2024/12/05 更新

写真b

オオヤマ トオル
大山 徹
OYAMA Toru
所属
法学部 法律学科 教授
職名
教授
専攻分野
刑法学、経済刑法学

学位

  • 法学 ( 1998年3月   慶應義塾大学 )

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    修士

    学位論文名:自己名義のクレジット・カードの不正使用に関する考察

研究分野

  • 人文・社会 / 刑事法学  / 刑法、経済刑法

学歴

  • 慶應義塾大学   法学政治学研究科   法律学

    - 1998年3月

  • 岡山大学   法学部

    - 1995年3月

所属学協会

  • 証拠金を用いた取引と詐欺罪(日本刑法学会第97回大会)

委員歴

  • 証拠金を用いた取引と詐欺罪(日本刑法学会第97回大会)  

論文

  • 逮捕監禁致死傷罪・逮捕監禁罪と罪数

    南山法学   46巻3=4号   353 - 375   2023年7月

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    出版者・発行元:南山大学法学部法学会  

    逮捕監禁致死傷罪が予定する重い結果につき、刑の見地から傷害の故意がある場合を刑法221条が包含していることを論証した。また、逮捕監禁という方途を用いて当初から殺人を敢行しようと意図していた場合は、殺人罪のみが成立することも論証した。そして、逮捕監禁途中から傷害・殺人の故意を抱いていたパターンは刑法220条の罪と傷害罪・殺人罪が成立し両者は併合罪の関係に立つとの主張も展開した。次いで、逮捕監禁罪については、拐取罪と逮捕監禁罪とは原則として併合罪の関係に立つが、例外的に観念的競合の関係に立つ場合があることを明らかにした。また、強制性交等罪と逮捕監禁罪とは基本的には併合罪の関係に立つが、稀に観念的競合の関係に立つことを明らかにした。さらに、住居侵入罪と逮捕監禁罪とは牽連犯の関係に立つことを解明し、恐喝罪と逮捕監禁罪とは併合罪の関係に立つことを解明した。最後に、窃盗罪と逮捕監禁罪とは併合罪の関係に立つが、全体的アプローチは排斥されるべきで分析的アプローチが正解であることを浮き彫りにした。

  • 再論 各種堕胎罪と罪数-刑訴法の議論をも踏まえて-

    杏林社会科学研究   37巻3=4号(合併号)   19 - 56   2022年3月

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    出版者・発行元:杏林大学社会科学学会  

    法定刑の機能・法条競合と理論上数罪といわれる観念的競合の違いを踏まえた上で、殺人の故意・傷害の故意があった場合の処理につき、同意堕胎致死傷罪・業務上堕胎致死傷罪・不同意堕胎致死傷罪の適用の在り方に変化が生ずるか分析した。軒並み観念的競合となるが、不同意堕胎致傷罪のケースだけ傷害の故意を最初から含んでいると結論づけた。他方、堕胎後、医師が出生後の胎児を放置した事案では、業務上堕胎罪と保護責任者遺棄致死罪の併合罪となると結論づけた(一事件一裁判の原則の帰結である)。

  • 公開買付けに係るインサイダー取引規制に関する考察―東京地判平成二四年九月七日を素材に―

    杏林社会科学研究   37巻3=4号(合併号)   1 - 17   2022年3月

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    出版者・発行元:杏林大学社会科学学会  

    インサイダー取引は二つの形態に分かれるといわれている。一つはプラスの情報を得て株式等を購入しインサイダー情報が公知の事実になった後に当該株式等を売却し差金を得る形態である。いま一つはマイナスの情報を得て持ち株を売り、
    損失をできるだけミニマムに抑える形態である。本件は前者の形態であるが、本件では、株式の公開買付けが行われることを事前に察知した対象会社の社外取締役の夫が、対象会社の株式を事前に購入してインサイダー情報が公知の事実になった後に当該株式を売却した事案である。準内部者の範囲が過度に膨張している嫌いはあるが、本件における被告人は第一次情報受領者として位置づけられるため、金融商品取引法違反になり有罪になるのは当然の事案であったといえる。本稿では、平成25年の金商法の改正経緯を含め、立法の在り方などにも言及した。

  • 各種堕胎罪と罪数

    杏林社会科学研究   36巻4号   53 - 80   2021年3月

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    出版者・発行元:杏林大学社会科学学会  

    現行刑法は、自己堕胎罪・同意堕胎罪・業務上堕胎罪・不同意堕胎罪・不同意堕胎未遂罪・同意堕胎致傷罪・業務上堕胎致傷罪・不同意堕胎致傷罪・同意堕胎致死罪・業務上堕胎致死罪・不同意堕胎致死罪といった11種類の堕胎罪を規定している。本稿では、これら各種堕胎罪のうちの結果的加重犯をめぐる罪数問題と共犯規定の適用との関係で各種堕胎罪に生じる罪数問題を中心に犯罪競合の問題を論じた。

