典上の談合罪と不当な取引制限罪との関係については、法条競合説と観念的競合説とが主張されているが、筆者は前者に与した。課徴金の二重併科については、課徴金は不法利益の剥奪であり、刑罰は制裁的性質を持つので、憲法39条に違反しないとの主張をも展開した。もっとも、私見については、近時課徴金が制裁的機能を持つようになっておりその部分で説明に窮するとの批判も展開されている。しかし、独禁法7条の7等の調整規定でアンバランスを是正すれば事たりるとの再批判を展開した。その他、本稿では、私的独占の罪や国際的協定罪や三罰規定についても解説を行った。 

備考(Remarks)  

2020  証拠金を用いた取引と詐欺罪  単著   
刑法雑誌  , 日本刑法学会(有斐閣)  , 59巻2号  , pp.258-275  , 2020/07/30   

概要(Abstract) 1980代より今日まで商品先物取引や外国為替証拠金取引、そして排出権取引といった「証拠金を用いた取引」が跋扈し、数多くの消費者トラブルを生んできた。かかる取引を当業者や証券会社の幹部が行う場合には問題はないが、取引に疎い高齢者等が関わるとなると、刑事法上大いに問題がある。本稿は刑法学会第97回(一橋大学で開催)で報告した内容を活字化したものである。商品先物取引等の仕組みを黙秘して当該取引に誘引して金員を取得する場合や最決平成4年2月18日の事案である客殺し商法の種々の手段が駆使されたケースは詐欺罪として捕捉可能だとの結論を導いた。ドイツでは被害の未然防止という見地から、取引所法で未経験に乗じて人を証拠金取引をはじめとする取引所投機取引に誘引することを禁止し(同法26条1項)、罰則として3年の自由刑を上限とする刑を科している(罰則は同法49条)。わが国においてもかかる進化した立法がなされるべきだと提案した。 

備考(Remarks)  

2018  詐欺組織への変容と組織的犯罪処罰法3条1項の「当該罪に当たる行為を実行するための組織」の意義―最決平成27年9月15日を素材にして―  単著   
杏林社会科学研究  , 杏林大学社会科学学会  , 34巻1号  , pp.33-55  , 2018/12/01   

概要(Abstract) 組織的犯罪処罰法は2000年2月1日に施行されたが、立法当時は同法3条1項9号に組織的詐欺罪は規定されていた。本件
はいわゆる岡本倶楽部事件であるが、平成21年9月上旬からは同倶楽部を通じて集めた金員は従業員の給料等に費消され、経営が破綻することは確実視されていた。健全な企業が詐欺組織へ変容した場合に組織的詐欺罪を適用してよいかどうかは問題になり得るが、本稿では同罪を適用してよいとの結論を導いた。 

備考(Remarks)  

2017  同時傷害の特例  共著   
平成29年度杏林大学杏林CCRC研究所紀要  , 平成29年度杏林大学杏林CCRC研究所紀要  , pp.13-23  , 2018/02/28   

概要(Abstract) 本稿は広島大学名誉教授の筑間正泰先生との共著である。本稿の概要は次のとおりである。同時傷害の特例刑法207条をめぐる解釈論は、刑法各論の中でも難問の一つとされている。現状、刑法典上「傷害」という文言は狭義の傷害と広義の傷害の2つの意味内容で捉えられている。狭義の傷害に関しては、完全性侵害説と生理機能障害説の対立があるが、妊婦を不妊症にした事例を念頭におけば(刑法216条を参照)、前者が正解である。同時傷害の特例刑法207条のいう「傷害」という字句は基本傷害致死罪を含めた広義の傷害の意味であるため(現場助勢罪の「傷害」も広義の傷害を指す)、刑法207条が適用された結果、傷害罪になる場合以外に「傷害致死罪」になる場合もあると結論づけた。なお、判例は法定的符合説を採るが、判例の立場を前提にすると、求刑及び量刑の段階で故意が一個しかないことを踏まえる数故意犯説がベターである。同時犯とは、意思の連絡なしに時を同じくして犯罪を行うことをいうが、同時傷害の特例から導かれる同時犯は、二人以上の行為者が意思の連絡なしにほぼ時を同じくして同一人に対して同一の犯罪または同種の犯罪を実行する場合をいうとした。 

備考(Remarks)  

2017  排出権取引と詐欺罪  単著   
山中敬一先生古稀祝賀論文集・下巻  , 成文堂  , pp.265-283  , 2017/04/20   

概要(Abstract) 排出権取引をめぐる法律問題の分析は喫緊の課題であるが、近時排出権取引に無知な高齢者等を当該取引に誘引し財
産的損害を加える悪徳業者の欺瞞的行為が問題になりつつある。本稿では詐欺罪の適用可能性につき詳しく検討すると
同時に、当該取引の仕組みについて考察した。EUでは、当該取引に関する公設の取引所も構築されているが、当該取引
所に取り次ぐと言って取り次ぎをしない悪徳業者がわが国では跋扈している。私はかかる悪徳業者の所為は取込詐欺と同じであり、詐欺罪に問擬し得ると考えた。 

