日本語音韻論
授業コード
(科目ナンバリング
コード)
22C17-001
(HA-LAN-2038)
科目名 日本語音韻論
Japanese Phonology
担当者 平子 達也
授業コード
(科目ナンバリング
コード)
24C55-001
(HJ-LAN-2070)
科目名 日本語音韻論
Japanese Phonology
担当者 平子 達也
開講期間 Q3 単位数 2 学年 2~4 指定
履修対象学科
他学科履修
他の科目との関連 音声学の基本的な知識が必要
【副題】

日本語アクセント研究入門

【授業概要】

 この授業は講義形式と演習形式で行われます。
 日本語のアクセント研究は,豊富な地理的な変異と約1000年前にまで遡って往時のアクセントについて知ることができる文献資料の存在に支えられ,発展してきました。そして,琉球諸語・諸方言のアクセント調査・研究の進展や音韻理論の発展もあって,日本語諸方言のアクセント研究は近年さらに発展しています。担当教員もまた,日本語諸方言アクセントの調査と研究に魅力を感じ,それに従事してきた一人の研究者です。この授業を通して,アクセント研究,特に,フィールドワークにもとづく日本語諸方言アクセントの記述研究について,その魅力を伝えることが,担当教員の目標です。
 授業は2部構成で行われます。授業の前半は講義形式で行い,教科書に基づく予習内容を踏まえて,日本語のアクセントの捉え方や,その表記法,さらには,日本語諸方言に見られるアクセントの諸タイプやアクセント研究の諸テーマなどについて概説します。講義パートの目標は,日本語諸方言のアクセントの研究を行うために必要な基本的な概念や用語などについて理解することにあります。
 授業の後半は演習形式で,レポートに関わるグループワークです。予め,ある方言アクセントの聞き取りをしてきた上で,講義内容などとも関連づけながら,各自の聞き取り結果についてのすり合わせや,分析に関する意見交換を行います。演習パートの目標は,講義パートで学んだ内容を踏まえつつ,アクセントの聞き取りを正確に行えるようになることと,より妥当な分析を見出していくことにあります。
 最終的に受講者は,聞き取りの結果全てと授業内で得た知識等をもとにして,当該方言のアクセントを分析し,分析結果をレポートとしてまとめ,提出することになります。
 なお,レポートに関する相談になるべく丁寧に対応し,また,授業内のグループワークを円滑に進行させるため,この授業の受講者は25名に制限します。

【到達目標】

〈1〉日本語諸方言のアクセントの研究のために必要な概念などを理解する。
〈2〉方言アクセントの音声を聞き取り,聞き取り結果に基づいて,アクセントの分析ができるようになる。

【授業計画】

01 日本語アクセントの基本的な事項を知る(1)【教科書 1.1〜1.5】
02 日本語アクセントの基本的な事項を知る(2)【教科書 2.1〜2.4,4.1】
03 日本語アクセントの基本的な事項を知る(3)【教科書 3.1〜3.5,4.2〜4.3】
04 日本語アクセントの基本的な事項を知る(4)【教科書 7.1〜7.2,13.2】
05 様々なタイプの方言アクセントを知る(1)【教科書 2.5,4.4】
06 様々なタイプの方言アクセントを知る(2)【教科書 8.1〜8.8,7.3】
07 様々なタイプの方言アクセントを知る(3)【教科書 5.1〜5.6,7.4〜7.5】
08 様々なタイプの方言アクセントを知る(4)【教科書 6.1〜6.5】
09 ここまでのまとめ
10 方言アクセントに関する研究トピックを知る(1)【教科書 9.1〜9.9】
11 方言アクセントに関する研究トピックを知る(2)【教科書 10.1〜10.6,11.1〜11.5】
12 方言アクセントに関する研究トピックを知る(3)【教科書 12.1〜12.8】
13 方言アクセントに関する研究トピックを知る(4)【教科書 13.3〜13.5】
14 まとめ