  • 独禁法犯罪をめぐる近時の議論―刑事実体法の議論を中心に―

    刑事法ジャーナル   65号   pp17 - 27   2020年8月

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    出版者・発行元:成文堂  

    独禁法が制定されてから70年以上の月日が経過したが、独禁法上の犯罪については刑事法上の観点からも種々の分析が加えられてきた。不当な取引制限罪が必要的共犯か、同罪が状態犯か継続犯かに関しては議論があるが、筆者は必要的共犯説と継続犯説を支持した。刑法典上の談合罪と不当な取引制限罪との関係については、法条競合説と観念的競合説とが主張されているが、筆者は前者に与した。課徴金の二重併科については、課徴金は不法利益の剥奪であり、刑罰は制裁的性質を持つので、憲法39条に違反しないとの主張をも展開した。もっとも、私見については、近時課徴金が制裁的機能を持つようになっておりその部分で説明に窮するとの批判も展開されている。しかし、独禁法7条の7等の調整規定でアンバランスを是正すれば事たりるとの再批判を展開した。その他、本稿では、私的独占の罪や国際的協定罪や三罰規定についても解説を行った。

  • 証拠金を用いた取引と詐欺罪

    刑法雑誌   59巻2号   258 - 275   2020年7月

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    出版者・発行元:日本刑法学会(有斐閣)  

    1980代より今日まで商品先物取引や外国為替証拠金取引、そして排出権取引といった「証拠金を用いた取引」が跋扈し、数多くの消費者トラブルを生んできた。かかる取引を当業者や証券会社の幹部が行う場合には問題はないが、取引に疎い高齢者等が関わるとなると、刑事法上大いに問題がある。本稿は刑法学会第97回(一橋大学で開催)で報告した内容を活字化したものである。商品先物取引等の仕組みを黙秘して当該取引に誘引して金員を取得する場合や最決平成4年2月18日の事案である客殺し商法の種々の手段が駆使されたケースは詐欺罪として捕捉可能だとの結論を導いた。ドイツでは被害の未然防止という見地から、取引所法で未経験に乗じて人を証拠金取引をはじめとする取引所投機取引に誘引することを禁止し(同法26条1項)、罰則として3年の自由刑を上限とする刑を科している(罰則は同法49条)。わが国においてもかかる進化した立法がなされるべきだと提案した。

  • 詐欺組織への変容と組織的犯罪処罰法3条1項の「当該罪に当たる行為を実行するための組織」の意義―最決平成27年9月15日を素材にして―

    杏林社会科学研究   34巻1号   33 - 55   2018年12月

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    出版者・発行元:杏林大学社会科学学会  

    組織的犯罪処罰法は2000年2月1日に施行されたが、立法当時は同法3条1項9号に組織的詐欺罪は規定されていた。本件
    はいわゆる岡本倶楽部事件であるが、平成21年9月上旬からは同倶楽部を通じて集めた金員は従業員の給料等に費消され、経営が破綻することは確実視されていた。健全な企業が詐欺組織へ変容した場合に組織的詐欺罪を適用してよいかどうかは問題になり得るが、本稿では同罪を適用してよいとの結論を導いた。

  • 同時傷害の特例

    平成29年度杏林大学杏林CCRC研究所紀要   13 - 23   2018年2月

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    出版者・発行元:平成29年度杏林大学杏林CCRC研究所紀要  

    本稿は広島大学名誉教授の筑間正泰先生との共著である。本稿の概要は次のとおりである。同時傷害の特例刑法207条をめぐる解釈論は、刑法各論の中でも難問の一つとされている。現状、刑法典上「傷害」という文言は狭義の傷害と広義の傷害の2つの意味内容で捉えられている。狭義の傷害に関しては、完全性侵害説と生理機能障害説の対立があるが、妊婦を不妊症にした事例を念頭におけば(刑法216条を参照)、前者が正解である。同時傷害の特例刑法207条のいう「傷害」という字句は基本傷害致死罪を含めた広義の傷害の意味であるため(現場助勢罪の「傷害」も広義の傷害を指す)、刑法207条が適用された結果、傷害罪になる場合以外に「傷害致死罪」になる場合もあると結論づけた。なお、判例は法定的符合説を採るが、判例の立場を前提にすると、求刑及び量刑の段階で故意が一個しかないことを踏まえる数故意犯説がベターである。同時犯とは、意思の連絡なしに時を同じくして犯罪を行うことをいうが、同時傷害の特例から導かれる同時犯は、二人以上の行為者が意思の連絡なしにほぼ時を同じくして同一人に対して同一の犯罪または同種の犯罪を実行する場合をいうとした。