備考(Remarks)  

2016  プリペイド携帯電話機の不正取得と詐欺罪―第三者への譲渡目的の秘匿が問題になった東京高判平成24年12月13日を素材にして―  単著   
市民生活と現代法理論(三谷忠之先生古稀祝賀論文集)   , 成文堂  , pp.413-431  , 2017/03/20   

概要(Abstract) プリペイド携帯電話機の不正取得は詐欺罪になるのか。詐欺罪として捕捉されるとしたのが東京高判平成24年12月13日である。第三者に譲渡する目的で自己名義の預金通帳・キャッシュカードを取得した事例・第三者に搭乗券を手交するにもかかわらずそれを秘匿し国際線の搭乗券を取得した事例で判例・通説はこぞって1項詐欺罪の成立を認めてきているため、東京高判平成24年12月13日が理論上詐欺罪の成立を認めると判示したことにも理由はある。しかしながら、本稿では、実質的個別財産説の立場から東京高判平成24年12月13日を批判的に検討した。 

備考(Remarks)  

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その他研究業績
年度
Year
題名等
Titles
カテゴリ
Category
細目
Authorship
掲載雑誌名等 Publishing Magazine,発行所 Publisher,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.,発行年月(日) Date
2022  金融商品取引法167条1項6号が予定する「職務に関し知つたとき」の文言の意義  判例研究  単著 
刑事法ジャーナル  , 成文堂  , 73号  , pp.160-169  , 2022/08/20   

概要(Abstract) 本判例解説では、金商法167条1項6号の文言等から考えて情報伝達要件説は採用できないことを明らかにし、他方、「行為者の手持ちの情報と内部情報を再構成した上でこれを第三者に伝達したケース」も金商法166条・167条の予定する「重要事実」ないし「公開買付等事実」になることを論証した。最決令和4年2月25日における被告人は「親子上場」という社内の共有フォルダーを閲覧したり、自らインターネットの検索により、隣席の同僚の電話による会話を立ち聞きしたり、また親会社の有価証券報告書を閲覧して子会社が一つしかないことを突き止める等して、そこから本件対象会社を特定したが、このように考えれば、本件における被告人は、金商法167条1項6号が予定する「職務に関して知った」の要件は充足しており、当該判例は適切であったとの結論を導いた。 

備考(Remarks)  

2020  「犯人」の意義  判例研究  単著 
刑法判例百選Ⅱ各論  , 有斐閣  , 第8版  , pp.236-237  , 2020/11/26   

概要(Abstract) 刑法103条における「罪を犯した者」という文言の意義については、真犯人に限定する説と犯罪の嫌疑を受けて捜査・訴追
中の者を含む説とに考え方が分かれる。真犯人に限定する説は訴追・捜査中の者が起訴猶予になったケースや海外に逃
亡したケースの合理的な説明ができずこれを採用することはできなかった。真犯人に限定する説も2つに分かれ、真犯人性
を蔵匿者の裁判で立証すればよいとの見解と真犯人性は被蔵匿者の裁判が確定するまでなし得ないとの見解に分岐していた。しかし、いずれの見解も妥当でなく、真犯人に限定する説自体に問題がある。 

備考(Remarks)  

2010  救急患者からの暴行をめぐる法律問題  寄稿  単著 
エマージェンシー・ケア  , 293号  , pp.51-57  , 2010/09/01   

概要(Abstract) 杏林大学教授である橋本雄太郎先生の編集で、「医療従事者向けの法律入門的記事」の特集を雑誌で組むことになり、執筆者の一人として寄稿を行った。救急患者からの暴力沙汰、精神病院における病棟での患者同士のいさかい、外来患者による業務妨害行為など病院を取り巻く刑事的トラブルは後を絶たない。医療従事者が最低限おさえておく法律基礎知識をわかりやすく講じた。暴行罪と傷害罪との関係、管理・監督過失の考え方、業務妨害罪と器物損壊罪との関係などを事例を通してわかりやすく解説した。 

備考(Remarks)  

2010  囲繞地の周囲の塀は建造物侵入罪の『建造物』にはあたらず、警察署の塀によじ上った行為は建造物侵入罪に該当しないとされた事例―大阪地裁平成19年10月15日判決(確定)―  判例研究  単著 
刑事法ジャーナル  , 成文堂  , 17号  , pp.77-89  , 2010/07/01   