【授業時間外の学習 (準備学習等)】

〈準備学習〉
事前に教科書の指定された箇所に目を通しながら配布された課題に取り組み,授業内容の予習を行ってください。この予習には最低でも60分程度の時間をかける必要があります。なお,授業は予習していることを前提に進めます。さらに,方言アクセントの聞き取りを行う各自で必要があります。授業後半のグループワークは,聞き取りを各自で行なってきていることを前提に行われます。

〈事後学習〉
毎回の授業内容について振り返り,適宜,授業内容の復習を行ってください。また,方言アクセントの聞き取りは,予習としての聞き取りの他に,さらに聞き取りをする必要があります。

【評価方法】

レポート 100%

《レポートの内容》
方言アクセントの聞き取り結果と授業内で得た知識等にもとづいて,その方言アクセントについて種々の観点から分析したものをまとめ,レポートとして提出してもらいます。また,方言アクセントの聞き取り結果もレポートの一部として提出してもらいます。

《評価のポイント》
レポートの主な評価のポイントは,(a)分析の妥当性,(b)専門用語や記号の使い方,(c)過不足のない具体例の提示,(d)引用文献の正確な提示,(e)全体的な論理展開と構成,(f)聞き取り結果の正確性,です。特に「(b)専門用語や記号の使い方」は,到達目標〈1〉を達成できているかが反映されるもので,そこに明らかな不備があるレポートはそれだけで不合格となります。
 到達目標〈2〉の達成度を反映するものとして,聞き取り課題から得たデータと授業内で得た知識や情報を分析にどれだけ生かすことができているかも評価のポイントとします。授業内で扱ったこと全てが分析のヒントになり,また,ポイントとなります。単なる共時的な記述に留まらず,通時的な観点からも分析を試みることが望まれます。
 
《提出方法と〆切》
レポート提出の〆切は2023年12月31日23:59とします。WebClassの窓口にpdf形式で提出してください。

【テキスト/参考文献】

〈テキスト〉
松森晶子・新田哲夫・木部暢子・中井幸比古(編著)『日本語アクセント入門』三省堂,1,900円+税,2012年,ISBN:978-4-385-36531-2
https://www.sanseido-publ.co.jp/publ/gen/gen2lang/jgoacc_prm/

〈辞典類〉
亀井孝・河野六郎・千野栄一(編著)(1996)『言語学大辞典 第6巻 【術語編】』東京:三省堂.
日本語学会(編)(2018)『日本語学大辞典』東京:東京堂出版.
斎藤純男・田口善久・西村義樹(編)(2015)『明解言語学辞典』東京:三省堂.
木部暢子(編)(2019)『明解方言学辞典』東京:三省堂.
森山卓郎・渋谷勝己(編)(2020)『明解日本語学辞典』東京:三省堂.

*『明解〜』の3つは,2000円前後で購入でき,持ち運びもしやすいサイズでオススメです。

〈音声学についての参考文献〉
斎藤純男(2006)『日本語音声学入門 改訂版』東京:三省堂.

その他の参考文献は授業中に紹介します。

【その他】

・テキストは各自事前に購入し,初回の授業までに用意をしておいてください。初回から使用します。
・この授業に先立って夏休みに開講される青井隼人先生の「日本語音声学」をぜひ受講してください。
・受講者のアクセントに関する知識の有無は問いませんが,この授業の内容の完全な理解のためには,言語学概論・日本語学概論程度の音声学・音韻論の知識が欠かせません。可能な範囲で補足はしますが,不明な点は参考文献欄にあげた各種の辞典類などによって各自で補ってください。学習のための相談にはいつでも応じます。なお,基本的には,日本語学概論程度の音声学・音韻論についての知識があることを前提として授業を進めます。例えば,「音素(音韻)」「調音点・調音方法・有声性」「広母音・狭母音」といった用語を聞いて,ピンと来ない人は,予めこれらの点について確認しておくようにしてください。
・どんな研究であっても,予め答えが分かっているものなど一つもありません。問題意識を持って,自分の頭で考えながら,積極的に授業に参加することが望まれます。

【添付ファイル1】
【添付ファイル2】
【添付ファイル3】
【リンク】

https://www.hirakota.com/
(授業担当者の個人HP)
Last updated: 2023/02/27