  • 排出権取引と詐欺罪

    山中敬一先生古稀祝賀論文集・下巻   265 - 283   2017年4月

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    出版者・発行元:成文堂  

    排出権取引をめぐる法律問題の分析は喫緊の課題であるが、近時排出権取引に無知な高齢者等を当該取引に誘引し財
    産的損害を加える悪徳業者の欺瞞的行為が問題になりつつある。本稿では詐欺罪の適用可能性につき詳しく検討すると
    同時に、当該取引の仕組みについて考察した。EUでは、当該取引に関する公設の取引所も構築されているが、当該取引
    所に取り次ぐと言って取り次ぎをしない悪徳業者がわが国では跋扈している。私はかかる悪徳業者の所為は取込詐欺と同じであり、詐欺罪に問擬し得ると考えた。

  • プリペイド携帯電話機の不正取得と詐欺罪―第三者への譲渡目的の秘匿が問題になった東京高判平成24年12月13日を素材にして―

    市民生活と現代法理論(三谷忠之先生古稀祝賀論文集)   413 - 431   2017年3月

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    出版者・発行元:成文堂  

    プリペイド携帯電話機の不正取得は詐欺罪になるのか。詐欺罪として捕捉されるとしたのが東京高判平成24年12月13日である。第三者に譲渡する目的で自己名義の預金通帳・キャッシュカードを取得した事例・第三者に搭乗券を手交するにもかかわらずそれを秘匿し国際線の搭乗券を取得した事例で判例・通説はこぞって1項詐欺罪の成立を認めてきているため、東京高判平成24年12月13日が理論上詐欺罪の成立を認めると判示したことにも理由はある。しかしながら、本稿では、実質的個別財産説の立場から東京高判平成24年12月13日を批判的に検討した。

  • 組織的詐欺罪について

    慶應法学37号   37号   205 - 225   2017年2月

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    出版者・発行元:慶應義塾大学法科大学院(大学院法務研究科) [編] 慶應義塾大学大学院法務研究科、慶應義塾大学出版会  

    組織的犯罪処罰法が施行されてから、15年以上の歳月が経過したが(本稿公表当時)、同法3条1項に規定された組織的詐欺罪に関する裁判例が集積し、組織的詐欺罪の成立要件に関する学者や実務家の論稿が公にされるようになってきた。本稿では組織的詐欺罪が必要的共犯でないことを論証し、同罪の法定刑の加重根拠につき論じた(伝統的詐欺罪の2倍の法定刑である)。同法2条1項の「組織」の定義は広範にすぎることを明らかにすると同時に、本稿では同法2条1項の「団体」性の要件を制限的に解釈すべきことを提案した。

  • 刑法38条2項「準用」の可能性について

    香川法学   35巻1=2号(合併号)   51 - 80   2015年9月

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    出版者・発行元:香川大学法学会  

    刑法38条2項は唐律に淵源を持つ規定だといわれているが、今日、当該規定が抽象的事実の錯誤に関する規定であることを疑う者はいない。通説である法定的符合説は死体遺棄罪と生体遺棄罪との間の構成要件的符合は否定するものの、占有離脱物横領罪と窃盗罪との構成要件的符合は肯定する。薬物事犯で抽象的事実の錯誤は問題になり得る。たとえば、麻薬だと思って覚せい剤を所持した場合には、軽いコカイン所持罪が成立すると解するのが判例である。本稿は、構成要件の実質的な重なり合いは取締法規が別であってもこれを認めることができると考えた。

  • 外国為替証拠金取引と詐欺罪

    企業と法の現代的課題(市川兼三先生古稀祝賀論文集)   53 - 81   2014年10月

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    出版者・発行元:成文堂  

    商品先物取引業者が始めた外国為替証拠金取引(FX)は現在では金融商品取引法が規律しているが、業者が創始した頃は登録制も施行されておらず、不透明な取引に老人や主婦等の経済的弱者が誘引され社会問題になっていた。外国為替証拠金
    取引は本来的に賭博行為であるが、当事者に賭博の認識がなく、賭博関係罪で業者を立件することは困難である。店頭無
    登録FX等への誘引は詐欺罪を構成すること等を本稿で論じた。現在では、外国証拠金取引は取引所取引でも実施され
    ているが、この場合には賭博関係罪に該当するものの違法性は阻却される。