概要(Abstract) 覆面パトカーのナンバーを記録に残すため、警察署の塀によじ登った行為が建造物侵入罪にあたるか否かが問われた判例
の評釈をした。刑法130条の建造物の概念に囲繞地が包摂されるかどうかという論点ですら議論が存在する。したがって、塀によじ登る行為は建造物侵入罪にあたらないとの結論を導いた。 

備考(Remarks)  

2008  1 海底地震計等につき被告人の所有権取得を否定し詐欺罪の成立を認めた事例 2 詐欺罪における財産的損害、錯誤を認めた事例―札幌地裁平成19年1月12日判決(確定)―  判例研究  単著 
杏林社会科学研究  , 杏林社会科学学会  , 24巻2号  , pp.33-44  , 2008/09/01   

概要(Abstract) H大学大学院理学研究所付属地震火山研究所観測センター長の職にあった被告人はノルウェーの大学から金員を受領した。しかし、海底地震計を先方に渡さなかった。被告人が当初から当該海底地震計を送付する意思も売却権限もなかったとこの事案につき、判例評釈を行った。札幌地裁は詐欺罪の成立を認めた。民法246条の加工の意義や詐欺罪における損害概念が本判例では問題になり得るが、いずれも詐欺罪を否定する根拠にはなり得ないことを論証した。 

備考(Remarks)  

2006  ギュンター・カイザー「注目される経済犯罪」  翻訳  単著 
神山敏雄先生古稀祝賀論文集第2巻(経済刑法)  , 成文堂  , pp. 393-409  , 2006/08/01   

概要(Abstract) ドイツの著名な刑法学者であるギュンターカイザーの論文を翻訳した。1970年代から経済犯罪が刑法学者の関心を集め始
めたが、1999年にはEUの詐欺対策機関である欧州不正防止局が設置され、現在ではユーロジャストというEU加盟国の裁判
官・検察官・警察官から成る組織も設けられている。また、捜査上の対応策以外に補助金詐欺罪や暴利罪、投資詐欺罪の
構成要件化等実体刑法上の対応策も講じられている。ドイツの2006年当時の経済刑法を取り巻く状況を翻訳を通じて明らかにすることができた。 

備考(Remarks)  

2003  販売される商品の品質に対する社会的信頼と刑法233条にいう「信用」  判例研究  単著 
法学教室(別冊付録・判例セレ クト2003)   , 有斐閣  , 232号  , pp.31-31  , 2004/03/01   

概要(Abstract) コンビニエンスストアで異物が混入された商品が販売されていたと虚偽の事実を述べて新聞報道させた件につき、かかる行為が信用毀損罪に該当するかどうかを論じた。最高裁は信用毀損罪に当たるとした。支払能力以外の事実に関し虚偽の風説を流布した事案で信用毀損罪が成立するかは議論の余地があるが、支払能力以外の事情であっても信用を毀損させる
局面は存在するため、新判例の立場が妥当である。 

備考(Remarks)  

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研究発表
年度
Year
題目又はセッション名
Title or Name of Session
細目
Authorship
発表年月(日)
Date
発表学会等名称 Name, etc. of the conference at which the presentation is to be given, 主催者名称 Organizer, 掲載雑誌名等 Publishing Magazine,発行所 Publisher,巻/号 Vol./no.,頁数 Page nos.
2022  インサイダー情報の利用形態と情報伝達罪の成否に関する一考察」~最決令和4年2月25日を契機にして~  単独  2023/03/25 
日本刑法学会(名古屋部会)  , 名古屋学院大学   

概要(Abstract) コロナ渦ということで、オンライン開催であった。報告内容は以下のとおりである。金商法167条1項6号の文言等から考えて、情報伝達要件説は採用できないとの結論を導いた。他方、「行為者の手持ちの情報と内部情報を再構成した上でこれを第三者に伝達したケース」も可罰的だとした(何となれば、内部情報にアクセスして手持ちの情報の正確性を担保した上で第三者に伝達した事案も可罰的になるため)。最決令和4年2月25日の事案における被告人は「親子上場」という社内の共有フォルダーを閲覧したり、自らインターネットの検索により、隣席の同僚の電話による会話を立ち聞きしたり、また親会社の有価証券報告書を閲覧して子会社が一つしかないことを突き止める等して、そこから本件対象会社を特定しました。このように考えれば、本件における被告人は、金商法167条1項6号が予定する「職務に関して知った」の要件は充足しているべきだとみるべきである。当日14時より金商法167条1項6号に関する報告を行った。  

備考(Remarks) ズームによる研究会開催であった。 

2022  金融商品取引法167条1項6号が予定する「職務に関し知つたとき」の文言の意義  単独  2022/07/06 
法学会春季研究会  , 南山大学法学部法学会   