  • 具体的事実の錯誤に関する一考察―刑法240条と方法の錯誤―

    香川法学   32巻2号   61 - 92   2012年9月

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    出版者・発行元:香川大学法学会  

    強盗致死傷罪は刑法240条に規定されているが、同罪と方法の錯誤の議論との相関関係につき考察を試みた。刑法240条
    は前段・後段に分かれ、前段が強盗傷人罪・強盗致傷罪、後段が強盗殺人罪・強盗致死罪をそれぞれ規定する(通説・判
    例の立場)。通説・判例によれば、財物強取の意思と殺人の故意を有し拳銃を発砲したケース(方法の錯誤)では法定的符合説により強盗殺人の既遂となる。通説・判例の立場を批判的に考察した。

  • 管理・監督過失における作為と不作為~火災事故をめぐるドイツ判例の検討を通じて~

    香川法学   32巻1号   1 - 31   2012年6月

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    出版者・発行元:香川大学法学会  

    ホテル・デパート火災事故が発生した場合において、経営者等を業務上過失致死傷罪で立件するのがわが国の通説・判例
    である。作為と不作為の区別基準論から当該経営者の過失不作為について分析を試みた。作為と不作為の区別基準としては、重点説(違法評価の重点が作為・不作為のどちらにあるかを標準とする)が採用されるべきであり、因果関係の有無
    等によって作為・不作為は区別すべきでないとした。ドイツでは、火災事故に関する刑事判例が3件出現しており、ドイツ判例の検討を通じて本稿は作成された。幸い、本稿は四川師範大学の余氏の手により中国語に翻訳された。

  • 具体的事実の錯誤に関する覚書

    杏林社会科学研究   27巻4号   51 - 73   2012年3月

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    出版者・発行元:杏林大学社会科学学会  

    具体的事実の錯誤に関しては、具体的符合説・法定的符合説(数故意犯説・一故意犯説)の対立が知られているが、本
    稿では具体的符合説を支持した。すなわち、Aを殺そうとしてそばにいたBに命中したという方法の錯誤の事例では、本稿は殺人未遂罪と(重)過失致死罪の成立を認め観念的競合として処理すべきだとした。なお、具体的事実の錯誤の処理にあたっては、罪数論を視野に入れて解決が図られる必要があるが、数罪と一罪の区別基準論については構成要件標準説を支持した。

  • 商品先物取引と詐欺罪

    法学研究   84巻9号   379 - 417   2011年9月

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    出版者・発行元:慶應義塾大学法学研究会編  

    2011年1月に商品先物取引法が施行され許可制が採用され、悪質な海外商品先物業者は監督官庁(経産省と農水省)の指揮下に入った。しかし依然として悪徳業者の欺瞞的行為は後を絶たない。本稿では客殺し商法を実施することを秘匿して老人や主婦を勧誘する所為は詐欺罪ではなく背任罪で問擬すべきだとの試論を展開した。

  • 誤振込みと財産罪

    杏林社会科学研究   26巻4号   39 - 56   2011年3月

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    出版者・発行元:杏林大学社会科学学会  

    振込依頼人の過誤で意図しない口座名義人のところに金員が振り込まれ、当該口座名義人が銀行の窓口を通じて現金を
    引き出した場合、どのような犯罪が成立するのか議論がある。学説は詐欺罪説、占有離脱物横領罪説、無罪説とに分岐するが、本稿では無罪説を支持した。何となれば、最判平成8年4月26日の民事判例が存在し、誤振込みされた金員について
    も有効な預金債権が成立すると考えられているからである。もっとも、最決平成15年3月12日は詐欺罪の成立を肯認したが
    その場合の銀行の被害は形骸化していることには注意が必要である。

  • ドイツにおける連鎖販売取引をめぐる議論~ランペの見解とその検討~

    杏林社会科学研究   23巻2号   19 - 38   2007年9月

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    出版者・発行元:杏林大学社会科学学会  

    ネズミ講が無限連鎖講防止法で規律されているのに対し、マルチ商法自体は刑事罰の対象となっておらず、書面交付義務違反等が特定商取引法で規律されているにすぎない。ドイツの著名な刑法学者であるランペの見解を紹介し、分析検討した。

  • 無限連鎖講防止法の保護法益と今日的問題

    神山敏雄先生古稀祝賀論文集第2巻(経済刑法)   157 - 178   2006年8月

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    出版者・発行元:成文堂  

    無限連鎖講防止法は1978年に議員立法によって策定された法律である。天下一家の会事件でいわゆるネズミ講の被害がわが国で広がっていたが、ネズミ講の開設者を詐欺罪で立件することはできなかった。本稿では、無限連鎖講防止法の保護法益やチェーンメール方式のネズミ講が同法違反で捕捉できるか否かを論じた。

  • 物資統制法規違反と詐欺罪

    杏林社会科学研究   22巻1号   1 - 19   2006年6月

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    出版者・発行元:杏林大学社会科学学会  

    不法原因給付の規定は民法708条に存在する。民法によれば公序良俗違反で物や金銭が移転した場合には、原所有者は返
    還請求権を保持していない。戦後の統制経済下では銑鉄や綿花等希少品の譲渡につき統制がくわえられていたが、民法
    708条における「不法」には統制法規違反は含有されないとの結論を導き、詐欺罪は通常どおり成立するとした。

  • 無意識の処分行為が問題となったドイツの判例(連邦通常裁判所1995年8月2日判決)

    杏林社会科学研究   20巻3号   46 - 58   2004年12月

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    出版者・発行元:杏林大学社会科学学会  

    詐欺罪においては、無意識の処分行為を認めるかどうかが盛んに議論されている。本の中に一万円札が混入していることを被害者が知らないことを奇貨として行為者が当該書籍を取得した時、詐欺になるか窃盗になるかが議論されている。ドイツでも議論されており、スーパーマーケットにおいて商品の一部を隠してレジを通過したことが詐欺になるか窃盗になるかが争われていた。無意識の処分行為は認めるべきではなく、当該事案は窃盗として処理すべきだとの結論を提示した。

  • 継続犯としての不当な取引制限罪(1)

    杏林社会科学研究   19巻3号   49 - 71   2003年12月

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    出版者・発行元:杏林大学社会科学学会  

    独占禁止法上カルテルや入札談合は不当な取引制限罪に該当するとされている。不当な取引制限罪は相互拘束行為と共同遂行行為とから成る。通説は相互拘束行為の段階で既遂を認めるが、独占禁止法上の犯罪は消費者に対する犯罪だと
    把握すべきであるため、共同遂行行為の終了時に既遂を認めた。この犯罪は状態犯ではなく継続犯である。状態犯と継続
    犯の区別基準を論じた。

  • インターネットにおけるサイバーテロ―スイスの最近の議論―

    捜査研究   621号   70 - 73   2003年6月

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    出版者・発行元:東京法令出版  

    1990年代後半になって組織犯罪対策が喫緊の課題になったが、その頃スイスでもサイバーテロの防衛策が学者の間で議論されていた。DOS攻撃の対応などを論じた。我が国では、1987年に刑法典に電子計算機損壊等業務妨害罪を挿入されたが最近になって未遂規定が盛り込まれた。DOS攻撃などは当該犯罪の未遂罪で捕捉されるため現在では特に問題は存在しない。

  • 改変テレカの交付に関するドイツの新しい判例

    法学政治学論究   50号   225 - 256   2001年9月

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    出版者・発行元:慶應義塾大学大学院法学研究科内『法学政治学論究』刊行会、慶應出版会  

    かつてわが国では、偽造されたテレホンカードの売買を偽造有価証券交付罪で捕捉して当該行為を辛うじて可罰化していた。本稿では、いわゆる一体化説が正しいとし、ドイツ刑法の「支払用カード」との比較を行った。わが国でも、現在では、「支払用カード」電磁的記録に関する罪が刑法典第2編の「罪」の第18章の2に創設されているが、ドイツ刑法との比較により、わが国の刑事立法の特色を浮き彫りにした。

  • 自己名義の有効なクレジットカードの不正使用と詐欺罪の成否

    法学政治学論究   47号   121 - 155   2000年12月

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    出版者・発行元:慶應義塾大学大学院法学研究科内『法学政治学論究』刊行会  

    自己名義の有効なクレジットカードの不正使用が詐欺罪として捕捉されるか否かをめぐり、わが国の学説は3つの説に分岐していた。第一の見解は騙される者・被害者を加盟店とし一項詐欺罪を認める見解である。第二の見解は、騙される者を加盟店とし被害者をカード会社とし一項詐欺罪を認める見解である。第三の見解は騙される者を加盟店とし被害者をカード会社とし、二項詐欺罪を認める見解である。第一の見解は加盟店を被害者とする見解だが、財産上の損害の要件が形骸
    化するため、支持し得ない。第二の見解は詐欺罪の財産移転罪としての性質を希薄にするため、これも支持し得ない。
    第三の見解は三角詐欺説だが、加盟店の処分権限が論証できないため支持し得ない。本稿では、結局、無罪説を支持
    した。