概要(Abstract) 最高裁令和4年2月25日の決定は、公開買付等にまつわるインサイダー取引の事案に関するものであり、画期的なものであるが、その内容を比較的丁寧に詳細に論じた。報告内容は次のとおりである。金商法167条1項6号の文言等から考えて情報伝達要件説は採用できないことを明らかにし、他方、「行為者の手持ちの情報と内部情報を再構成した上でこれを第三者に伝達したケース」も金商法166条・167条の予定する「重要事実」ないし「公開買付等事実」になることを論証した。もっとも、最決令和4年2月25日はかなり特殊な事案であり、行為者自ら「親子上場」という社内の共有フォルダーを閲覧したり、インターネットを検索したりする等した上で親会社の有価証券報告書を閲覧して子会社が一つしかないことを突き止めたものであった。本判例は金商法167条1項6号が予定する「職務に関して知った」の要件の充足をめぐる論争を喚起した点では注目すべきものではあるが、反面本判例が事例判例にすぎないことは直視すべきであろう。 

備考(Remarks) ズームによる研究会開催であった。 

2019  証拠金を用いた取引と詐欺罪  単独  2019/05/26 
日本刑法学会(第97回大会)  , 一橋大学  , 刑法雑誌  , 日本刑法学会  , 59巻2号  , pp.258-275   

概要(Abstract) 当日の報告内容は以下のとおりである。1980代より今日まで商品先物取引や外国為替証拠金取引、そして排出権取引といった「証拠金を用いた取引」が跋扈し、数多くの消費者トラブルを生んできた。かかる取引を当業者や証券会社の幹部が行う場合には問題はないが、取引に疎い高齢者等が関わるとなると、刑事法上大いに問題がある。本稿は刑法学会第97回(一橋大学で開催)で報告した内容を活字化したものである。商品先物取引等の仕組みを黙秘して当該取引に誘引して金員を取得する場合や最決平成4年2月18日の事案である客殺し商法の種々の手段が駆使されたケースは詐欺罪として捕捉可能だとの結論を導いた。ドイツでは被害の未然防止という見地から、取引所法で未経験に乗じて人を証拠金取引をはじめとする取引所投機取引に誘引することを禁止し(同法26条1項)、罰則として3年の自由刑を上限とする刑を科している(罰則は同法49条)。わが国においてもかかる進化した立法がなされるべきだと提案した。 

備考(Remarks)  

2016  アメリカ合衆国におけるオプション市場で取引されている商品先物(コーヒー・砂糖等)の銘柄を顧客に勧めた所為が詐欺罪に問われた事例である(福岡地判昭和26年3月3日)  単独  2016/07/24 
第一回「四国におけるTPP等と法」研究会  , 香川大学   

概要(Abstract) アメリカ合衆国におけるオプション市場で取引されている商品先物(コーヒー・砂糖等)の銘柄を顧客に勧めた所為が詐欺罪に問われた事例である福岡地判昭和26年3月3日につき検討を加えた。商品先物オプション取引の仕組み等にも言及した。 

備考(Remarks) なお、同日同研究会においては、法政大学で教鞭をとられ、西村あさひ法律事務所の弁護士である米谷三以先生も登壇された。米谷三以先生のご報告テーマは「TPP交渉と法」であった。 

2013  外国為替証拠金取引と詐欺罪  単独  2013/11/09 
中・四国法政学会第54回大会  , 広島修道大学   

概要(Abstract) 広島修道大学で開催された中・四国法政学会第54回大会で個別報告を行った。報告内容は以下のとおりである。商品先物取引業者が始めた外国為替証拠金取引は現在では金融商品取引法が規律している。もっとも、業者が創始した頃は登録制も施行されておらず、不透明な取引に老人や主婦等の経済的弱者が誘引され社会問題になっていた。外国為替証拠金取引は本来的に賭博行為であるが、当事者に賭博の認識がなく、賭博関係罪で業者を立件することは困難である。店頭無登録FX等への誘引は詐欺罪を構成すること等を本稿で論じた。現在では、外国証拠金取引は取引所取引でも実施されているが、この場合には賭博関係罪に該当するものの違法性は阻却される。 

備考(Remarks)  

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著書・学術論文に関する統計情報
年度
Academic Year
学術研究著書の件数
No. of Academic Books
学会誌・国際会議議事録等に掲載された学術論文の件数
No. of Academic Articles in Journals/Int'l Conference Papers
学内的な紀要等に掲載された学術論文の件数
No. of Academic Articles Pub'd in University Bulletins
学会受賞等の受賞件数
No. of Academic Awards Received
国際学会でのゲストスピーカーの件数
No. of Times as Guest Speaker at Int'l Academic Conferences
国際学会での研究発表の件数
No. of Presentations of Papers at Int'l Academic Conferences
国内学会でのゲストスピーカーの件数
No. of Times as Guest Speaker at National Academic Conf.
国内学会での研究発表の件数
No. of Papers Presented at National Academic Conf.
2023 
2022 
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2024/07/01 更新