  • 自己名義の有効なクレジットカードの不正使用に関する考察―ドイツの判例・学説を中心に―

    法学政治学論究   42号   277 - 319   1999年9月

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    出版者・発行元:慶應義塾大学大学院法学研究科内『法学政治学論究』刊行会  

    ドイツ刑法263条が規定する詐欺罪は財産侵害罪として立法されており、わが国と状況は異なる。とはいえ、ドイツでは自己名義のクレジットカードの濫用につき詐欺罪を否定する連邦通常裁判所の判断が1980年代に出ていた。ドイツの学説で詐欺罪を否定する見解を紹介し、わが国の詐欺罪肯定説を批判的に検討した。なお、現在のドイツでは刑法266条bにクレジットカード・チェックカード不正使用罪が規定されている。当該犯罪は背任罪類似の条文となっている。

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書籍等出版物

  • 刑法各論判例インデックス〔第2版〕

    ( 担当: 共著)

    商事法務  2023年3月 

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    総ページ数:pp.156-159,pp.182-187  

    本書は教科書や体系書を読み終えた後の中級者用の刑法の判例概説書である。読者として主に念頭に置かれているのは、法科大学院の学生や刑法各論を学び法曹を志している者である。本書は、短時間のうちに判例の全体を概観し、知識をより整理して体系化できるように編集された。私は「不法原因給付と詐欺罪の成否」「国家的法益に対する詐欺罪の成否」「他人名義のクレジットカードの不正使用」「自己名義のクレジットカードの不正使用」「執行文付与の申請による訴訟詐欺」の部分を担当した。

  • よくわかる刑法(第3版)

    ( 担当: 共著)

    ミネルヴァ書房  2018年5月 

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    総ページ数:pp.24-25,pp.146-147etc.  

    井田良教授・佐藤拓磨教授編による初学者向けの刑法の入門書である。クロス・リファレンスが徹底されている教科書である。私の担当部分は以下のとおりである。すなわち、「法人処罰」、pp. 24-25、「財産犯の体系」、pp. 146-147、「無意識の処分行為」、pp. 168-169、「クレジットカードの不正使用と詐欺罪」、pp. 172-173、「二重売買・譲渡担保と横領罪」、pp. 178-179、「不法原因給付と詐欺・横領の成否」、pp. 180-181、「偽造罪の全体構造」、pp. 204-205、「文書の意義」、pp. 206-207、「私文書における名義人の特定」、pp. 208-209である<全部で18頁>。

  • 新・判例ハンドブック〔刑法各論〕

    ( 担当: 共著)

    日本評論社  2016年9月 

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    総ページ数:pp.170-181  

    重要判例の概要・判旨・解説を1ページでコンパクトに紹介し理論的な面にも言及している書籍である。同志社大学の十河教授、早稲田大学の高橋教授が編者である。私は「犯人による偽証教唆」「犯人の死亡と犯人隠避罪の成否」「逃走罪の既遂時期」等司法作用に対する罪を担当した。特に、「犯人による偽証教唆」の問題では苦心した。犯人自身が偽証をしても期待可能性が欠如するため不可罰だが、犯人が第三者をして偽証せしめれば一転して偽証教唆罪に問われる。この理由などを説得的に記述するのは困難であったが、自分なりの理由づけを打ち出すことができた。

  • ギュンター・カイザー「注目される経済犯罪」

    ( 担当: 単著)

    成文堂 神山敏雄先生古稀祝賀論文集第2巻(経済刑法)  2006年8月 

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    担当ページ:pp. 393-409  

    ドイツの著名な刑法学者であるギュンターカイザーの論文を翻訳した。1970年代から経済犯罪が刑法学者の関心を集め始 めたが、1999年にはEUの詐欺対策機関である欧州不正防止局が設置され、現在ではユーロジャストというEU加盟国の裁判 官・検察官・警察官から成る組織も設けられている。また、捜査上の対応策以外に補助金詐欺罪や暴利罪、投資詐欺罪の 構成要件化等実体刑法上の対応策も講じられている。ドイツの2006年当時の経済刑法を取り巻く状況を翻訳を通じて明らかにすることができた。

MISC

  • 金融商品取引法167条1項6号が予定する「職務に関し知つたとき」の文言の意義

    刑事法ジャーナル   73号   160 - 169   2022年8月

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    出版者・発行元:成文堂  

    本判例解説では、金商法167条1項6号の文言等から考えて情報伝達要件説は採用できないことを明らかにし、他方、「行為者の手持ちの情報と内部情報を再構成した上でこれを第三者に伝達したケース」も金商法166条・167条の予定する「重要事実」ないし「公開買付等事実」になることを論証した。最決令和4年2月25日における被告人は「親子上場」という社内の共有フォルダーを閲覧したり、自らインターネットの検索により、隣席の同僚の電話による会話を立ち聞きしたり、また親会社の有価証券報告書を閲覧して子会社が一つしかないことを突き止める等して、そこから本件対象会社を特定したが、このように考えれば、本件における被告人は、金商法167条1項6号が予定する「職務に関して知った」の要件は充足しており、当該判例は適切であったとの結論を導いた。

  • 「犯人」の意義

    刑法判例百選Ⅱ各論   第8版   236 - 237   2020年11月

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    出版者・発行元:有斐閣  

    刑法103条における「罪を犯した者」という文言の意義については、真犯人に限定する説と犯罪の嫌疑を受けて捜査・訴追
    中の者を含む説とに考え方が分かれる。真犯人に限定する説は訴追・捜査中の者が起訴猶予になったケースや海外に逃
    亡したケースの合理的な説明ができずこれを採用することはできなかった。真犯人に限定する説も2つに分かれ、真犯人性
    を蔵匿者の裁判で立証すればよいとの見解と真犯人性は被蔵匿者の裁判が確定するまでなし得ないとの見解に分岐していた。しかし、いずれの見解も妥当でなく、真犯人に限定する説自体に問題がある。

  • 救急患者からの暴行をめぐる法律問題

    エマージェンシー・ケア   293号   51 - 57   2010年9月

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    杏林大学教授である橋本雄太郎先生の編集で、「医療従事者向けの法律入門的記事」の特集を雑誌で組むことになり、執筆者の一人として寄稿を行った。救急患者からの暴力沙汰、精神病院における病棟での患者同士のいさかい、外来患者による業務妨害行為など病院を取り巻く刑事的トラブルは後を絶たない。医療従事者が最低限おさえておく法律基礎知識をわかりやすく講じた。暴行罪と傷害罪との関係、管理・監督過失の考え方、業務妨害罪と器物損壊罪との関係などを事例を通してわかりやすく解説した。

  • 囲繞地の周囲の塀は建造物侵入罪の『建造物』にはあたらず、警察署の塀によじ上った行為は建造物侵入罪に該当しないとされた事例―大阪地裁平成19年10月15日判決(確定)―

    刑事法ジャーナル   17号   77 - 89   2010年7月

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    出版者・発行元:成文堂  

    覆面パトカーのナンバーを記録に残すため、警察署の塀によじ登った行為が建造物侵入罪にあたるか否かが問われた判例
    の評釈をした。刑法130条の建造物の概念に囲繞地が包摂されるかどうかという論点ですら議論が存在する。したがって、塀によじ登る行為は建造物侵入罪にあたらないとの結論を導いた。

  • 1 海底地震計等につき被告人の所有権取得を否定し詐欺罪の成立を認めた事例 2 詐欺罪における財産的損害、錯誤を認めた事例―札幌地裁平成19年1月12日判決(確定)―

    杏林社会科学研究   24巻2号   33 - 44   2008年9月

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    出版者・発行元:杏林社会科学学会  

    H大学大学院理学研究所付属地震火山研究所観測センター長の職にあった被告人はノルウェーの大学から金員を受領した。しかし、海底地震計を先方に渡さなかった。被告人が当初から当該海底地震計を送付する意思も売却権限もなかったとこの事案につき、判例評釈を行った。札幌地裁は詐欺罪の成立を認めた。民法246条の加工の意義や詐欺罪における損害概念が本判例では問題になり得るが、いずれも詐欺罪を否定する根拠にはなり得ないことを論証した。

  • 販売される商品の品質に対する社会的信頼と刑法233条にいう「信用」

    法学教室(別冊付録・判例セレ クト2003)   232号   31 - 31   2004年3月

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    出版者・発行元:有斐閣  

    コンビニエンスストアで異物が混入された商品が販売されていたと虚偽の事実を述べて新聞報道させた件につき、かかる行為が信用毀損罪に該当するかどうかを論じた。最高裁は信用毀損罪に当たるとした。支払能力以外の事実に関し虚偽の風説を流布した事案で信用毀損罪が成立するかは議論の余地があるが、支払能力以外の事情であっても信用を毀損させる
    局面は存在するため、新判例の立場が妥当である。

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講演・口頭発表等

  • インサイダー情報の利用形態と情報伝達罪の成否に関する一考察」~最決令和4年2月25日を契機にして~

    日本刑法学会(名古屋部会)  2023年3月  名古屋学院大学

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    コロナ渦ということで、オンライン開催であった。報告内容は以下のとおりである。金商法167条1項6号の文言等から考えて、情報伝達要件説は採用できないとの結論を導いた。他方、「行為者の手持ちの情報と内部情報を再構成した上でこれを第三者に伝達したケース」も可罰的だとした(何となれば、内部情報にアクセスして手持ちの情報の正確性を担保した上で第三者に伝達した事案も可罰的になるため)。最決令和4年2月25日の事案における被告人は「親子上場」という社内の共有フォルダーを閲覧したり、自らインターネットの検索により、隣席の同僚の電話による会話を立ち聞きしたり、また親会社の有価証券報告書を閲覧して子会社が一つしかないことを突き止める等して、そこから本件対象会社を特定しました。このように考えれば、本件における被告人は、金商法167条1項6号が予定する「職務に関して知った」の要件は充足しているべきだとみるべきである。当日14時より金商法167条1項6号に関する報告を行った。

  • 金融商品取引法167条1項6号が予定する「職務に関し知つたとき」の文言の意義

    法学会春季研究会  2022年7月  南山大学法学部法学会

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    最高裁令和4年2月25日の決定は、公開買付等にまつわるインサイダー取引の事案に関するものであり、画期的なものであるが、その内容を比較的丁寧に詳細に論じた。報告内容は次のとおりである。金商法167条1項6号の文言等から考えて情報伝達要件説は採用できないことを明らかにし、他方、「行為者の手持ちの情報と内部情報を再構成した上でこれを第三者に伝達したケース」も金商法166条・167条の予定する「重要事実」ないし「公開買付等事実」になることを論証した。もっとも、最決令和4年2月25日はかなり特殊な事案であり、行為者自ら「親子上場」という社内の共有フォルダーを閲覧したり、インターネットを検索したりする等した上で親会社の有価証券報告書を閲覧して子会社が一つしかないことを突き止めたものであった。本判例は金商法167条1項6号が予定する「職務に関して知った」の要件の充足をめぐる論争を喚起した点では注目すべきものではあるが、反面本判例が事例判例にすぎないことは直視すべきであろう。

  • 証拠金を用いた取引と詐欺罪

    日本刑法学会(第97回大会)  2019年5月  一橋大学

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    当日の報告内容は以下のとおりである。1980代より今日まで商品先物取引や外国為替証拠金取引、そして排出権取引といった「証拠金を用いた取引」が跋扈し、数多くの消費者トラブルを生んできた。かかる取引を当業者や証券会社の幹部が行う場合には問題はないが、取引に疎い高齢者等が関わるとなると、刑事法上大いに問題がある。本稿は刑法学会第97回(一橋大学で開催)で報告した内容を活字化したものである。商品先物取引等の仕組みを黙秘して当該取引に誘引して金員を取得する場合や最決平成4年2月18日の事案である客殺し商法の種々の手段が駆使されたケースは詐欺罪として捕捉可能だとの結論を導いた。ドイツでは被害の未然防止という見地から、取引所法で未経験に乗じて人を証拠金取引をはじめとする取引所投機取引に誘引することを禁止し(同法26条1項)、罰則として3年の自由刑を上限とする刑を科している(罰則は同法49条)。わが国においてもかかる進化した立法がなされるべきだと提案した。

  • アメリカ合衆国におけるオプション市場で取引されている商品先物(コーヒー・砂糖等)の銘柄を顧客に勧めた所為が詐欺罪に問われた事例である(福岡地判昭和26年3月3日)

    第一回「四国におけるTPP等と法」研究会  2016年7月  香川大学

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    アメリカ合衆国におけるオプション市場で取引されている商品先物(コーヒー・砂糖等)の銘柄を顧客に勧めた所為が詐欺罪に問われた事例である福岡地判昭和26年3月3日につき検討を加えた。商品先物オプション取引の仕組み等にも言及した。

  • 外国為替証拠金取引と詐欺罪

    中・四国法政学会第54回大会  2013年11月  広島修道大学

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    広島修道大学で開催された中・四国法政学会第54回大会で個別報告を行った。報告内容は以下のとおりである。商品先物取引業者が始めた外国為替証拠金取引は現在では金融商品取引法が規律している。もっとも、業者が創始した頃は登録制も施行されておらず、不透明な取引に老人や主婦等の経済的弱者が誘引され社会問題になっていた。外国為替証拠金取引は本来的に賭博行為であるが、当事者に賭博の認識がなく、賭博関係罪で業者を立件することは困難である。店頭無登録FX等への誘引は詐欺罪を構成すること等を本稿で論じた。現在では、外国証拠金取引は取引所取引でも実施されているが、この場合には賭博関係罪に該当するものの違法性は阻却される。